会報24号を発行しました。
 今回の巻頭言は、伊藤谷生・千葉大学名誉教授による「酸性熱水変質帯がもたらす危険性」です。

 伊藤谷生さんは構造地質学を専門とする研究者で、八ッ場ダム予定地に広く分布する酸性熱水変質帯について調査・分析をしてこられました。
川原畑地区字八ッ場の地質(2011年6月9日)
 八ッ場ダム予定地の基盤岩は何条もの厚い軟弱な熱水変質帯に貫かれており、周辺で行われているダム関連工事現場では、変質帯や変質した岩石が切り出されて空気に触れ、あるいは水の影響を受け、その物性が急速に劣化しているさまが見られます。(写真右:八ッ場ダム本体工事予定地の左岸に見られる熱水変質帯。2011年6月9日撮影)

 国土交通省は、八ッ場ダムの工事は適用されるべき法令や技術基準に基づいているので地すべりや崩壊など安全性にかかわる問題はないと主張していますが、これらの法令や指針は酸性熱水変質帯に働く地質学的なプロセスを考慮して策定されたものではありません。このため、これまで八ッ場ダム事業では、酸性熱水変質帯の存在に対する著しい軽視のもとで工事が進められてきたといっても過言ではありません。
 地質についての研究や技術にかかわっている人々は、、細心の注意を払って八ッ場予定地における僅かな地変や兆候を逃さず、その原因を調査する態勢をとらなければならないと、伊藤先生は記しておられます。
 八ッ場ダム予定地の地質の危険性については、これまでも地質の専門家らから問題視する見解が幾度も出されています。八ッ場ダム湖予定地の周辺には、もともと多くの住民が住む集落があり、さらに水没予定地住民の移転代替地が造成されていることから、八ッ場ダム湖はこれまでの利根川上流のダム湖と違い、多くの住宅に取り囲まれることになります。地すべり等によってこれまでダム事業の犠牲になってきた現地住民にさらなる犠牲を強いることは、あってはならないことです。
 本体工事が始まろうとしている現在、住民の生活を脅かしかねない地質の問題について、ダム事業者の対応をこれまで以上に注視していく必要があります。

 このほか会報24号では、この間の八ッ場ダム予定地の状況、八ッ場ダム事業における事業認定の手続き、ドキュメンタリー映画「ダムネーション」の衝撃、水没予定地のニホンカモシカなどを取り上げています。
 
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