昨日、八ッ場ダム本体工事の落札業者が発表されました。
 http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000134.html

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 「八ッ場ダム本体建設工事の落札決定について」(国土交通省関東地王整備局 記者発表資料)
 落札者:八ッ場ダム本体建設工事清水・鉄建・IHI異工種建設工事共同企業体
 入札価格:34,250,000,000円(税抜き)

 ※入札に参加した業者名、入札価格、評価値等は、「入札調書(総合評価落札方式)」をご参照ください。(下記URL)
  http://www.ktr.mlit.go.jp/honkyoku/river/content/sankou01.pdf
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 清水JVと大成JVは入札価格は同額ですが、技術力を評価された清水JVが落札という結果です。

 利益率の高いダム本体工事は、ゼネコンが落札にしのぎを削るといわれます。談合表は過去何度も書きかえられたということですが、最近では鹿島建設が最有力とされてきました。鹿島建設はダム本体工事の高い技術力を国交省に買われており、特に利根川水系に強いとされ、2012年には栃木県の湯西川ダムを清水建設と共同企業体で完成させています。
 
 今回の八ッ場ダムの本体工事は、今年1月8日に入札公告が出されました。遅れに遅れている事業だけに、当初から工期の短縮が課題とされてきました。
 http://yamba-net.org/?p=6697

 入札公告から約一カ月の指定期間に名乗りを上げた三つの共同企業体(JV)が入札に参加することになりました。鹿島建設JVと大成建設JV,大林組JVです。鹿島建設は湯西川ダムと同様、今回も清水建設とJVを組んでいました。

 ところが、入札期間中の今年3月1日、以下の記者発表資料にあるように、東京港トンネル工事において、トンネル坑内で擁壁が倒れ、作業員が死亡する事故が発生したことから、国交省関東地方整備局は鹿島建設と大林組に対して、5月2日から二週間、指名停止措置を行ないました。
 http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000103688.pdf

 入札期間中、指名停止措置を受けた業者は入札参加を失うことになっており、この時点で鹿島建設と大林組は入札参加資格を失いました。共同企業体の他の企業は入札参加資格がありますので、他の企業を入れた新たな共同企業体を編成して入札に参加することができます。
 今回の場合、本命の鹿島建設JVは清水建設が残り、清水建設は新たに鉄建建設、IHIとの共同企業体をつくって八ッ場ダム本体工事を落札しました。
 このことは事前に予測されたことです。鹿島建設の技術力を買っている国交省関東地方整備局は、鹿島の技術を引き継ぐ形となる清水JVを選ぶだろうといわれていました。

 というのも、指名停止期間の初日となる5月2日、国交省関東地方整備局は、八ッ場ダム本体工事の入札手続きの重要な節目である「技術対話」に入札参加資格を失った鹿島建設を参加させていたからです。これは、以下のページに転載した赤旗スクープ(7月27日付け)によって初めて明らかになりました。
 http://yamba-net.org/?p=8348
 

 鹿島建設が入札参加資格を失っても、国交省関東地方整備局としては鹿島の技術を使いたかったのでしょう。関東地方整備局は当初、指名停止期間は記者発表をした5月2日の午後2時以降であり、鹿島建設を参加させた「技術対話」は同日の午前中に行ったので問題ないと、言い逃れのような説明をしていたようです。
 しかし国交省の運用基準によれば、「指名停止」は上記の記事にもあるように4月28日からです。鹿島建設は5月2日の「技術対話」に参加する資格がありませんでした。

 このように、鹿島建設を「技術対話」に参加させたことは重大な不正であることが明らかとなったため、8月6日、当会では国土交通大臣と関東地方整備局長に以下の入札中止の申し入れ書をファックスしました。
 http://yamba-net.org/?p=8376
 

 しかし、関東地方整備局は一昨日、開札を強行しました。

 こうした経緯から、八ッ場ダムの本体工事には鹿島建設の技術提案が活かされることになるでしょう。太田国交大臣は6月25日に八ッ場ダム予定地を訪れ、「完成の前倒し」に含みを持たせる発言をしたことが報道されましたが、これも鹿島の技術提案を踏まえたものとみられます。

 しかし、手続きに大きな不正のあったことは、八ッ場ダム本体工事に今後、影を投げかけることになるでしょう。また、たとえ高い技術力によって本体工事を進めることができたとしても、新たに浮上した大量の有害資材が使われたダム湖周辺の代替地の問題、以前から問題視されてきたダム湛水による災害誘発の危険性など、課題は山積みです。本体工事がこれらの課題を積み残したまま着工されれば、そのツケは将来世代が負わされることになります。八ッ場ダム事業が続く限り、新たな困難な問題が次々と顕在化してゆくでしょう。

【参考】関東地方整備局における総合評価落札方式の適用ガイドライン 平成26年度版より4-2

http://www.ktr.mlit.go.jp/gijyutu/gijyutu00000044.html

 入札・契約手続きの流れ
 キャプチャ流れ5

 関連記事を転載します。
 記事中に「工期は2018年10月1日まで」、「約50カ月とされる工期」などの表現がありますが、これは本体工事の工期を示すものではありません。後年度の支払いを約束する「国庫債務負担行為」の上限は5年までとなっているため、2014年度から2019年度までという本来の本体工事の工期の契約を今回はできなかったという事情によるものです。
 2018年10月1日以降は随意契約を結んで工事が続けられるはずです。現在の八ッ場ダム基本計画の工期は2020年3月末までです。

◆2014年8月7日 読売新聞群馬版
ー八ッ場ダム本体工事 落札業者 今日決定へー

 国土交通省関東地方整備局は6日、長野原町の八ッ場ダム本体工事の一般競争入札を開札した。落札業者は、価格のほか、施工日数を短縮する技術提案と施工体制を総合的に評価して7日に決まる予定。同省は八ッ場ダムについて2019年度の完成を予定している。

◆2014年8月8日 読売新聞群馬版
ー八ッ場本体 清水JV落札 完成早まる可能性ー

 国土交通省関東地方整備局は7日、長野原町に建設する八ッ場ダム本体工事の一般競争入札で、清水建設(東京都)と鉄建建設(同)、IHIインフラシステム(大阪府)の共同企業体(JV)が342億5000万円で落札したと発表した。10月頃に着工する。同JVは、入札時に施工日数を短縮する技術提案をしており、ダムの完成が予定よりも早くなる可能性がある。
 入札には三つのJVが参加し、①価格 ②施工日数を予定の2018年10月1日から短縮する技術提案 ③施工体制ーを総合評価する方式で行われた。同整備局は、まだ契約を結んでいないことを理由に詳細を明らかにしていないが、工期が一定程度、前倒しされることが見込まれる。

 ダムは本体工事の後、関連工事や試験湛水を経て、19年度に完成する予定。総事業費は約4600億円。
 ダムを巡っては、09年9月に民主党の鳩山政権が建設中止を表明したが、11年12月に野田政権が建設継続を決め、大きく混乱した。それだけに、地元では安堵の声が広がっている。

 川原湯温泉協会の樋田省三会長(49)は「ダム湖ができれば、観光客も増えるはずだ」と期待感を示した。長野原町の萩原睦男町長は7日、取材に対し、「落札業者が無事に決まり安心した。早期完成に向けて工事を進めてほしい」と歓迎する一方、「地元の生活再建が一番大切だ。国はしっかりと対応してほしい」と注文をつけた。国の地域活性化の取り組みに不満を持つ住民が少なくないためで、大沢知事もこの日発表したコメントで、「国は、ダム湖を前提として進められている生活再建事業について、地元の意向を尊重したうえで、全力で取り組んでいただきたい」と強調した。

 一方、ダム建設に反対している市民団体「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「参加資格を失った業者が入札手続きに関与している」と批判した。これに対し、同整備局は「手続きは適正に行われていると理解している」と説明している。

◆2014年8月8日 建設通信新聞
http://www.kensetsunews.com/?p=36559
ー直轄最後の大ダム 八ッ場ダム/清水JVに決まるー

 国土交通省直轄最後の大ダムで首都圏の水がめ、八ッ場ダム本体建設工事は7日、3JVが総合評価一般競争入札で競い、342億5000万円(税別)で清水建設・鉄建・IHIインフラシステムJVに決定した。技術競争では、特に水門の工期短縮が焦点となり、同JVが高い評価点を得た。ことし1月6日に公告となった本体工事は、5月2日の技術ヒアリング以降も、JVの編成替えなど施工者決定まで波乱含みだっただけに、今回の決定は業界の注目を集めていた。 =関連6面
 1952年の調査着手以来、数次にわたる激しい反対運動、民主党政権時の突然の事業凍結、審査中の入札中止という荒波を受けてきた同ダムは、60年以上の歳月を経て、ようやく本体施工業者が決定し、首都圏最後の水がめとして着工されることになる。
 首都圏の大プロジェクトとして、国立競技場改築、リニア中央新幹線とそのターミナル駅周辺開発、横浜環状北西線と並んで技術総合力の勝負とされていた外環道大深度地下シールドに続いて八ッ場ダムが決定したことで、残るプロジェクトの競争は、さらにしのぎを削ることになる。 [ 2014-08-08 1面 面名:1面]

 http://www.kensetsunews.com/?p=36574 
ー342億で清水JV/紆余曲折を経て着工/整備局の八ッ場ダム本体ー

 関東地方整備局は7日、WTO(世界貿易機関)対象の八ッ場ダム本体建設工事を総合評価一般競争入札(技術提案評価AIII型)し、342億5000万円(税別)で清水建設・鉄建・IHIインフラシステムJVに落札決定した。

 入札には異工種JVを組んだ3JVが参加。同JVを含む2JVが価格1位で並んだものの、技術評価では加算点と施工体制評価点の合計100点、標準点と加算点、施工体制評価点の合計200点となり、評価値0.583を取得した清水建設JVが上回った。開札は6日。  
 今回の総合評価は、技術提案の評価で、参加者のうち最大の短縮日数かつ365日以上を短縮する企業に70点を与えるなど、工期短縮を最大のテーマに据えた。

 概要は、型式が重力式ダム。堤高116m。一般土木工事はダム土工が約60万m3、原石山土工が約110万m3、堤体工が約90万m3、基礎処理工が約2万3000m、法面工、仮設工各一式。機械設備工事は、ダム用水門設備製作、据付各一式となる。工期は18年10月1日まで。
 工事場所は、左岸が群馬県長野原町大字川原畑字八ッ場、左岸と原石山が同町大字川原湯字金花山。

 八ッ場ダム建設事業は、1947年のカスリーン台風の被害を契機に作成した利根川改修改訂計画の一環として52年に調査を開始。67年にダム事業を詳細を詰める実施計画調査により、計画の具体化に向けて動き出す一方で、地元の反対運動が加速・長期化する中、粘り強い交渉を続けてきた。

 80年代に、生活再建案や振興対策案の提示(80年)、ダム建設基本計画告示(86年)を経て合意形成を進め、92年に用地補償調査の協定を締結。01年に補償基準を妥結し、道路、鉄道、代替地などの整備が本格化した。

 09年には関東整備局が本体工事の発注手続きに着手したが、同年9月に成立した民主党政権によるダム事業の中止宣言により事業は凍結。同局の再検証手続きを経て、11年12月に事業継続が判断されるなど紆余曲折を経て、13年5月から本体工事関連工事の契約手続きを再開し、14年1月6日の本体工事公告に至った。

 応札者と入札価格、技術評価点は次のとおり((1)入札価格(2)加算点+施工体制評価点(3)標準点+加算点+施工体制評価点(4)評価値)。

 ▽大成建設・安藤ハザマ・佐藤鉄工JV=(1)342億5000万円(2)91.965(3)
191.965(4)0.560▽前田建設工業・株木建設・丸島アクアシステムJV=(1)371億1880万円(2)99.591(3)199.591(4)0.537。

◆2014年8月8日 朝日新聞群馬版
 http://www.asahi.com/articles/CMTW1408081000001.html

ー八ツ場ダム本体工事、清水建設JVが落札ー
 
 八ツ場ダム(長野原町)の本体工事について、国土交通省関東地方整備局は7日、総合評価落札方式による一般競争入札の結果、清水建設を代表とする3社の共同企業体(JV)が342億5千万円(税抜き)の入札価格で落札したと発表した。

 8月中に契約を結ぶ予定で、今秋の着工が確実になった。
 整備局によると、ほかに大成建設など3社のJVと前田建設工業など3社のJVが応札し、3組の入札価格のほか、約50カ月とされる工期の短縮などの技術提案を点数化した。

 清水建設と鉄建建設、IHIインフラシステムの3社のJVは入札価格で大成建設などのJVと並んだが、評価点で上回った。契約締結後に施工計画を提出し、秋には工事に入る見込みだという。

 大沢正明知事は7日、「地元のみなさんがこれ以上、将来の不安や不便な生活に苦しむことがないよう、最大限工期短縮に努力して完成させていただきたい」とする談話を出した。

 八ツ場ダムの本体工事は、民主党政権が2009年秋に公告済みだった入札を中止したが、再検証後の11年に建設再開を決めた。国交省は昨年、4度目の基本計画変更で工期を19年度に4年間延長した一方、今年度予算に本体工事の事業費を5年ぶりに盛り込んでいた。(上田雅文)

◆2014年8月8日 上毛新聞 (紙面記事を転載します。)
ー八ツ場本体工事324億 清水JV落札 10月にも着工ー

 長野原町に建設中の八ツ場ダムについて、国土交通省関東地方整備局は7日、ダム本体建設工事の一般競争入札で、落札者を「清水・鉄建・IHI異工種建設工事共同企業体」(JV、代表・清水建設)に決定したと発表した。
 入札価格は342億5000万円で、公告で示している工期は契約締結の翌日から2018年10月1日まで。

 一般的に契約は落札から1~2週間後とされ、本体工事は10月にも始まる見通し。本体工事では土砂を掘削したり、本体や放流ゲートを造る。終了後は関連工事やダムに水をためる「試験湛水」が行われる。
 基本計画では八ッ場ダムは19年度の完成予定で、総事業費は約4600億円になる見込み。

 大沢正明知事は「地元がこれ以上、将来の不安や不便な生活に苦しむことの内容、最大限工期短縮に努力して一日も早くダムを完成させていただきたい。生活再建事業は地元の意向を尊重し、早期完成に全力で取り組んでほしい」との談話を発表した。

 本体工事の入札はことし1月8日に公告され、今月4日に締め切り、同6日に開札していた。
 入札には清水・鉄建・IHIと大成・安藤・間・佐藤鉄工、前田・株木・丸島の3つのJVが参加した。入札価格と工期短縮の技術提案、施工体制を総合評価し、最も評価値が高かった清水・鉄建・IHIのJVが落札した。

◆2014年8月8日 東京新聞
ー八ッ場ダム、342億円落札 清水JV,10月にも着工ー

 国土交通省関東地方整備局は七日、群馬県の八ッ場ダム本体工事の一般競争入札で、清水建設など三社でつくる共同企業体)JV)が落札したと明らかにした。落札価格は税抜き三百四十二億五千万円。ほかに二つのJVが入札に参加した。
 本体工事は十月にも始まる見通しで、二〇一九年度に完成する予定。水没予定地の家屋移転や道路の付け替えは既に進んでおり、本体工事ではダムの設置予定地で土砂を掘削したり、本体や放流ゲートを整備したりする。
 総事業費は約四千六百億円の見込み。

 八ッ場ダムは国が利根川支流に建設する多目的ダム。民主党政権誕生後の〇九年九月、前原誠司国交相(当時)が中止を表明していったんストップしたが、有識者らの検証を経て一一年十二月に前田武志国交相(当時)が事業の再開を決めた。
 群馬県の大沢正明知事は「地元がこれ以上、将来の不安や不便な生活に苦しむことのないよう、最大限工期短縮に努力して一日も早くダムを完成させていただきたい」との談話を発表した。