昨日4日に開催された群馬県議会の総務企画委員会において、八ッ場ダムの5度目の計画変更(再増額)に同意する議案が自民、公明などの賛成多数で可決されました。反対したのは後藤克己議員(リベラル群馬ー民進党系)でした。

 昨日の同委員会では、当会が提出した請願も取り上げられました。この請願は八ッ場ダムの計画変更案に群馬県が同意しないよう求めるもので、後藤県議は採決を求めましたが、自民党の提案により継続審議となりました。自民党は今回の計画変更案に強く反発しており、そのため、計画変更同意議案には賛成するものの、請願は継続審議という、一見わかりにくい判断をしたものと思われます。(請願の全文はこちらに掲載しています。)
 
 これに先立って、産経土木委員会と総務企画委員会が合同で八ッ場ダム計画変更同意案について連合審査会を開きました。ここでは、自民党会派を代表して萩原渉議員が質疑を行いました。ダム予定地を抱える吾妻郡選出の萩原県議は、5度目の計画変更案を提示した国の姿勢を厳しく批判し、前回2013年の八ッ場ダム計画変更(工期2015年度→2019年度へ延長)の際、工期延長に伴い、増額も必要になるのではないか、との疑問に対して、国交省が「基礎岩盤が想定より頑強であったので、コストを縮減でき、増額はない」としながら、今回は「基礎岩盤が想定より悪かったので増額」という説明は納得がいかないと、県の見解を質しました。しかし、地元住民の生活再建のためにダムの早期完成を求めるとし、民主党政権の「ダム中止政策」によりダム事業が遅れたと、民進党に矛先を向けて質疑を終わりました。

 これに対して議案に反対の立場のリベラル群馬の後藤県議は、2009年に民主党政権が「八ッ場ダム中止」を掲げた後も、ダム予定地では生活再建事業が続けられてきたことを現場を見て知っているなら知っている筈だと反論、ダム事業の遅れは国のダム計画そのものにも原因があるとし、さらに、地すべりなど、今後新たな状況が生まれることにより、更なる計画変更(増額・工期延長)の可能性があるにも関わらず、県が「現時点では今後計画変更の可能性はない」と説明する国を信じて、5度目の計画変更を受け入れるのであれば、県が提案している付帯意見では弱すぎる、事業費がさらに増額となったとしても、今後はすべて国が負担するよう求めるとの意見を付すべきと訴えました。

 昨日は、もともと八ッ場ダム事業を扱う産経土木委員会でリベラル群馬の本郷議員が八ッ場ダムの質疑を申し入れていましたが、安孫子哲委員長(自民)が総務企画委員会との連合審査会で八ッ場ダムを扱うという理由で、質疑を認めませんでした。

 群馬県議会では最終日12日の本会議で八ッ場ダム計画変更同意議案への全議員による採決が行われる予定です。

 関連記事を転載します。
 (下記の朝日新聞の記事では、後藤県議が「(ダム予定地)周辺で地滑りも起きた」と発言したとされていますが、後藤県議の発言は、今後も地滑りが起きる可能性を指摘したものでした。)

◆2016年10月5日 東京新聞群馬版
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201610/CK2016100502000202.html
ー八ッ場ダムの基本計画変更議案を可決 県議会常任委ー

 県議会の総務企画常任委員会が四日開かれ、国土交通省が示した八ッ場(やんば)ダム(長野原町)の基本計画変更案に同意を求める議案を賛成多数で可決した。
 国交省は八月、事業費を従来の約四千六百億円から約五千三百二十億円に増額する変更案を公表。増額分の一部は関係する群馬など一都五県が分担する。変更は五回目で、当初の事業費は約二千百十億円だった。

 県は徹底したコスト縮減、情報共有、地元住民の生活再建事業の早期完了などを条件に、変更案に同意する議案を開会中の県議会定例会に提案している。
 総務企画常任委に先立ち、議案に関係する産経土木常任委との連合審査会が開かれた。この中で萩原渉県議(自民)は「五度目の変更となり、(本来は)承服できない。これ以上の変更はあってはならない」と指摘した。
 後藤克己県議(リベラル群馬)は「今後さらなる増額は同意できない。その際、増額分は国の責任で費用を出してほしい。(この二点を)県として議案の条件に付けて国に求めるべきだ」と主張した。
 県特定ダム対策課は「国から増額はもうない、と聞いている。県議会のご指摘を国に伝えたい」と答弁するにとどまった。

 一方、総務企画常任委では、建設に反対する市民団体「八ッ場あしたの会」が、県に変更案に同意しないよう求めた請願を賛成多数で継続審議とした。 (菅原洋)

◆2016年10月5日 毎日新聞群馬版
ー八ッ場ダム増額案可決 県議会委、原案のままー

 長野原町に建設中の八ッ場ダムの事業費を増額する国の基本計画変更案に対する県の同意案について、県議会総務企画常任委員会と産経土木常任委員会は4日、連合審査会を開いて集中審議した。「これ以上の増額があった場合は、県の負担ではなく、国が責任を負うべきと(同意案に)明記すべきではないか」などの意見も出たが、その後の総務企画常任委では原案のまま賛成多数で可決された。12日の本会議で可決する見通し。

 今回の計画変更案は5度目。集中審議で後藤克己議員(リベラル群馬)は「(2013年の)4度目の計画変更案の時、『5度目の変更はあり得ない』という認識を知事も示していた。今後、また増額の話が出てくるのではないかと危惧している。国に対する意見を強めるべきではないか」と指摘した。しかし、県特定ダム対策課の福渡隆課長は「いろいろな議論があったことは国に伝える」と応じるにとどめた。

 国の計画変更案によると、事業費は720億円増の5320億円になり、県の負担額は約33億円増の約249億円になる見込み。【鈴木敦子】

◆2016年10月5日 朝日新聞群馬版
 http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20161005100580001.html
ー事業費増額案 県議会委が可決ー

 八ツ場ダム(長野原町)の事業費を約720億円増額する基本計画の変更に同意する県の議案について、県議会の総務企画常任委員会は4日、「総事業費を圧縮し、一日も早く完成させる」「生活再建事業を早期に完了する」などとする意見書とともに可決した。本会議で採決される。

 この日、総務企画常任委と産経土木常任委の合同で開かれた審査会では、萩原渉県議(自民)と後藤克己県議(リベラル群馬)が会派を代表してそれぞれ意見を述べた。

 萩原県議は「ダム湖の完成が観光業など地元住民の生活再建につながる。これ以上の増額、工期延長はあってはならない」と指摘。民主党政権がダム工事の中止を決め、約4年間の空白があったことにも触れた。

 これに対し、後藤県議は「周辺で地滑りも起きた。ダムを再検討した民主党政権のせいで4年間工期が遅れたというのは責任転嫁だ」と反論した。意見書については「県として強い姿勢を示す意味で、『これ以上の負担増は同意できない』と表明してもよいのでは」と述べた。福渡隆・特定ダム対策課長は「指摘があったことは国に伝えたい」と答えた。

 県などによると、増額のうち、県負担分は約33億8千万円。主な増額の内訳は、建設業界の人手不足による人件費や資材費の上昇分233億円、地盤対策工事費の増加分202億円、地滑りなど安全対策の変更分141億円。工期は19年度までで変わらないとしている。

◆2016年10月5日 読売新聞群馬版
ー八ッ場事業費増に同意 県会委で可決 早期完成求めるー

 長野原町の八ッ場ダム建設で事業費を約720億円増額する国土交通省の基本計画の変更について、県議会総務企画常任委員会は4日、変更案の同意に関する議案を賛成多数で可決した。
 議案では、変更案に同意するとしたうえで、①徹底したコスト縮減で総事業費の圧縮を行うとともに、確実な工程管理で一日も早く完成させる ②工期末を見据えた事業監理を適切に行うため、随時、関係都県と情報共有する ③地元の意向を尊重し、生アk津再建事業を早期に完了させるーことを付帯意見で求めている。

 同委では採決前、関連する産経土木常任委員会と連合で議案の審査を実施。県側は、建設資材・人件費の上昇の影響や、地質の判明による追加工事など計画の変更経緯を説明し、「(4回目の変更があった)2013年度以降に生じたやむを得ない要因で、不適切なものはなかった」と説明した。

 また、産経土木常任委員会ではこの日、国に対して、道路関係の予算や、公共事業の予算の増額を求める意見書を賛成多数で可決した。

◆2016年10月5日 産経新聞群馬版
 http://www.sankei.com/region/news/161005/rgn1610050046-n1.html
ー八ツ場ダム、国の責任に注文 群馬県議会常任委、増額同意案を可決ー

 八ツ場ダムの事業費増額に対し大沢正明知事が県議会に提出した意見付き同意案について、県議会総務企画常任委員会は4日、賛成多数で可決した。
 それに先立ち、同委員会と産経土木常任委員会の連合審査会が開かれ、改めて県側から増額の要因の説明や議員の質疑が行われた。

 大沢知事は「一日も早く完成させること」「生活再建事業では地元の意向を尊重すること」などの意見を付けて国の増額方針に同意を示しており、議員からは「今後の増額に関しては『国が責任を持つように』と強く意見を言うことはできないか」などの指摘が出た。
 県土整備部特定ダム対策課は「これ以上の増額はないと認識している。少なくとも、このような意見があったことは国に伝えたい」としている。