2013年3月6日

 昨日、「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は群馬県知事と県教育長に八ッ場ダム予定地の遺跡保存を求める要望書を提出しました。
 「科学者の会」では、同様の要望を2月28日、国土交通大臣と文化庁長官にも行っています。

 八ッ場ダム予定地では、各時代の遺跡が大量にみつかっており、地域の文化の豊かさが改めて注目されています。特に注目されるのは、縄文時代と天明三年の浅間災害遺跡です。
 八ッ場ダム予定地では縄文時代の全期にわたり切れ目なく遺跡が発見されており、縄文社会を研究する上できわめて重要な遺跡群とされます。列島内で最も縄文集落が多いと言われてきた八ヶ岳山麓について、長野県、山梨県は「縄文王国」とPRしていますが、その八ヶ岳山麓ですら遺跡のない時期があり、八ッ場ダム予定地の縄文遺跡は「縄文王国」より価値があるという見方もできます。

 火山県である群馬県内には火山災害遺跡が数多くあります。全世界から年間二百万人の観光客が訪れるイタリアのポンペイにたとえ、それらの遺跡を“日本のポンペイ”と呼ぶことがあります。中でも八ッ場ダム予定地の江戸天明の浅間山大噴火による災害遺跡は、”日本のポンペイ中のポンペイ”といえるほど、良好な遺存状況とされます。
 八ッ場の”日本のポンペイ”が特に良好な遺存状態であるのは、名勝・吾妻渓谷によって吾妻川を流れ下った泥流がダム予定地で滞留したことと、湧き水が遺物の酸化を防いだことによるものでした。
 東宮遺跡のある川原畑地区では、泥流は標高540メートルの生活の場をタイムカプセルのように覆っていました。八ッ場ダムの水没線は標高583メートルとされます。つまり、八ッ場ダム予定地域における天明浅間災害遺跡は、すべてダムに沈むことになるのです。
 現在、群馬県では渋川市で出土した古墳時代の甲を着た人骨が公開されており、大勢の見学者が押し寄せています。その一方で、八ッ場ダム予定地の貴重な遺跡群は一顧だにされません。
 私たちはかけがえのない歴史遺産をみすみす不要で有害なダムに沈めようとしています。遺跡も自然も、一度ダムに沈めば、二度と元には戻りません。

 「科学者の会」による群馬県知事らへの要望項目は以下の通りです。

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1.八ッ場ダム建設予定地域に、本遺跡群による文化遺産と吾妻渓谷の自然・景観遺産とを融合する形で、フィールド・ミュージアムのような文化的施策を構想・計画し、文化と自然による真の地域振興策を案出すること。

2.生活関連工事については、調査事業者である公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団の発掘調査が適正に、かつ滞りなく行われるよう、関係諸機関に働きかけるとともに、調査全般にわたって同事業団の主体性を尊重すること。

3.本遺跡群の歴史的・文化的意味と、吾妻渓谷の自然的・景観的価値について、広く人々に知らしめるよう努めること。

4.上記について、後ほど貴職のご見解を文書にてお示しいただくこと。

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 要請文と賛同者名は、以下のページに掲載している文化庁長官宛ての要請文と同文です。
 http://yamba-net.org/?p=2323

 「科学者の会」の要請文は、要請に呼応して公表された「文化関係者のアピール」と共に群馬県知事らに提出されました。「文化関係者のアピール」と賛同者名は、こちらに掲載しています。
 http://yamba-net.org/?p=2326