国土交通省関東地方整備局は今年8月、八ッ場ダムの完成を4年延長する計画変更案を提示しました。
 八ッ場ダムの計画変更は、2001年、2004年、2008年に続き、これで四度目になります。
 計画を変更するためには、関係都県の同意手続きが必要です。八ッ場ダム事業に参画している利根川流域一都五県はすべて国交省と共に八ッ場ダム事業を推進する立場であり、知事も議会も同様です。このため、各知事らが都県議会に意見照会する手続きは形式的なものにすぎず、予想された通り、各都県では開会中の議会が次々と計画変更への同意を明らかにしました。昨日28日に茨城県議会が同意議案を可決したことにより、すべての関係都県の同意が確定しました。
 付帯意見として、各都県は工期短縮と事業費圧縮に努めるよう関東地方整備局に求めていますが、群馬県は「現地の安全確保に万全を期し、地質調査と地滑り対策を十分に行うよう」求めています。工期短縮と事業費圧縮は安全性の確保と相矛盾することですので、両方の実現は不可能です。矛盾を矛盾のまま、将来に先送りされることになります。
 群馬県企業局は、「工期延長の期間は暫定水利権を安定水利権と同等の扱いとするように」との意見を付けたとのことです。八ッ場ダムが無くとも暫定水利権を安定水利権と同様の扱いにできるのであれば、そもそもダムは必要ないことになります。もっとも、八ッ場ダム事業による暫定水利権は、これまで安定水利権と同等の扱いを受けてきているのですが・・・。

 関連記事を転載します。

◆2013年10月29日 上毛新聞

 -工期延長に同意 八ッ場で1都5県ー

 国土交通省が八ッ場ダム(長野原町)の工期を2015年度から19年度へ延長する計画変更を提示したことに対して、本県を含む利根川流域1都5県が28日までに同意した。茨城県が提出した同意議案を県議会が同日可決、対応が出そろった。
 付帯意見では、1都5県それぞれが「さらなる工期延長がないよう万全を期し、工期短縮に努めること」とできる限りの早期完成を求めた。今回の計画変更では事業費4600億円は据え置かれたが、各都県とも「コスト縮減を図り、事業費の圧縮に努めること」と注文を付けた。
 本県はさらに、現地の安全確保に万全を期し、地質調査と地滑り対策を十分に行うよう求めた。
 同省は1都5県のほか、関係利水者にも意見照会しており、水道と工業用水、発電で関係する県企業局は、延長に同意した上で「工期延長の期間は暫定水利権を安定水利権と同等の扱いとするように」との意見を付けた。藤岡市は意見を付けずに同意した。
 大沢正明知事は本県の同意案が可決された後の定例会見で、早期のダム本体着工と太田昭宏国交相の現地視察を求める考えを示している。

◆2013年10月29日 読売新聞群馬版
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20131028-OYT8T01605.htm

 ー八ッ場ダム基本計画変更 同意出そろうー

 八ッ場ダム(長野原町)の工期を4年間延長し、2019年度までとする国土交通省の基本計画変更に知事が同意する議案が28日、茨城県議会で可決され、群馬を含む利根川流域1都5県すべての同意が決まった。茨城県は同日、関係利水者としても同意する意向を決めたため、知事と利水者すべての同意が出そろった。

 八ッ場ダムは当初2000年度の完成予定だったが、これまで工期が2度延長され、今回は3度目となる。約4600億円の総事業費に今回変更はない。

 国が群馬県に示した工程表では、八ッ場ダムの本体着工は14年度半ば頃で、19年度半ばに完成する予定。

 特定多目的ダム法は、基本計画を変更する際、国は〈1〉関係知事〈2〉関係利水者――の意見を聴くと定めている。八ッ場ダムの場合、関係知事は1都5県、関係利水者は群馬県や藤岡市など延べ11団体になる。

 知事が意見を述べる際は各議会の議決を得る必要がある。群馬県では8日、東京都と埼玉県で11日、栃木県で16日、千葉県で22日に可決された。栃木県が全員賛成、ほかはすべて賛成多数だった。1都4県が「更なる工期延長は行わない」(群馬県)、「総事業費の圧縮に努める」(千葉県)など議案に意見を付け、栃木県は議案とは別に「工期厳守」「コスト縮減」などを求める要望を国に提出した。

 同省によると、関係利水者のうち延べ10団体が同意する趣旨の意見を既に提出した。残る茨城県の水道事業は「28日中に同意意見を郵送で提出する」(県水・土地計画課)という。

 同省は、同法で定められている関係行政機関(農林水産省や財務省など6機関)との協議も進め、「手続きが終わり次第、基本計画変更を公示したい」としている。