さる12月8日、群馬県議会の産経土木委員会において、本郷たかあき議員(リベラル群馬)が八ッ場ダムの五度目の計画変更(事業費の再増額)について質疑を行いました。
 群馬県議会は10月に事業費増額に同意する議決を行っていますが、八ッ場ダム事業では計画変更が繰り返されてきており、今回の計画変更においても不明なことが多々あるまま、群馬県を含む関係都県議会が増額に同意しました。ダム湛水による災害誘発、更なる増額、工期延長の可能性などの問題は先送りされたままです。

 群馬県議会・産経土木委員会の質疑では、毎回、群馬県が国交省の説明を代弁しています。
 質疑の要旨をお伝えします。(注)、カッコ内の説明は当会による補足です。

本郷議員:八ッ場ダムの基礎岩盤の掘削量とコンクリート量は今回の計画変更でどのように変更されたのか?
福渡特定ダム対策課長:国からは「基礎掘削量は約84万立方メートル、コンクリート量は約101万立方メートルになる見込み」と聞いている。
(注)国交省が発表によって基礎岩盤の掘削量の数量を変更する理由について、こちらに国交省の説明の解説を掲載しています。➡http://yamba-net.org/?p=19108

本郷議員:本体工事の設計変更は行われるのか?
福渡特定ダム対策課長:国からは「本体工事の大幅な設計変更を行う予定はない。」、「今回は、概略設計をさらに進めた詳細設計をもとに基礎岩盤の掘削を行った結果、新たに明らかになった基礎岩盤の状況を踏まえて、数量を精査した」と聞いている。

本郷議員:春に完了するはずであった基礎岩盤の掘削工事は、いつ頃終了するのか?
福渡特定ダム対策課長:国からは、「基礎掘削はすでに完了し、コンクリート打設の直前に実施する仕上げ掘削のみが残っている」と聞いている。

本郷議員:基礎掘削やコンクリートの数量が増えると、本体工事の終了が遅れるのではないか?
福渡特定ダム対策課長:国からは、「予定工期の平成31年度の事業完了を予定している」と聞いている。

本郷議員:24時間体制で打設をしているとのことだが、現場の方々が疲弊して事故を起こすことのないようにしていただきたい。
 湛水にともなう地すべり対策について、今回の計画変更では5ヶ所を対策不要としているが、ダム予定地の住民の生活再建に責任を負う群馬県として、他都県とは別に確認作業を行ったのか?
福渡特定ダム対策課長:1都5県による合同調査では、増額要因について、書面と現地での調査により丁寧に確認した。本県単独より複眼的に調査した方が効果的であり、目的を達成できた。

本郷議員:1都5県合同調査報告書では、対策不要となった箇所について、記載がなかったようだ。地元住民から、未固結堆積物についての調査はされていないとの声を聞くが、(2011年の)ダム検証後、未固結堆積物についてボーリング調査を行ったのか?
福渡特定ダム対策課長:国からは、「ダム検証以後、未固結堆積物を含む地すべりに関するボーリング調査を行った」と聞いている。

本郷議員:対策不要とした場所のうち、JR川原湯温泉駅の下流側は金鶏山の土石流や浅間山の山体崩壊によって発生した泥流が厚く堆積し、地質が危ないことが知られている。JR吾妻線や住宅もあり、安全確保がきわめて重要だが、ここで地すべりが起きないとする具体的な根拠は何か?
福渡特定ダム対策課長:国からは、「専門家の指導を受けて調査をした結果、斜面の安定性が高いと判断し、対策不要とした」と聞いている。

本郷議員:今回、対策不要となった箇所について、地元住民から国や県から説明がないとの声があったが、明らかにしているか?
福渡特定ダム対策課長:国からは、「基本計画の変更については、地元に説明している」、「地すべり等で必要になる対策工事は、今後、地元に説明する予定である」と聞いている。
(注)地すべり対策を不要とする場合、当事者である住民の納得を得ることが肝要だが、地元住民によれば、いまだに国交省からは一切説明がないとのこと。

本郷議員:地元住民の安全第一でお願いしたい。

写真下=付替え県道は10月より大型バスも通行できるようになったが、道路の山側で建築中の川原湯神社(白い布に覆われている)は砂防ダムに囲まれ、地元住民からは「罰が当たる」との声も聞かれる。2016年12月12日
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写真下=農村地帯であった川原湯地区・上湯原には、往時は30世帯以上が暮らしていたが、最後の住民が11月に打越代替地へ移り、赤い屋根の屋敷が跡形もなく解体された。2016年12月12日
富沢さんのお宅跡

写真下=上湯原では群馬県埋蔵文化財調査事業団による石川原遺跡の発掘調査が続いているが、日陰では日中も地面が凍結しており、今年度の調査は間もなく終わる。写真手前に平安時代の住居跡。2016年12月12日
石川原遺跡