国交省関東地方整備局が8月に提示した八ッ場ダムの第四回計画変更案について、
関係都県議会で現在審議が行われています。

いずれの都県議会も八ッ場ダムを推進する自民党が優勢ですので、関係都県は関東地方整備局の計画変更案に同意するものとみられますが、議会での審議の内容は、今後の八ッ場ダム事業の見通しを示唆するものとして注目されます。また、自民党以外の議員がこの案件にどのような姿勢で臨むのかも、有権者には関心のあるところです。

各都県議会の情報をお伝えします。
いずれも傍聴可能です。各委員会の開始時間につきましては、直前の変更等もありますので、各都県議会の事務局にお問い合わせください。

●埼玉県議会
10月7日(月)企画財政委員会において審議
10月10日(木)最終本会議採決。
企画財政委員会には、民主・無所属の会の木村勇夫議員、中川浩議員が所属。八ッ場ダム推進議連1都5県議員の会会長の佐久間実議員(自民)もこの委員会のメンバー。

●千葉県議会
10月16日(水)午前10時からの県土整備常任委員会において審議
10月22日(火) 本会議採決

●茨城県議会
10月17日:総務企画委員会で審議
10月28日 本会議で採決

●東京都議会
9月27日(金)都市整備委員会にて質疑
10月11日(水)本会議で採決

●栃木県議会
9月30日 県土整備委員会にて審議
10月16日午前中 本会議で採決

群馬県議会における審議は総務企画委員会において10月2日に、また採決は10月8日に行われました。その模様をこちらに掲載しています。
 http://yamba-net.org/?p=5674
http://yamba-net.org/?p=5859

埼玉県議会、茨城県議会に提出された反対請願を転載します。

〈埼玉県議会に提出された請願〉

1 件  名
「八ツ場ダムの建設に関する基本計画」変更による工期延長に同意しないことを求める請願

2 請願の趣旨
国土交通省関東地方整備局が八ツ場ダム工期延長等のための基本計画変更について、手続きを開始することを発表しましたが、本体工事が開始されていない今こそ、もう一度、八ツ場ダム建設による影響を徹底的に見直し、八ツ場ダム建設中止の英断を下すため、埼玉県議会では、「八ツ場ダムの建設に関する基本計画」の変更に同意しないでください。

3 理  由
8月6日、国土交通省関東地方整備局は、工期を2015年から2019年へと4年間延長するなどのため「八ツ場ダムの建設に関する基本計画」を変更する方針であることを発表しました。
しかし、八ツ場ダム建設には、まだまだ議論されつくしていない(あるいは議論の対象として取り上げられていない)様々な問題があります。希少な動植物の宝庫・縄文時代にまで溯る膨大な歴史遺産・泉質の優れた川原湯温泉の旧源泉を本当にダムの底に沈めてしまってよいのか、名勝「吾妻渓谷」をはじめとするかけがえのない自然景観が失われてしまってよいのか、ダム完成後にダム湖観光で本当の地域振興をはかれることができるのかなど。
また、本当に利水・治水に対して有効であるのかという根本的な問題についても、もう一度、徹底的に検証すべきです。
特に地すべり問題は深刻です。2011年関東地方整備局の検証で2004年にわずか3地区のみの対策でよいとされていた地すべり対策が、11地区となり、代替地安全対策も5地区必要という結果になっております。
しかし、これでも十分とは言えない状況だと思います。京大名誉教授の奥西一夫氏が「八ツ場は地すべりのデパートみたいなもの。いろんなタイプの被害が起きうる。ここは絶対ダムを作っちゃいけない場所」と指摘していましたが、異常気象が恒常化してきている昨今、予想を超えた降雨に見舞われた時に、今でさえ地すべりに注意しなければならない状況であるダム建設予定地を、ダム建設によって今以上に危険な地域にさせることは、災害を増幅させ、地元の住民の命を奪うことになってしまわないでしょうか。
また、ダム事業ではダム本体完了後、試験湛水を行い、最終的な安全確認を行ってからダムを運用することになっておりますが、埼玉県の滝沢ダムでも、この試験湛水で深刻な地すべりが発生し、145億円もの地滑り対策費がかかっています。八ツ場ダムも貯水池予定地周辺の地質がきわめて脆弱であることから、試験湛水で深刻な地すべりが発生する可能性が指摘されてきています。
今回の基本計画の変更では事業費の増額はありませんでしたが、2011年の関東地方整備局の検証では地すべり対策、代替地安全対策を合わせて149.2億円の増額を示してきています。また、試験湛水での地すべりの可能性も考えると、どう見ても今後、増額せずに建設できることはありえないと思われます。
それは、地すべりだけではなく、代替地の整備や東京電力への水力発電の減電補償など、丁寧に検証していけば、事業費の大幅増額は避けられないことが明らかになるはずです。
本体工事が開始されていない今こそ、もう一度、八ツ場ダム建設による影響を徹底的に見直し、八ツ場ダム建設を中止させるため、埼玉県議会では、「八ツ場ダムの建設に関する基本計画」の変更に同意しないでください。

上記のとおり請願いたします。    2013年9月20日
氏 名 小高 真由美
埼玉県議会議長  細田徳治 様

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〈茨城県議会に提出された請願〉

茨城県議会議長
白 田 信 夫 様

2013年10月3日
八ッ場ダムをストップさせる茨城の会
代表:濱田篤信 柏村忠志 船津寛
事務局長:神原禮二
取手市白山1-8-5 090-4527-7768

請願書
八ッ場ダム事業基本計画変更について

[請願主旨]
本年8月6日、関東地方整備局は八ッ場ダムの工期を4年延長し、完成を2015年度から2019年度にすると公表しました。工期の延長は基本計画の変更にあたることから本県にも同意を求めるべく通知があったものと存じます。
八ッ場ダム事業の基本計画は今回で4回目の変更になりますが、計画策定の1986年からから数えると、完成年度2019年度は33年もの歳月を積み重ねることとなります。
この33年という歳月は、本県にとって激変の歳月といえましょう。人口の推移を見れば、1986年から2000年までは緩やかに増加し、その後の2010年までは横ばいから減少傾向を見せ、現在は急激な減少期を迎えたといえます。現に「平成24年度茨城県総合計画」は、2020年度人口を285万人と予測し、2035年度には245万~255万人まで減少するとしています。
一方、水需要は節水機器の普及により、さらに急速な減少傾向にあり、給水人口を増加させながらも、給水実績は減少を辿っています。現在水道用水の余剰23万㎥/日に工業用水の契約水量と給水実績の差39万㎥/日を加えると、都市用水の余剰は62万㎥/日に上ります。今後の人口減少を勘案すれば、八ッ場ダム完成年度の2019年度にはさらに膨大な余剰水を抱えることは疑うべくもないでしょう。最早八ッ場ダムの供給水量9.42万㎥/日を必要とする根拠は微塵もないものと存じます。
治水に目を転じますと、利根川の治水計画の基となる基本高水22,000㎥/秒の虚偽は昨年の有識者会議において厳しく指摘されながらも、関東地方整備局はまともな回答もせず、本来立てるべき利根川水系河川整備計画から利根川・江戸川だけを抜き出し、「利根川水系 利根川江戸川河川整備計画」なる奇態な計画を策定、八ッ場ダム建設を位置づけてしまいました。
奇態は奇態として百歩譲り、当計画の八ッ場ダムの治水効果は八斗島地点で1,176㎥/秒としていますが、下流に行くほど効果は減衰し、取手付近では80~280㎥/秒、水位にして5cm~19cm下がるに過ぎません。この程度の治水効果が河川法63条に定める「著しい利益」に相当するでしょうか。治水もまた負担金を支払うに値しないものと言えるでしょう。

最後に二つご参考に供します。
一、 本年3月、厚生労働省健康局は「新・水道ビジョン」を発表しました。そこには「今
後の人口減少傾向は確定的であり、このことは水道にとって給水人口や給水量も減少し続けることを意味します。水道ビジョンの改訂までの時代は、水道は拡張を前提に様々な施策を講じてきましたが、これからは、給水人口や給水量の減少を前提に、老朽化施設の更新需要に対応するために様々な施策を講じなければならないという、水道関係者が未だ経験したことのない時代が既に到来したといえます」と記されています。
二、 今回の基本計画の変更には事業費の増額は触れていません。しかし、2001年の工期延
長の後、2004年には事業費が2,110億円から4,600億円に増額になりました。昨年、関東地方整備局は182億円の増額を明示しました。しかし、1都5県の猛反発を受け今回の変更には加えていませんが、地すべり対策など必須の費用であり、必ず追加変更として再浮上するでしょう。さらに現地住民の移転先になる代替地の赤字約100億円、東電の減電補償80億~160億円が控えています。1~2年後には事業費増額による基本計画の変更は避けられないものといえましょう。
茨城県の県債残高は2兆円を越えました。6選を果たした橋本知事は震災からの復興と生活大県を目指すとしています。利水も治水も茨城県にとって全く不要な八ッ場ダムに、これ以上注ぐ財源は無いものと存じます。県議会に置かれましては賢明なる判断と行政へのチェック機能を活かし、八ッ場ダム事業基本計画変更にたいし「不同意」の決議をされますよう請願するものです。

[請願事項]
八ッ場ダム事業基本計画変更に対し「不同意」の決議をすること。