八ッ場ダム予定地住民が移転を余儀なくされる代替地の工事に有害スラグが使われていたとの8月5日の毎日新聞のスクープを受けて、国交省八ッ場ダム工事事務所は9月18日に調査を開始しました。昨日、毎日新聞は続報として、以下の記事を掲載しました。

◆2014年10月26日 毎日新聞http://mainichi.jp/select/news/20141026k0000m040081000c.html

ー八ッ場ダム:代替地や国道、20カ所余にスラグー

 八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の移転代替地などに有害物質を含む建設資材「鉄鋼スラグ」が許可なく使われていた問題で、国土交通省が同県内で発注した工事のうち90カ所余を調べたところ、同ダム代替地や国道など20カ所余でスラグとみられる砕石を確認したことが分かった。その3分の1は代替地の盛り土の内部や道路の土台部など深さ数十センチ〜数メートルにわたっていた。汚染が深刻なら造成し直す必要も生じるため、成分を詳細に分析し環境への影響を調べるとしており、問題の長期化は必至となった。【杉本修作、安高晋、角田直哉】

 ◇国調査 3割、深さ最大数メートル
 国交省はこうした調査結果を中間報告としてまとめ、近く公表するとともに、スラグが使用された経緯について調べる。また、この問題に対応するため、国交省と群馬県、同県内で最も多くスラグによる汚染が確認されている渋川市の3者で協議会を設置する。

 スラグとみられる砕石が確認された20カ所余の多くは表層部をならすために使用されていたが、盛り土の深部や道路の土台に当たる「路床」など、深さ数メートルにわたり使われている場所もあったという。今回の調査は住宅が建っている場所は対象外だが、その周辺でもスラグとみられる砕石が確認されている。

 いずれの工事も設計書では天然砕石の利用が明記され、設計変更の届け出をしなければ勝手にスラグなど別の資材を使用することはできないが、届け出はなかったという。

 スラグは大手鉄鋼メーカー・大同特殊鋼(名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)で排出されたとみられ、大同はスラグに天然砕石を混ぜた資材を渋川市の建設会社に販売。同社を通じて資材は流通し、無許可利用が確認された工事の大部分に同社が関与していた。

 8月に毎日新聞が八ッ場ダムの水没予定地から立ち退きを求められた住民の移転代替地や周辺道路、前橋市の国道17号バイパスで許可なく有害スラグを使用していることを報じ、国交省が調査に着手していた。

【ことば】スラグ
 鉄の精製時に排出される副産物で、石や砂の形状をしている。製造過程で添加された化学物質が残存することがあり、そのままでは廃棄物処理法上の産業廃棄物で、高額の処理費用が掛かるが、環境基準を下回ることを前提に「再生資源」として一部での使用が認められている。ただし、環境基準を超えたフッ素を含むものや、植物を枯らすほどの強アルカリ性を示すものもあり、健康や農作物への影響を懸念する指摘もある。

 ◇解説 撤去なら費用膨大
 今回の調査で事態の深刻さが浮き彫りになった。通常、スラグ砕石を建設資材として使う場合、許可を得た上で環境基準を満たした証明書が添付されるが、今回判明した20カ所余は無許可使用のため当然ながら証明書がない。安全が保証されていないスラグが八ッ場ダム代替地など広範囲に使用されていることになり、土壌汚染など環境への影響が懸念される。

 さらに深刻なのは、有害資材が盛り土や路床など深さ数メートルにわたり使用された疑いがあることだ。表層部と異なり、深部で使用されたスラグ砕石を撤去するには膨大な時間と費用がかかる。今後、宅地直下からスラグ砕石が見つかった場合、撤去するか、経過観察するか、難しい判断が迫られる。また、国道の路床を入れ替えるとなると工事は長期化し、交通への影響も避けられない。【杉本修作】