八ッ場ダム事業で使用された有害スラグに関する詳しいルポが『世界』2月号(岩波書店)に掲載されていましたので、遅ればせながらお知らせします。

● 『世界』2月号
 http://www.iwanami.co.jp/sekai/
 「循環型社会」の裏側──ルポ・群馬県「鉄鋼スラグ」汚染問題の波紋
 
 著者は、この間、有害スラグに関する調査報道を精力的に進めてきた毎日新聞の杉本修作記者です。(株)大同特殊鋼から排出され、群馬県内各地で使用されたことが明らかになりつつある有害スラグの問題を大変わかりやすく伝えています。ぜひ、お読みください。

 ~岩波書店ホームページより~
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2015/02/242.html
 
 国が群馬県で建設を予定する八ッ場ダムなどの公共工事を巡って、今、ある資材の使用が問題になっている。製鉄所で鉄を精製する際、炉の下に溜まる鉄クズ「鉄鋼スラグ」だ。かつては産業廃棄物として処分されてきたが、「循環型社会の推進」のかけ声のもと、1990年代から道路資材などにリサイクルする動きが広がっている。
 ところが、このスラグに環境基準を超える発がん性物質「六価クロム」などの有害物質が含まれていた。この有害スラグが県内で、数万~十数万トン規模で使用されていたことが判明し、さらに、その一部は、国交省や県の許可なく、公共工事に無許可で使われたとみられている。無許可で使われたため、国や県もどこに、どれだけ使われたのか把握しきれず、我々の知らないところで、徐々に群馬の土壌をむしばんでいる。問題を生んだ背景には自然や住民を顧みず、ひたすら経済論理を優先した大企業と、それを見過ごし、いや容認した国や自治体の不作為があった。
すぎもと・しゅうさく 1977年静岡県生まれ。2002年、毎日新聞に入社。現在、調査報道を専門に扱う新設部署「東京本社特別報道グループ」に所属。


 八ッ場ダム事業で使われた有害スラグに関連する箇所を記事より一部転載します。

「スラグは天然砕石に比べ、強度が弱い場合が多く、しかも水を含むと膨張する危険もあり、アスファルトと地面の間に挟まれる路盤材で使うのがもっともリスクが低い。例えば国道バイパスなどで、道路を高く盛る「路床」「路体」、さらに土地の造成など、資材を大量に使う工事では、設計図書で強度や安全性への信頼性が高い天然砕石を使うよう記されている。ここにスラグが混じっているとすれば、公共工事にまがい物が使われたことになり、もやは安全性云々以前の問題になる。」

「国や県の工事でスラグ資材を利用する場合、安全品質検査をクリアしたことを示す証明書が提出されるが、無許可で使われたスラグ資材に証明書はなく、すべて「有害」の可能性を前提に対策を講じなければならない。
 (八ッ場ダム予定地住民の)移転代替地の場合、スラグ資材が住民の宅地に利用されている可能性もある。すでに住民への引き渡しが終わり、新居が建った土地の直下で有害スラグが見つかった場合どうするのか。住民が国の瑕疵担保責任(売買取引で、通常の注意では発見できない欠陥がある場合、売り主などが負うべき賠償責任のこと)を問うた場合、国は被告となり、「知らなかった」では済まされなくなる。」