八ッ場ダムの予算についての批判記事を転載します。

◆2014年2月4日 日本経済新聞北関東版

 凍結していた八ッ場ダム(群馬県長野原町)の本体工事の入札手続きが始まった。8月に入札を実施し、今秋めどに着工の見通しだ。昨年、関連工事の手続きでは予算成立まで待ったのに、今回は通常国会の開会前に開始した。
 当時はねじれ国会。野党の有力議員が「予算成立前に着手するのは国会軽視」と強くけん制したとの情報もまことしやかに流れたが・・・。

 それにしても同ダムでは一般の人からみて不思議なことが多い。用地取得費、付け替え道路などを含めた事業費は約4600億円。このうちダム本体の工事費がいくらかと聞いても「算出していない」と国土交通省の担当者。あれほど本体着工にこだわっていたのに「どの工事が本体かという整理をしていない」というのだ。

 そもそも「本体関連」というのは民主党政権の時に使った言い回し。「本体関連は予算計上するが、本体は計上しない」。反対派に配慮した「方便」ともいえる。これを自民党政権も踏襲。「方便」ばかりが先行したということか。

 もう一ついえば、この4600億円。国や下流自治体が分担するのだが、誰がいくら出すか実にわかりにくい。まず群馬県が発電事業として全体の0,1%を負担する。
 残り99,9%の54,6%(つまり54,5%)を治水事業として国と1都5県が負担する。54.5%の70%が国、30%が自治体。この30%のうち、茨城が16.73%、栃木が1.38%・・・。残った99.9%の45.4%は利水事業として、水を使う自治体が負担する。埼玉が99.9%の16.8%、東京が15.4%・・・。群馬と千葉は水道だけでなく工業用水分も負担する。

 見ているだけで混乱しそうだ。そこで、総額では国がいくら、各自治体がいくら負担するのか尋ねると、国交省の担当は「水道は厚生労働省、工業用水は経済産業省の所管」というばかり。計算すればいいのかと思えば、「国から自治体に補助金が出ており、各自治体に聞かなければ(補助金を差し引いた)本当の負担額はわからない」という。

 巨額な税金を投じる壮大な事業。それだけに納税者にわかりやすいことが何より肝要なはずだが。消費税増税まで2カ月を切り、改めてそう感じた。 (前橋支局長 鈴木禎央)

~~~転載終わり~~~

 この記事に先立って、地元紙、上毛新聞がコラムで八ッ場ダム事業の予算に不明朗な点が多いことを批判しています。
 http://yamba-net.org/?p=6678
 「八ッ場ダムの来年度予算、内訳は”秘密”」
 
 国土交通省は八ッ場ダム事業について、以下の八ッ場ダム工事事務所のホームページに情報を載せていますが、日経新聞が指摘しているように、八ッ場ダム事業の基本的な情報が欠落しており、掲載情報はテレビのコマーシャルのような八ッ場ダムのPRが殆どです。
 http://www.ktr.mlit.go.jp/yanba/

 あしたの会サイトでは、八ッ場ダム事業の予算について以下のページで解説しています。
 http://yamba-net.org/genjou/budget/

 このページに掲載している表1では、「本体工事関係」という項目を設け、本体工事に直接関係する工事に〇をつけています。該当するのは、転流工、本体掘削、グラウト、堤体工、閉塞工、付属工事、放流設備、原石山表土処理、本体法面保護で、各工事の合計は413億円になります。八ッ場ダム建設事業の予算は4600億円ですから、「本体工事関係」の予算額は約9%です。八ッ場ダム事業では、9割以上の予算を道路等のダム関連事業に費やしていることになります。
 国交省によれば、本体工事費の割合がこれほど低いダムは他にはないとのことです。こうした予算の内訳をみれば、八ッ場ダム事業のいびつさは明らかです。
 
 国と関係都県の負担額の内訳については、以下のページに掲載している表をご参照ください。
 http://yamba-net.org/problem/meisou/futan/