永平寺が発行している「傘松」という雑誌の今年の7月号に、作家の森まゆみさんの寄稿文、「高度成長の忘れもの―八ッ場ダムは引き返せないのか」が掲載されていましたので、遅ればせながらご紹介します。
ぜひ、お読みください。

(以下の画像をクリックすると、全ページをご覧いただけます。)
森まゆみさん

掲載紙の編集後記には、次のように書かれています。
ー森まゆみさんには、今月は「高度成長の忘れもの」として、八ッ場ダムのことについて書いていただいた。このダム計画は、戦後復興期の昭和27年に発表され、その後長い月日と複雑な経緯をたどって、今なお未完成の段階にある。ダムは、「集落あり、温泉あり、道路あり、鉄道あり」という地域の、生活も文化も歴史も、そして美しい自然もまるごと埋めてしまう。何かおそろしい魔物の手によってなされているのではないかと思うような、自然の大改変である。戦後を振り返ると、昭和20年代は復興第一が、昭和30年代は高度成長期に入り、経済第一が国是であった。そのような時代、人々の生活環境や労働環境が省みられることは少なかった。310万人のいのちを失った戦争の記憶がまだ新しかった頃、生きていけるだけでもありがたいと思わなければならなかったのかもしれない。昭和40年代に入ると公害が社会問題化し、オイルショックもあって、ようやくそういうことに目が向けられるようになった。
 八ッ場ダムをはじめ、巨大ダムの多くは、社会問題となった長良川河口堰、諫早湾干拓などとも同様に、そういう前時代の産物である。それが「やむをえなかった」時代もあったかもしれないが、今の時代、状況を省み、それこそ大英断をすることはできないのだろうか。自然の一員である人が、その中でどのように生きていくべきかを、もっと考えるべきではないだろうか。-

「傘松」の表紙と奥付

「傘松」の表紙と奥付