八ッ場ダム事業とダム建設地を流れる吾妻川の水力発電には深い関わりがあります。
 八ッ場ダムには「吾妻川の流量維持」と「群馬県営発電」という付随目的があり、前者は2004年の計画変更で、後者は2008年の計画変更で新たに八ッ場ダムの建設目的に加わりました。
 これら二つの目的は、吾妻川の景観改善と水力発電の増加を目指すものであり、これが事実であればメリットが大きいのですが、実際には目的の体をなしておらず、将来の事業費増額に繋がる問題を抱えています。それぞれの問題について、5月29日に群馬県庁記者クラブで会見を行います。

 このページでは、「吾妻川の流量維持」に関する記者発表資料を掲載します。
 
Ⅰ 八ッ場ダムの目的の一つ「吾妻川の流量維持」が東電・松谷発電所の水利権更新によって消失
      → 新たに97億円の負担問題が発生する

1 八ッ場ダムの目的の一つ「吾妻川の流量維持」
 「ダム下流で毎秒2.4㎥の流量を維持する。」ー2004年の八ッ場ダム基本計画変更で新たに追加された目的である。
 キャプチャ 群馬県水道の参画水量が毎秒3.02㎥/秒から2.0㎥/秒へ減少したことに伴い、その事業費負担額が減少し、それを埋め合わせるために、この目的が追加されたとされている。
 八ッ場ダムの事業費4600億円に対するこの目的の負担額は97億円で、現在は国が7割、群馬県が3割を負担することになっている。

2 発電ガイドライン
 1988年に建設省と通産省は通達「発電用水利権の期間更新時における河川維持流量の確保について」(発電ガイドライン)を定めた。
 それまでは、発電水利権は根こそぎ取水が認められていたが、このガイドラインにより、1988年以降に更新される発電水利権は下流への河川維持流量の放流が義務付けられるようになった。

3 東京電力㈱松谷発電所の水利権更新による吾妻川の流量維持 →八ッ場ダムの目的の一つが消失
 発電水利権の許可期間は今までは30年間である(今後は20年間)。東京電力㈱は松谷発電所(長野原取水堰と白砂取水堰)の許可期限が近づいてきたので、2012年2月24日に水利権許可申請書を関東地方整備局河川部水政課に提出した。
 そのあと、関東地方整備局と東電の間でやり取りがあり、現在は関東地方整備局で審査中である。
 東電は2013年4月26日に別紙Ⅰ「松谷発電所水利権更新申請における河川維持流量の再検討について」を提出した。
 それを読むと、吾妻川取水ダム(長野原取水堰)から毎秒1.727㎥を放流し、八ッ場ダムまでの残流域からの流入量0.673㎥/秒を合わせて、八ッ場ダム予定地で毎秒2.4㎥を確保することになっている。

別紙Ⅰ「松谷発電所水利権更新申請における河川維持流量の再検討について」は以下をクリックすると表示されます。
 http://yamba-net.org/wp/wp-content/uploads/2013/05/de7f2a78351682426ee41a80e310f112.pdf

4 「吾妻川の流量維持」の目的がなくなり、97億円の負担問題が発生
 このように、松谷発電所の水利権更新が完了すれば、八ッ場ダムなしで、毎秒2.4㎥の流量がダム予定地点で確保されることになり、八ッ場ダムの目的「吾妻川の流量維持」は消失することになる。
 それに伴って、八ッ場ダム事業費4600億円のうち、その目的の負担額97億円が宙に浮くことになり、その97億円を国と各都県、利水予定者が分担して負担しなければならなくなる。群馬県を除く各都県、利水予定者にとって実質的な増額になる。

 この問題については、ホームページの下記ページでも解説を載せています。
 http://yamba-net.org/problem/mokuteki/ryuryo/