八ッ場ダムは1952年に最初の構想が発表されてから、実に63年目の今年、ようやく本来の目的である本体工事に着手することになりました。
 しかし、ダム湖予定地周辺の地すべりや水没予定地住民の移転代替地の安全対策、有害な鉄鋼スラグなど、これまでに発覚した問題は未解決のままです。本体工事着手後、これら先送りにした問題がより深刻になっていくと思われます。

 地元の上毛新聞は、八ッ場ダム事業が順調に進んでいることをアピールしたい群馬県の意向を反映してか、本体工事が昨年10月に始まったと報道してきましたが、事業者である国交省関東地方整備局は昨年11月20日、本体工事の開始を今年1月と発表しました。今月21日に始まる予定の基礎掘削を本体工事の開始とみなすようです。

 八ッ場ダムの本体工事は一期と二期の工事がありますが、11月20日の国交省の説明は二期工事には触れていません。
 以下の上毛新聞の記事では、一期工事でダム堤が完成することを前提に、「18年5月には高さ116メートルの堤体が姿を現す計画」としていますが、共同通信の記事では、これまでの国交省の説明通り、八ッ場ダムの事業完了を19年度としています。

 当会では、本体工事の内容を確認するため、本体工事の施工計画書を情報公開請求しましたが、開示が遅れています。
 http://yamba-net.org/?p=10023
 「八ッ場ダム本体工事の施工計画書、情報開示に60日」

 また、本体工事の工期に関して、昨年12月9日に国交省関東地方整備局に公開質問書を送りましたが、現時点で回答は届いていません。
 http://yamba-net.org/?p=9978
 「八ッ場ダム本体工事の工期に関する公開質問書」

 関連記事を転載します。

◆2015年1月6日 共同通信
http://www.47news.jp/CN/201501/CN2015010601001340.html
ー八ツ場ダム、21日着工へ 本体工事、群馬ー

 国土交通省は6日、群馬県長野原町の八ツ場ダムで、ダム本体のコンクリート打設に向けた基礎掘削工事を21日から始めると明らかにした。天候などで開始時期が遅れる可能性もあるが、事実上の本体工事が始まる。

 国交省によると、掘削は爆薬を使うなどして、建設に適した地盤を露出させるのが目的。掘削後の2016年6月にコンクリートでダムの形を造っていく作業が始まる。事業完了は19年度になる見込み。

 八ツ場ダムをめぐっては、09年に民主党政権が建設中止を表明し、入札を凍結。その後中止方針を撤回し、国は昨年8月、清水建設など3社の共同企業体(JV)と契約した。

◆2015年1月6日 上毛新聞一面
ーー八ッ場ダム本体工事 21日から基礎掘削ー

 八ッ場ダム(長野原町)建設事業をめぐり、国土交通省八ッ場ダム工事事務所は5日、本体工事の基礎掘削を21日に始めることを明らかにした。コンクリート製の堤体を造る前段階の作業で、2016年5月の完了を予定している。

 同事務所によると、基礎掘削では爆薬を使うなどして固い岩盤を取り除き、ダム建設に適した地盤を露出させる。爆薬は利用する範囲をあらかじめ決め、段階的に使っていくという。
 天候等により作業の開始時期はずれ込む可能性もある。

 本体工事をめぐって、国は入札を昨年1月に公告し、8月に共同事業体(JV)が落札した。JVは10月には建設地の測量に着手し、事実上の本体工事がスタート。12月に樹木の伐採作業を開始した。基礎掘削の完了後は16年6月にコンクリート打設工事が始まり、18年5月には高さ116メートルの堤体が姿を現す計画。

◆2014年1月7日 朝日新聞群馬版
http://www.asahi.com/articles/ASH16624YH16UHNB00Y.html
ー群馬)八ツ場ダム、21日に本体着工ー

 八ツ場ダム(長野原町)の本体工事が、今月21日から始まる。計画浮上から63年。度重なる工期の延期や民主党政権による「中止宣言」などの曲折を経て、大きな節目を迎える。地元からは歓迎の一方、住民の生活再建を急ぐよう求める声も。事業そのものへの反対論も依然くすぶる。

 国土交通省八ツ場ダム工事事務所によると、21日からは、ダム本体を造るために岩盤を掘る「基礎掘削」と呼ばれる作業が行われる。爆薬を使って固い岩盤を壊し、運び出すという。天候によっては日程が変更される可能性もある。

 その後、露出させた地盤の上に本体となるコンクリートを流し込む。国交省が公表した工程では、基礎掘削は2016年5月完了予定で、翌6月から18年5月にかけてダム本体を造る。基礎掘削は大雨による増水などで当初予定の昨年11月から2カ月遅れたが、ダムの完成は基本計画通りの19年度中としている。

 本体工事への着手が決まり、長野原町の萩原睦男町長は「節目を迎え、ほっとしている」と歓迎する一方、「住民の生活再建をいかに進めるかなど課題も多い。国や県と協力し、町も全力で取り組んでいきたい」と語った。ダム下流の東吾妻町の中沢恒喜町長も「待ちに待った本体着工だ。下流域の活性化につなげるためにも、一日も早い完成を望む」と期待する。

 両町を含む群馬5区選出の小渕優子衆院議員は「いろいろあったが、地元のがんばりで、やっとここまでこぎ着けた。ただ、事業はまだこれから。下流都県に引き続きご支援いただけるよう、力を注ぎたい」と話した。吾妻郡区選出の南波和憲県議は「本当に長い道のりだったが、地元のみなさんが望む方向がようやく定まった。生活再建が進むよう、関係各方面にお願いしていきたい」と述べた。

 一方、計画の見直しを求めている市民団体「八ツ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「残っている住民もおり、地滑りの危険性や鉄鋼スラグの問題を抱えたまま本体工事に突入することは問題だ」と指摘した。

 八ツ場ダムはカスリーン台風の甚大な被害をきっかけに1952年に計画が浮上した。86年に告示された基本計画は4度変更され、事業費は当初の2110億円から国内最大の4600億円に膨らんだ。(井上怜、土屋弘)