7月31日に国交省関東地方整備局の事業評価監視委員会が開かれ、利根川上流ダム群再編事業を中止するという整備局の原案が了承されました。同事業が目標とする洪水予防が八ッ場ダム事業などにより補えると判断したため、ということです。

 事業評価監視委員会は、有識者が事業着手から一定期間が経過した公共事業の妥当性を客観的に再評価し、公共事業の見直しを行うことを目的としていますが、この委員会が整備局の原案を了承しないことは殆どなく、事業主体が中止したい事業だけが中止されているのが実情です。
 この事業もダム検証の対象ですので、このあと、国土交通省本省に送られ、有識者会議にかけた後、国交大臣が中止を決定することになります。

 資料は次のURLでご覧ください。

◆関東地方整備局事業評価監視委員会開催結果 平成26年度 第2回 配付資料一覧
http://www.ktr.mlit.go.jp/shihon/shihon00000125.html

利根川上流ダム群再編事業
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000108188.pdf

http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000108189.pdf

 利根川上流ダム群再編事業は、2006年12月に利根川水系河川整備計画の策定作業が開始された時に提示されました。
 利根川の八斗島(やったじま 群馬県伊勢崎市、利根川の治水基準点)より上流には既設の多目的ダムが6基(奥利根ダム群5基と下久保ダム)あります。
 このうち、八斗島に近い下久保ダムの利水容量を減らして治水容量を増やし、その分、奥利根ダム群の治水容量を減らして、利水容量を増やすというのが、利根川上流ダム群再編事業の主たる内容です。

 これに対して下久保ダムの地元(群馬県藤岡市)が猛反対しました。下久保ダムでは、今でも夏季(7~9月)には治水容量の分を空にするため、満水位から13m水位を下げています。ダムを抱える藤岡市旧鬼石地区では過疎化が進み、ダム下流の国の名勝・三波石峡は景観悪化により観光客が訪れることもなくなっています。ダム湖では観光シーズンに釣り客がボートを出していますが、この再編事業では水位をさらに25m下げ、合わせて38mも水位を下げなければならなくなりますので、ダム湖観光は実質的に不可能になります。

 藤岡市は2006年当時、同事業の河川整備計画組み入れに強く反対の意思を表明しました。八ッ場ダム事業も06年当時の河川整備計画に組み入れられ、当時から流域住民の反対の声が大きく、2012年から13年にかけて開かれた有識者会議でも反対意見が強く上がりました。しかし、昨年5月、国交省関東地方整備局は八ッ場ダム本体工事の着工を目指して利根川・江戸川河川整備計画に八ッ場ダム事業を強引に組み入れ、利根川上流ダム群再編事業は組み入れませんでした。
(ちなみに、八ッ場ダムも夏季の水位下げ幅が大きく、最低でも28m下げることになっています。)。

 なお利根川・江戸川河川整備計画では、奥利根のダムの間でだけ容量の振替を行うことになっています。

 関連記事を転載します

◆2014年8月2日 上毛新聞
ー利根川ダム 「再編事業」中止へ 国交省整備局 洪水予防は他事業でー

 国土交通省関東地方整備局は1日、事業着手から一定期間が経過した公共事業の妥当性を再評価する、有識者による「事業評価監視委員会」の結果を公表した。本県関係では藤原や相俣など既設ダムのかさ上げや容量振り替え、洪水調節方式の変更で治水機能を高める「利根川上流ダム群再編事業」の中止が、原案通り了承された。同事業が目標とする洪水予防が他の事業で補えると判断した。

 評価結果を踏まえ、同事業は中止される見通し。

 同事業は、利根川水系での洪水予防対策の一つとして2002年、調査に着手した。だが、民主党政権下の09年、長野原町に建設される八ッ場ダムなど他のダム事業とともに凍結対象となった。

 同整備局は13年5月に策定した「利根川・江戸川河川整備計画」で、八ッ場ダムや堤防整備、河川の掘削などを進めれば、目標が達成できると判断し、同事業中止の原案を示していた。