さる5月18日、国土交通省が「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」を開催しました。
 高規格堤防は一般にスーパー堤防と呼ばれます。堤防の高さの約30倍の幅で土盛りをするので「高規格」というわけですが、堤防の規模が大きいだけでなく、堤防上の新たなまちづくりも一体となった大規模公共事業です。民主党政権下の事業仕分けで一旦中止された事業ですが、河川官僚の巻き返しで2011年12月に復活しました。

●国交省ホームページより
「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」の開催 ~高規格堤防の効率的な整備に向けて~
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo05_hh_000026.html

 検討会の配布資料も掲載されています。
 http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/koukikaku_kentoukai/dai1kai/index.html

 今回は第一回の検討会でした。このあと2回、検討会を開いて「高規格堤防の効率的な整備」の方針をまとめることになっています。

 高規格堤防の整備は、遅々として進んでいません。
 国交省は荒川、江戸川、多摩川、淀川、大和川の下流部、延べ119kmを高規格堤防の対象としていますが、現在までの進捗速度ですと、整備完了まで700~1000年以上かかると考えられます。国交省の高規格堤防整備の年間予算は、最近は5河川合わせて40~50億円にとどまっています。この整備のスピードを上げるため、検討会が開催されたのです。

 しかし、高規格堤防は八ッ場ダムと同様、多くの住民を無理やり立ち退かせるにもかかわらず、本来の事業目的である「治水」の役に立つものとは言えません。洪水時には堤防が未整備のところから出水するからです。
 高規格堤防事業を巡っては江戸川区の住民が裁判を起こしており、法廷で生活破壊の実態や事業の不要性を訴えています。多くの住民を無理やり立ち退かせる事業は、いくら効率化を図ったとしても、うまく行くとは思えません。
http://yamba-net.org/?p=19807

 以下は、検討会についての記事です。

◆2017年5月19日 リスク対策.com
 http://www.risktaisaku.com/articles/-/2874 
ースーパー堤防の事業化促進へ改善探る 国交省、街づくりとの協力円滑化などー

記者 斯波 祐介

スーパー堤防と街づくりの連携などを進める
 国土交通省は18日、「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」の第1回会合を開催した。「スーパー堤防」とも呼ばれる高規格堤防整備の効率化に向け、事業化に向けた手続きの改善、コスト縮減や工期短縮といった課題改善を図っていく。

 高規格堤防とは土でできた緩やかな勾配を持つ堤防。堤防の高さの30倍程度の幅があり、防災機能強化以外に堤防の上を利用した街づくりも可能という利点がある。しかし2010年の民主党政権下での事業仕分けによりいったん廃止が決定。その後に検討会が開かれ、従来計画の約873㎞を、ゼロメートル地帯を中心とした約120㎞に縮小し整備を進めることとなった。

 現状の課題として、デベロッパーなど民間事業者が高規格堤防整備に合わせて街づくりを行うメリットがあまり感じられない、民間事業者が共同で事業を実施したいと思っても基本協定締結までに1年かかり、断念するといったケースが挙げられた。このため税制をはじめとしたでのインセンティブ導入や、高規格堤防の予定区域の明示による公募や事業調整の仕組みづくりと打った手続きの改善を検討する。

 また工期短縮や費用縮減へ、新技術活用や盛り土と上面整備の一体施工といった対応も示された。国交省では投資効率性の確認手法についても検討をしていく方針。(了)