2013年2月3日

 1月29日に八ッ場ダム事業を組み込んだ利根川水系の河川整備計画の原案を公表した国交省関東地方整備局は、さっそく2月1日に関係都県に招集をかけ、原案の大筋了承を取り付けました。

◆国交省関東地方整備局ホームページより、関係都県会議の配布資料

http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000215.html

 会議に出席した関係都県の幹部は、国交省の出向者が多く、国交省関東地方整備局と共に八ッ場ダム事業の推進を目指していますので、国交省の方針を後押しすることだけが会議開催の目的でした。
 関係都県は八ッ場ダムの早期完成を求めており、一方、国交省は2020年度以降の完成という試算を出していますから、両者の見解には溝があるのですが、むろん会議では工期の延長(計画変更)など、問題のあるテーマについては触れられませんでした。

 以下の関連記事では、国交省から出向している群馬県の県土整備部長が群馬県の要望として、「必要な治水対策を一刻も早く実施し、利根川の治水安全度の向上に最大限努力してほしい」と述べたとあります。
 必要な治水対策とは、八ッ場ダムの完成を指します。八ッ場ダムは構想されてから61年経っても、本体工事が着工されていません。このままでは、完成までに70年かかるかもしれません。これで果たして安全対策と言えるでしょうか。

 また、八ッ場ダムの洪水調節効果は僅かなものであり、八ッ場ダムが完成したとしても、利根川の治水安全度が向上するとは言えません。戦後、群馬県に未曾有の洪水被害をもたらした1947年のカスリーン台風洪水は、赤城山の土石流、地すべりなどが主な原因でした。その後、国と群馬県が森林整備に力を注いできたため、カスリーン台風同様の大雨が降ったとしても、同じ状況が繰り返されることはありません。今、最も必要とされていることは、老朽化した脆弱な堤防を補強することです。たとえ上流にダムが新たにできても、脆弱な堤防を放置している限り、弱い部分から洪水被害が発生する可能性があります。
 堤防補強の技術は近年、飛躍的に向上しています。半世紀以上前のダム計画と利権の温存に固執するばかりで、効果的な技術を活用しない河川行政は、半世紀たっても進歩がみられません。

◆2013年2月2日 上毛新聞

 -利根川水系河川整備計画原案 6都県大筋了承ー

 八ッ場ダム(長野原町)の本体着工の条件となっている利根川水系の河川整備計画策定に向け、国土交通省関東地方整備局は1日、流域6都県の担当者を集めた会合をさいたま市内で開き、ダム建設を盛り込んだ利根川・江戸川の河川整備計画の原案を説明した。
 
 原案は流域の住民の生命や財産を守るため、安全に流すことを目指す洪水量(目標流量)を70~80年に1度の洪水規模に当たる毎秒1万7千㌧(基準点・伊勢崎市八斗島町)と想定。これに対応するため、河道の掘削や堤防の整備とともに、八ッ場ダムの建設を明記している。
 原案に対し、各都県の担当者は内容については大筋で了承した上で、あらためて早期の計画策定を訴えた。本県の笹森秀樹県土整備部長は「決められた手続きを踏んで、早急に河川整備計画を策定していただきたい。必要な治水対策を一刻も早く実施し、利根川の治水安全度の向上に最大限努力してほしい」と求めた。

 整備局が示した原案について、意見募集や公聴会を行うことも報告された。有識者、6都県知事の意見も聴き、最終決定する。

 流域住民から広く意見を募るパブリックコメントは3月2日まで。公聴会は2月24~26日に4ケ所で予定されており、県内では高崎市の国交省高崎河川国道事務所で開かれる。公聴会では6都県の住民を対象に、12日まで公述人も募集する。

◆2013年2月2日 朝日新聞群馬版

http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20130204100580001.html

 -河川整備計画に異論出ず 関係6都県、国交省に早期策定要望ー

 国土交通省関東地方整備局は1日、八ツ場ダム(長野原町)の上位計画に当たる「利根川・江戸川河川整備計画」の原案を、さいたま市で開いた会議で関係6都県の幹部に示した。都県側から異論は出ず、早期策定を求める声が相次いだ。

 1月29日公表の原案は、70~80年に1度起こりうる洪水に耐えるとし、基準地点(伊勢崎市八斗島)の目標流量を毎秒1万7千トンに設定。

 県の笹森秀樹・県土整備部長は「早急に進めてほしいというのが県民の願いだ」と発言。整備局の担当者は「早期策定に向けて努めたい」と述べた。

 この原案について整備局は1日、3月2日締め切りで意見募集を開始。2月24~26日には同省高崎河川国道事務所(高崎市)など4会場で6都県の住民が対象の公聴会を開く。

 その後、6都県の知事から意見を聴くなどして策定するとしている。(伊藤弘毅)