八ッ場ダム事業では、水没予定地の住民のための移転代替地をダム湖予定地周辺に造成する「現地再建ずり上がり方式」が採用されています。代替地計画は八ッ場ダム事業における「生活再建」の根幹をなすものです。
 当初の計画では、1990年代に代替地への住民の移転が完了し、2000年度に八ッ場ダムが完成する予定でしたが、計画は大幅に遅れ、代替地はいまだに造成中です。
 代替地への移転希望者は、国交省による2005年の意向調査によれば134世帯でした。水没、道路建設などによる移転世帯数は422世帯でしたから、代替地への移転希望世帯はその三分の一以下となったわけです。当初は代替地への移転を希望した住民の多くが代替地計画に見切りをつけて別の土地に移転してしまった理由は、代替地の分譲地価が周辺地価よりはるかに高額に設定されたこと、代替地の分譲が大幅に遅れたこと、代替地での生活再建の見通しが立たないこと、人工造成地の代替地の安全性に不安があることなどです。
 2005年当時は代替地への移転を希望した世帯の中にも、分譲希望を取り下げてよその土地に移住した住民が少なからずおり、代替地に移転した世帯数は71世帯にすぎません。
 国交省は今年5月、分譲基準の見直しを行うことを住民に明らかにしました。昨日は上毛新聞の一面に関連記事が掲載されました。「年内にも(住民の)意向の再確認に乗りだす」とのことですが、先行きは依然として不透明です。

2013年8月17日 上毛新聞一面より転載

ー八ッ場ダム 住民の意向再確認 代替地分譲で国交省ー

 八ッ場ダム事業に伴い、水没予定地や道路整備などで移転を余儀なくされた住民の代替地分譲をめぐり、国交省八ッ場ダム工事事務所は年内にも、意向の再確認に乗りだす。代替地整備は2005年に行った意向調査を基にしているが、時間がたち、地区外移転や家族構成の変化などで分譲希望を取り下げたり、追加分譲を希望する人が見込まれるため、すでに水没5地区には方針を説明しており、今後の分譲方法についてあらためて意見を聞いた上で、見直し作業を始める。

 同事務所によると、05年の調査で代替地を希望したのは134世帯。ところが、移転済みはことし3月末時点で71世帯にとどまっている。代替地整備の遅れだけでなく、分譲希望を取り下げる人が出ていることが理由にある。一方、同事務所は、現在の分譲基準に面積の上限があるため追加分譲を断念している人がいると判断。以降の再確認とともに、これまでの基準の一部を見直し、問題を解決したい考えだ。

 5地区のダム対策委員会に示したスケジュール案は、まず分譲を希望しながら土地取得が難航するなど自己都合以外の理由で代替地が整備されていない人に意向を再確認する。その結果、追加分譲が可能な区画が生じたら、国が情報提供し、分譲希望者がいるか確認する。追加希望の区画が競合した場合、希望者間の話し合いで決めるーなどとしている。

 同事務所は「今は代替地分譲を変更したい人に対処するルールがない。公平に進めるにはどうしたらいいか、いろいろな意見を踏まえて決めたい」としている。