共同通信の配信記事です。
 愛媛新聞、京都新聞にも掲載されたようです。

◆2013年3月20日 北日本新聞
 http://webun.jp/news/E200/knpnews/20130320/77110

 -八ッ場ダムに沈む遺跡を守れと訴える作家の森まゆみさんー

■日本のポンペイと呼んでいい

 東京の下町に住み、地域雑誌「谷根千」を長年発行し、町の歴史と文化を掘り起こしてきた。

 それが、2001年から8年間、文化庁の文化審議会委員を務め、日本各地の遺跡に関心を持つようになった。

 先の衆院選で自民が民主を破り、「人からコンクリートへ」の流れで勢いづく八ツ場ダム建設。

 「予定地には江戸の浅間山大噴火で埋もれた遺跡が眠っている。刻みたばこを詰めながら吸われてないキセルまで発掘された。突然の噴火に人々は驚いたでしょうね」

 チェルノブイリ原発事故の時、一緒に勉強会を開いた詩人の故岸田衿子さんから八ツ場ダムに目を向けて、と頼まれた。

 治水、利水の両面で効果がないと専門家が指摘し、民主党時代、前原誠司国土交通相は建設中止を決断した。

 「それが自民の政権になり建設推進に弾みがついた。日本のポンペイと呼んでいい貴重な遺跡を湖底に沈めていいのでしょうか」

 文化人ら約350人の署名を集め、ダムの建設中止を求める意見書を太田昭宏国交相へ提出した。これまでも東京駅舎の保存などの環境保全運動に取り組んできた。

 「大事なものは残し、不要なものはつくらないで、が主張。将来は縄文から江戸までの生活が想像できるフィールドミュージアムにしてほしい」

 現在、作家活動の傍ら力を入れているのが東日本大震災被災者の生活支援だ。その様子については近著「震災日録」(岩波新書)に詳しい。東京都文京区在住、58歳。(共同通信・上野敏彦)