キャプチャ 1月22日に八ッ場ダム本体工事を開始した国土交通省関東地方整備局は、2月7日に本体工事の起工式典を開催しました。式典会場となったのは、ダム予定地を抱える群馬県長野原町の体育館「若人の館」でした。
(写真右=起工式典で祝辞を述べる国土交通省関東地方整備局の越智繁雄局長)

 この会場では、1月24日、土地収用の手続きの一環である事業説明会が開かれています。事業説明会では広い体育館にわずかの参加者でしたが、今回は関係都県、受注業者、政治家、地元のダム関係者など、多くの招待客が詰めかけました。
 当日の速報ニュースや八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会による抗議行動については、こちらに掲載しています。
 http://yamba-net.org/?p=10527

 翌日の紙面記事を転載します。
 上毛新聞記事の末尾に、ダムの完成が予定の2020年3月に前倒しされる可能性もある、と書かれていますが、前倒しの可能性に具体的な根拠があるわけではありません。このところ、同紙は群馬県の意向を汲んでか、ダム完成前倒しの可能性を繰り返しています。
 東京新聞社会面の記事は、サブタイトルが「節目の日、反対住民招かず」となっていましたが、ネット記事では、「節目の日、一部住民招かず」となっています。実際には、招かれたのは賛成反対問わず、一部住民のみであったようです。

◆2015年2月8日 上毛新聞
ー八ッ場本体工事 起工式 ダム早期完成祈る 長野原ー

 八ッ場ダム(長野原町)建設事業で、国土交通省関東地方整備局は7日、同町で本体工事を記念する起工式を開いた。地元住民をはじめ、国会議員や県議、工事関係者ら計約300人が出席し、ダムの早期完成と工事の安全を祈った。
 事業は国の調査開始から60年余りを経て、本体工事の節目を迎えた。越智繁雄同局長は式辞で「『八ッ場ダムができて良かった』と思ってもらえるようにしたい」と述べ、生活再建に万全の対応を取る考えを示した。

 大沢正明知事は「国には工事を着実に進め、一日も早いダムの完成をお願いしたい。県も周辺地域の生活再建に取り組んでいく」と祝辞を述べた。下流域の1都4県を代表して埼玉県の上田清司知事は「下流都県は上流の地権者の犠牲の上に生活の安全が築かれる」と話した。
 長野原町の萩原睦男町長は「先人たちが苦渋の決断をしたことを忘れてはならない。国と県、町が一致団結して明るい町づくりを進める」と決意を新たにした。続いてダムの事業説明や会場内に準備された砂山でくわ入れ式が行われ、くす玉を割って祝った。

 一方、ダム建設に反対する市民グループは同日、起工式会場前で横断幕を掲げて工事の中止を訴えた。
 八ッ場ダムは吾妻川に建設する多目的ダム。民主党政権下で一時凍結されるなど曲折を経た。総事業費は約4600億円。1月21日から基礎掘削が始まり、2018年5月には高さ116メートルの堤体が姿を現す見通しだ。基本計画でダム事業の完成は20年3月とされるが、作業の進み具合で前倒しされる可能性もある。

◆2015年2月8日 朝日新聞群馬版
http://digital.asahi.com/articles/ASH275G79H27UHNB00G.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH275G79H27UHNB00G
ー群馬)知事「生活再建」を強調 八ツ場、本体起工式ー

 長野原町に国が建設中の八ツ場ダム本体工事の「起工式」が7日、同町の体育館であった。大沢正明知事や県選出国会議員、地元関係者ら約200人が出席し、ダムの早期完成と住民の生活再建促進への期待を口々に語った。祝賀ムードに包まれた式典だったが、会場の外では市民団体が「ダム反対」を訴えた。

 建設予定地では先月21日から、吾妻川をせき止める堤体(本体)工事の第一歩となる「基礎掘削」が始まっている。計画浮上から63年。起工式は「節目の行事を」との地元の要望を受け、国土交通省が企画した。

 式典で大沢知事は、早期完成を求めるとともに「生活再建なくして事業の完成はあり得ない。上信自動車道の整備を進めるなど、地域の発展にさらに取り組む」と語った。

 治水・利水の受益者となる下流都県からは埼玉県の上田清司知事が出席し、「上流のみなさんの犠牲の上に、下流都県の生活の安定がある。地域の振興をしっかり支えたい」と、生活再建への支援を強調した。

 県選出国会議員のうち自民党の6人が出席した。あいさつではそれぞれ民主党政権の「ダム中止宣言」に触れ、「先の見えない、つらい思いをされたと思う」(小渕優子衆院議員)などと述べた。

 会場には、水没予定地区から代替地に移転した住民たちも。長野原町議の豊田銀五郎さん(76)は「亡くなった先人たちのことを思うと、おめでたいなんて……」と言葉を詰まらせた。「住民が減って再建は厳しい。だが、先人の苦労に報いるためにも、ダムができてよかったと思えるようにしないと」

 一方、会場の外では建設中止を求める市民団体の二十数人が、プラカードや横断幕を掲げ、「八ツ場ダムは不要だ」「工事をやめろ」などと訴えた。千葉県松戸市の元高校教師、佐藤光子さん(69)は「人口減の時代に利水のダムは要らない。洪水防止にも役立たず、不合理きわまりない」と批判した。
     ◇
 国交省によると、基礎掘削の後、来年からコンクリートを流し込んで本体を造る作業に入る。水門設備の設置や試験的に水をためる工程を経て、2019年度の完成をめざしている。(土屋弘)

◆2015年2月8日 読売新聞群馬版
http://www.yomiuri.co.jp/local/gunma/news/20150207-OYTNT50428.html?from=tw
ー八ッ場ダム「先人の決断忘れぬ」…起工式ー

 一日も早い完成と地域の発展を――。7日に長野原町総合運動場「若人の館」で行われた八ッ場ダムの本体工事起工式には、地元関係者のほか、埼玉県など下流都県の代表者も参加。計画から63年でこぎ着けた式典に感慨深げだった。

 大沢知事は起工式で「県としても、上信自動車道の整備などを進めてこの地域が一層発展できるよう、町や国と連携して生活再建に取り組んでいく」とあいさつ。上田清司・埼玉県知事は、「下流都県は、上流の地権者の方々の犠牲の上に生活の安全が築かれている。その苦労をしっかりと支えていかなければならない」と話した。

 萩原睦男町長は、「先人たちがダム建設について苦渋の決断をして今日に至ったことは決して忘れてはならない」と述べ、地域振興について「国、県、町が一致団結して明るく将来が見通せるまちづくりを進めていきたい」と力を込めた。

 出席者らはその後、工事の安全を祈願して鍬くわ入れ式を行い、くす玉を割って本体の起工を祝った。会場の外では、ダム建設に反対の声を上げる市民団体の姿もあった。

 本体工事は先月21日に開始し、同22日には岩盤を掘り進める発破作業が始まった。同省によると、試験湛水たんすいなどを経て、2019年度中の完成を目指す。

 ◆2015年2月8日 東京新聞社会面
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015020802000114.html
ー計画63年 八ッ場起工式 節目の日、一部住民招かずー
 
 一月末に本体工事が着工した八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の起工式が七日、町内で開かれた。計画の浮上から六十三年。出席した地元選出の国会議員や首長、住民らが節目を祝う一方、反対派の市民団体は会場前で「工事をやめろ」と訴えた。招待されなかった住民もおり、地元の人々の胸には複雑な思いが去来した。 (伊藤弘喜)

 本体工事は民主党政権が二〇〇九年に中止を表明し、その後に中止を撤回。自公政権で昨年八月、入札が行われた。起工式は、紆余(うよ)曲折を経た事業の「ひとつの区切り」(県担当者)として県などが要望していた。

 式典には約二百人が出席。群馬県の大沢正明知事は「八ッ場ダムは下流都県の治水、利水になくてはならない施設。国には工事を着実に進め、ダムを完成させるようお願いする」とあらためて求めた。

 長野原町の萩原睦男町長は「大きな節目。犠牲を強いられた水没地域の住民や、もがき苦しんだ先人がいることを忘れてはならない」とくぎを刺した。

 一方、会場前では市民団体の十数人が横断幕を掲げ「工事をやめろ」と連呼。そのメンバーに対し、式典に招待された地元住民の豊田治明さん(79)は「反対するのが遅い。俺たちは六十年前から反対してるんだよ」と怒鳴り声を上げた。豊田さんは移転を受け入れたが、経営していた旅館の休業を余儀なくされた。

 本体工事こそ始まったが、ダム事業で移転を迫られた四百七十世帯のうち十四世帯は今も残っている。その一人で水没予定地に住む高山彰さん(61)も会場に駆けつけたが、招待されていないため国土交通省職員から「関係者以外は入れない」と退場を求められ、「住民が関係者ではないなんて」と憤った。

 高山さんら住民が所有する土地の収用問題もある。国交省は一月二十四日、土地収用法に基づく説明会を開き、強制収用に向けた手続きに入ったが、高山さんは「ふるさとから追い出されようとしている」と困惑した顔で話した。

 また、昨年十二月には、水没予定地の住民のために国が建設した移転代替地などの工事現場で、環境基準を超える有害物質が検出された問題が判明している。

◆2015年2月8日 毎日新聞群馬版
 http://mainichi.jp/area/gunma/news/20150208ddlk10010057000c.html
ーぐんま創生:点検・15年度予算 八ッ場ダム本体起工式 生活再建に期待と不安 /群馬ー

 民主党政権による建設中止判断が覆り、再び計画が動き出した八ッ場(やんば)ダムの起工式が7日、長野原町の「若人の館」で開かれた。自治体関係者や地元地権者ら約200人が出席。「祝 八ッ場ダム本体建設工事起工」と書かれたくす玉が割られるなど、会場は祝賀ムードに包まれた。

 八ッ場ダムの建設を巡っては、1月21日から本体工事に着手し、現在は爆薬を使用して固い岩盤を削る基礎掘削が進められている。この作業は2016年5月までに完了予定、ダム全体の完成は19年度を見込んでいる。

 式では、国土交通省関東地方整備局の越智繁雄局長が「ダムができて良かったと思ってもらえるよう、生活再建事業に万全の対応をする」とあいさつ。大沢正明知事は「政権交代による建設中止表明で地元住民は不安があったと思う。一日も早いダムの完成をお願いしたい」と強調した。

 県は15年度予算案に、生活再建や建設負担などを合わせた関連事業費として約61億9000万円を盛り込んだ。このうち、生活再建に向けた取り組みには約44億1000万円、付け替え道路など社会基盤整備には約8億6000万円を計上、地元では生活再建の加速に期待が膨らむ。

 一方、このままダム完成を迎えることに危機感を募らせる地元住民もいる。水没地区に住む男性は「完成済みの振興施設は限られており、数年後、本当に八ッ場が元気になっているのか不安も残る。住民の生活再建はこれからが最も大事な時期。『一日も早い完成』よりも、将来的な地域の活性化を見据えた丁寧な対応をお願いしたい」と話した。【角田直哉】

—転載終わり—

写真= 吾妻渓谷左岸 本体工事の発破作業現場。手前の構造物を建設中のところに八ッ場沢が流れていた。右手の林は樹木が伐採されている。繰り返される発破作業によって岩盤が崩されており、後方に機械を操作する作業員の姿が豆粒のように小さく見える。国土交通省八ッ場ダム工事事務所は、発破作業は今は試験段階と説明している。
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