八ッ場ダムをストップさせる千葉の会より、最高裁の判決に対する抗議声明を送っていただきましたので、掲載します。

   八ッ場ダム千葉訴訟最高裁決定に対する抗議声明
                                  2015年9月11日

 最高裁判所第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は、本年9月8日付けで、八ッ場ダムに関する公金支出差止等請求住民訴訟(千葉事件)に対する決定を下した。決定は、上告を棄却する、上告審として受理しないという不当極まりないものであった。上告人兼上告受理申立人らは、最高裁に向けて、これまでに300頁を超える理由書と、第1ないし第5の5回にわたる理由補充書を提出し、控訴審である東京高裁判決の誤りを明らかにしてきた。しかるに、最高裁判所第三小法廷は、わずか数行の理由を述べるだけで上記の決定を行った。これは、最高裁に課せられた使命をかなぐり捨てるものであって、厳重に抗議する。

 本事件の控訴審:東京高裁判決は、①判断枠組みとして、地方自治体の国に対する独立性を認めない、すなわち地方には国の判断を取り消す権限がないとして、国の判断に重大かつ明白な違法ないし瑕疵がない限り、違法と認めることはできない②八ッ場ダムの利水については千葉県の行った将来の水道需要予測及び水源評価は、直ちに合理性を欠くものとは認められない③治水については、原因行為が著しく合理性を欠き、そのために予算執行の適性確保の見地から看過できない瑕疵が存する場合でない限り、千葉県は支出する義務を負う④ダム建設に関する基本計画が無効であるという場合でなければ違法にならない、という一審千葉地裁判決と同じ判断枠組みに立って、国の主張を丸呑みにして本件支出命令が違法であるとは言えないとして請求を棄却したものであった。

 この度の最高裁の決定は、控訴審の判決の誤りをそのまま踏襲し、上告人兼上告受理申立人らの主張をまともに受け止めようとしないもので、行政がすすめる公共事業の無駄遣いを司法の立場でチェックしようとせず、むしろ無駄な公共事業を積極的に奨励するものにほかならない。

 本件判決は司法の役割を放棄した不当な内容である。
折しも、今回の台風18号の鬼怒川堤防決壊による甚大な被害が発生したことは、八ッ場ダム等の大規模ダム建設を優先し堤防強化を後回しにしてきた結果にほかならない。「これまでの河川行政はダムによる治水を優先し、堤防の強化を後回しにしてきた。国が管理する鬼怒川クラスの川が決壊するのはまれ。人災という面はあると思う」と河川工学者である京都大学今本博健名誉教授はコメントしている。同氏や新潟大学大熊孝名誉教授など本訴訟は多くの学識者の知見に基づき、本訴訟を進めてきていることからも、最高裁決定を断じて認めることはできない。最高裁の理解を得られなかったことは非常に残念であり、司法のあり方の根幹が問われる重大な結果である。私たちはダム建設よりも堤防強化を優先して進めるべきとの主張を引き続き行い、住民の生命・財産を守る真の治水政策への転換を求め、闘い続けることを表明する。今後とも他県の住民訴訟の控訴人とともに手を携え、八ッ場ダムの不要性を訴えて活動していくことを表明する。今後とも皆様のご支援をお願いしたい。

                            八ッ場ダムをストップさせる千葉の会上告人団
                            共同代表 中村春子・村越啓雄
                            八ッ場ダムをストップさせる千葉の会弁護団