本日、八ッ場ダム本体工事の入札が行われることになっていますが、この入札には不正の疑いが濃厚ですので、中止することを申し入れました。
 以下の申し入れ書を太田昭宏国土交通大臣、越智繁雄国土交通省関東地方整備局長にファックスで提出しましたので、お知らせします。

 2014年8月6日
 国土交通大臣 太田昭宏 様
 関東地方整備局長 越智繁雄 様 
              
 八ッ場あしたの会
                           
 八ッ場ダム本体工事の入札中止の申し入れ

 八ッ場ダム本体工事の入札に関しては8月6日に開札が行われ、7日に落札業者を決定することになっています。しかし、この入札は下記に述べるとおり、不正の疑いが濃厚となりましたので、中止することを申し入れます。

                   記
 経緯
 1月8日の八ッ場ダム本体工事入札公告の後、初期の段階(1月8日~2月10日の申請)で、八ッ場ダム本体建設工事に係る異工種建設工事共同企業体の競争参加者の資格審査が行われ、有資格者が認定された。

 この資格は入札公告に記されているとおり、共同企業体の構成員の状況も審査し、数多くの要件を充たしていることを確認した上で、認定されたものである。

 八ッ場ダム本体建設工事入札の競争参加者として認定されたのは、新聞報道を見ると、鹿島建設を含む共同企業体、大林組を含む共同企業体、大成建設を含む共同企業体であると推測される。

 ところが、今年3月に鹿島建設と大林組は東京港トンネル工事で作業員の死亡事故を引き起こしたことにより、関東地方整備局が5月2日に指名停止措置を行った。それにより、鹿島建設と大林組は八ッ場ダム本体工事入札の競争参加資格を喪失することになった〔注〕。

不正の疑い1
 「本体工事の内容に大きな影響を与える「技術対話」に、指名停止措置を受けた鹿島建設と大林組が参加したことは不正である。」
 
 八ッ場ダム本体工事は、入札時に技術提案[VE提案]を受け付け、価格と価格以外の要素を総合的に評価して落札者を決定する入札時VE方式(総合評価落札方式)工事である。
 入札公告から落札者決定までの手順は資料1の「関東地方整備局における総合評価落札方式の適用ガイドライン」4-2ページのとおりである。その中で、競争参加者の技術力を反映させる上で重要な節目となるのが、競争参加者の技術提案について対話を行う「技術対話」である。当然のことながら、この「技術対話」に参加するのは、入札競争の有資格者でなければならない。

 ところが、八ッ場ダム本体工事のために5月2日に開かれた「技術対話」には鹿島建設と大林組も参加した。指名停止措置により、競争参加資格を失った両社が、本体工事の内容に大きな影響を与える「技術対話」に参加することがどうして許されるのであろうか。

 二社のうち、とりわけ、本工事でも本命視されてきた鹿島建設はダム本体工事についてトップレベルの技術力を持ち、ダム本体工事期間を短縮するノウハウを保有していると言われており、最近では湯西川ダムの本体工事を清水建設との共同企業体として受注し、4年3カ月で完成させている。
 その技術力を八ッ場ダム本体工事に反映させるために、資格喪失の業者を「技術対話」に参加させたのであろうが、そのように恣意的な関東地方整備局のやり方は国土交通省の入札手続きルールを逸脱した不正なものである。

不正の疑い2

 「指名停止措置を受けたゼネコンが実質的に建設工事をリードするのではないかという疑念が生じている。」

 先に述べたように、八ッ場ダム本体建設工事入札の競争参加者として認定されたのは、鹿島建設、大林組、大成建設のそれぞれを含む共同企業体であると推測されるが、鹿島建設と大林組は競争参加資格を失ったため、鹿島建設と大林組を含むそれぞれの共同企業体は構成員を変えて入札に参加をすると言われている。

 噂されているのは、鹿島建設を含む共同企業体は湯西川ダム本体工事と同様に、清水建設とのJVであるが、構成員を変えて、鹿島建設の代わりに他のゼネコンを入れるというものである。しかし、八ッ場ダム本体建設工事に係る共同企業体としての競争参加者の資格は入札公告の後、初期の段階で共同企業体の構成員の状況も審査し、数多くの要件を充たしていることを確認した上で、認定されたものであり、国土交通省の通達で認められているとはいえ、本来は、業者の都合で構成員を変えることはあってはならないことである。実際に入札参加資格の認定において有資格認定中の構成員の組み替えを認めないことを明記している宮崎県の例もある。

 しかも、八ッ場ダム本体工事に関しては、表向きは清水建設と他のゼネコンの共同企業体が落札し、実際の建設工事は本命視されてきた鹿島建設がリードするのではないかという疑念が指摘されている。
 そのような不正を生む懸念がある本体工事の入札は中止すべきである。

〔注〕資料2「関東地方整備局の記者発表資料」のとおり、鹿島建設と大林組に対して5月2日に指名停止措置が行われた(指名停止措置期間は5月2日~15日)。
国土交通省の通達「一般競争入札方式の実施について」の別添資料の2ページには次のように記されている。
 「(7) 申請書及び資料の提出期限の日から開札の時までの期間に、〇〇地方建設局長から地方支分部局所掌の工事請負契約に係る指名停止等の措置要領(昭和59年3月29日付け建設省厚第91号)に基づく指名停止を受けていないこと。」
八ッ場ダム本体工事の入札公告には「資料の提出期限 平成26年1月8日から平成26年2月10日」と記されている。
 よって、上記の通達による「資料の提出期限の日から開札の時までの期間」は2月10日から8月6日までとなり、指名停止措置期間5月2日~15日が含まれるので、鹿島建設と大林組は八ッ場ダム本体工事入札の競争参加資格を喪失することになった。

(以下をクリックすると、資料が開きます。)
資料1 関東地方整備局の総合評価落札方式の適用ガイドライン

資料2 指名停止文書