12月9日、国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会が開かれ、八ッ場ダム事業の再評価も対象になりました。
 直轄ダム事業の再評価は現在は3年おきで、八ッ場ダムは前回は平成23年度に再評価が行われていますが、今回は基本計画の変更があり、社会情勢の変化があったということで、再評価の対象になりました。
 今回も、同委員会は八ッ場ダム事業を含む12件すべて関東地方整備局の方針を了承しました。

 開催結果と配布資料が関東地方整備局のHPに掲載されています。

◆関東地方整備局事業評価監視委員会(平成25年度第9回)の開催結果(記者発表資料) 
 http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000089299.pdf

◆配布資料
 八ッ場ダム建設事業の再評価の資料2-2-1  
 http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000089325.pdf

 八ッ場ダム建設事業の再評価の資料2-2-2 
 http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000089326.pdf

 この評価制度は、本来は長期化した公共事業の妥当性をチェックすることが目的ですが、実際には関東地方整備局の方針にゴーサインを出すのみで、「監視」の役割を果たしていません。

 先ごろ、八ッ場ダムの「流水の正常な機能の維持」の便益を求めるための仮想的市場評価法のアンケートが届いたという情報が群馬県内各地から寄せられたため、ご提供いただいたアンケート用紙を以下のページに掲載しました。
 http://yamba-net.org/?p=6230
 
 アンケートの結果が上記の「八ッ場ダム建設事業の再評価の資料2-2-1」の21ページにあります。
 吾妻渓谷の自然を破壊する八ッ場ダムで流況改善の便益が生まれるというのはブラックユーモアでしかありません。

 22~23ページでは、このダムから吾妻渓谷に放流することによる便益(効果)を含め、八ッ場ダムの総便益は総費用の6.5倍に上るという数字をはじきだしています。
 前回の平成23年度の事業評価では、費用対効果は6.3倍とされていましたので、二年前よりさらに上がりました。

 費用対効果の数字は2009年の事業評価では3.4倍でした。
 http://yamba-net.org/old/modules/news/index.php?page=article&storyid=1383
 「八ッ場ダム費用対効果「倍増」 国交省、試算被害額算出法変え」(2011年10月7日 読売新聞群馬版)

 八ッ場ダム事業「継続妥当」という事業評価監視委員会の結論は、アンケートの中身や費用対効果の数字の変遷を見れば、いかに根拠のないものであるかよくわかります。
 これほどダム行政の実態が酷いことになっていることがどれだけ知られているでしょうか。

◆2013年12月10日 上毛新聞

 -八ッ場ダム建設「継続妥当」了承 事業評価監視委ー

 事業着手から一定期間が経過した公共事業の妥当性を再評価する国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会は9日、八ッ場ダム建設事業について、「事業継続が妥当」とする整備局の方針を了承した。
 
 工期延長を含む基本計画の変更が11月に告示されたことから、同事業が審議対象となった。監視委は①治水と利水の両面で投資効果がある ②住民らの移転事業が進んでいるーなどの点を踏まえ判断した。

◆2013年12月11日 朝日新聞群馬版
 http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20131210100580001.html

ー国交省監視委、八ツ場継続案を了承ー

 国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会(委員長=家田仁・東大大学院教授、12人)が9日、さいたま市で開かれた。八ツ場ダム(長野原町)建設について「必要性は変わっておらず、引き続き事業を継続することが妥当」とする整備局案を了承した。

 整備局は1以上だと効果が費用を上回る費用便益比で八ツ場ダムを6・5とし、前回2011年の6・3から上げた。ダム整備後の洪水で、約80万人の最大孤立者数なら約72万人、約206万人の停電影響なら約190万人に減るとした投資効果も示した。

 委員からは、4600億円と国内のダム最高額の総事業費が消費増税や資材高騰で膨らむことを危惧する声が目立った。整備局は「総事業費内での完成をめざす」と回答。地滑りの危険性についても「地質調査を行っており、必要な安全対策は講じる」とした。

 監視委は公共事業の再評価が役割。八ツ場ダムは、民主党政権で必要性を再検証中の11年11月にも「建設継続が妥当」と判断した。整備局によると、再評価は通常3年に1回程度だが、八ツ場ダムは総事業費が大きく、4年延長の19年度完成とする基本計画変更もあったため、対象とした。(小林誠一)


 八ツ場ダムの建設負担金の支出差し止めを1都5県に求めた住民訴訟のうち、群馬分の控訴審第2回口頭弁論が9日、東京高裁であり、原告側申請の地質の専門家が、改めて予定地の地滑りの危険性を指摘した。

 証言した地質学者の坂巻幸雄氏は、予定地の一部の地質が「2万4千年前に浅間山の前身の火山が大爆発した時の堆積(たい・せき)物で不均質」「いつでも崩壊してくる」などと指摘した。

 2011年に国交省が打ち出した盛り土による地滑り対策も、水没時は浮力で効果が出にくいと述べ、疑問を呈した。また、貯水後は「地下水の環境が変わり、地滑りがますます活発化する」と見解を示した。被告側の県の代理人は反対尋問を行わなかった。

 次回弁論は来年2月10日。双方が最終意見を述べるほか、原告の意見陳述が行われ、結審する見通し。(井上怜)