今朝の紙面記事を転載します。

■2013年7月11日 上毛新聞1面トップ記事
―八ッ場追加工事 県負担増に理解 大沢知事ー

 八ッ場ダム建設の事業について、大沢正明知事は10日の定例会見で、政権交代など国の事情で事業費が増えた分は国が負担すべきだとの考えを示す一方、計画にない工事を追加する場合は「(県が負担するかどうか)議論の対象になる」と述べ、地滑りなどの安全対策に伴う負担増に対しては一定の理解を示した。
 八ッ場ダムの基本計画上の総事業費は4600億円だが、民主党政権時に国土交通省がまとめた資料では4782億円と算出されている。工事の中断と遅れで55億円、地滑り対策や代替地の安全対策などの工事で149億円を新たに計上している。
 大沢知事は「ダム建設は国の事業で、国が担うべきだ」との考えを前提としつつも、一部負担について関係都県が国と話し合う余地があることを示した。関東知事会で関連する1都4県の知事と話し合っており「方向性は一致している」という。

■2013年7月11日 毎日新聞群馬版より
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20130711ddlk10010245000c.html
―八ッ場ダム工期延長で合意形成 知事明かすー

 大沢正明知事は10日の記者会見で、八ッ場ダム(長野原町)の完成を「2015年度まで」と定めた国の基本計画に関し、「(工事中断で)約4年のブランクがあり、取り返しようがない。一日も早く地元の生活再建ができるように、完成期日をうたうべきだ。1都5県みな同じ考え」と述べ、工期の延長について関係都県の合意形成ができていると明らかにした。
八ッ場ダムを巡っては09年9月、ダム中止を唱えた民主党政権が発足し、工事が中断。今年5月、約4年ぶりに工事が再開した。(奥山はるな)
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 大沢群馬県知事は民主党政権下では、他の八ッ場ダム関係都県知事と同様、ダムは2015年度までに完成させるべきだと主張していましたが、自公政権復活後の今年2月、ダムの工期を延長することが現実的だと、意見を180度変えました。同趣旨の発言については、朝日新聞群馬版の既報もあります。
http://yamba-net.org/?p=4903

 これらの記事は、いずれも定例会見での知事発言を取り上げたものです。群馬県の公式ホームページには、定例会見要旨が掲載されていますが、記事内容からすると、会見要旨は知事発言をかなり省略していることになります。

●平成25年7月10日 群馬県知事定例会見
http://www.pref.gunma.jp/chiji/z9000089.html

●平成25年6月26日群馬県知事定例会見
http://www.pref.gunma.jp/chiji/z9000087.html

 八ッ場ダムは本体関連工事を行うことになりましたが、記者発表された「本体関連工事」の中には、「本体工事」そのものと考えられる工事が含まれていました。大河原まさこ参院議員(民主)、塩川鉄也衆院議員(共産)がこの問題に関して質問主意書を提出しています。
http://yamba-net.org/?p=4949

 さる7月1日に八ッ場ダム本体関連工事3件の開札が行われましたが、これらの質問主意書で「実質的な本体工事」と指摘された八ッ場ダム本体左岸上部掘削工事については入札が取り止めになりました。上記ページの説明にあるように、本体工事を実施するためには、八ッ場ダムの完成年度を遅らせるダム基本計画の変更が必要です。7月1日に落札業者が決まれば、参院選後には、なし崩しに本体工事が始まるところでした。
 八ッ場ダム事業における次なる焦点は、関係都県の同意を必要とする基本計画の四度目の変更です。群馬県知事の記者会見で関連質問が相次いでいるのは、そのためです。

 冒頭の今朝の新聞報道によれば、群馬県知事はダム計画の変更による八ッ場ダムの完成予定年度の遅延を認めているだけでなく、「1都5県みな同じ考え」であることを関東地方知事会で各知事と話し合ったと発言しています。
 関係都県は民主党政権下ではダム計画の変更には反対しており、群馬県を除く他都県の意見が変わったという情報も、今のところ群馬県知事の発言以外にはありません。大沢知事が「1都5県みな同じ考え」であるとする根拠となっている関東知事会は一年に二回開催されます。前回は5月22日の開催でした。この会議では、多くの議題が話し合われたことが公表されていますが、八ッ場ダムの基本計画の変更について、どの程度の話し合いがあったか定かではありません。
http://www.pref.gunma.jp/07/b0900009.html
群馬県ホームページー関東地方知事会

 ダム計画の変更について定めている特定多目的ダム法では、関係都県知事が意見を述べようとするときは、「当該都道府県の議会の議決を経なければならない」と定められています。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO035.html
特定多目的ダム法 第二章の第四条―4参照

 国交省が関係都県知事にダム計画の変更を諮ってもいない現段階で、群馬県知事が関係都県知事と共にダム計画の変更に同意しようと決めているとしたら、手続きも議会もいらないことになってしまいます。
 民主党政権当時、自民党の脇雅史参院議員(元建設省河川局長)は、前原誠司国交大臣(当時)が法的な手続きを経ずに「マニフェストにうたってあるので、八ッ場ダムを中止する」と発言し、ダム見直し政策を進めようとする姿勢を国会で問題視しました。河川行政に関する法律のプロである脇議員は、前原大臣は法律を無視していると激しく非難しました。
 大沢群馬県知事は自民党と一心同体とされます。自民党が優勢であれば、手続きや議会を無視しても問題にならないのでしょうか。