群馬県長野原町の川原湯(かわらゆ)と川原畑(かわらはた)は、吾妻川の両岸の谷間に開けた集落です。いずれも八ッ場ダムに沈む予定で、今年3月中には残された住民も、すべて水没予定地から転出しなければなりません。そのまま残りたくとも強制収用の対象になり、補償金が大きく下がって生活再建が困難になってしまうからです。
 八ッ場ダムが利水(都市用水の開発)の面でも、治水(利根川の洪水調節)の面でも不要であり、災害誘発の危険性があることは、地元では多くの住民が知っていることですが、どれほど住民が抗おうと、事業者(国交省関東地方整備局)の思うがままに進められるため、住民はあきらめざるをえませんでした。地元が八ッ場ダムを受け入れる過程で、地域の人間関係は大きく傷つき、国や群馬県と一体となってダム推進を掲げる有力者が地域の主導権を握るようになり、かつてのように地域が一体となって事業者と交渉することは困難になっているのが現状です。

 遠く離れた長崎県にも、「川原」という地名があります。長崎県の「川原」は「こうばる」と呼ばれ、こちらは長崎県がつくろうとしている石木ダムの予定地です。長崎県の「川原」では、13軒の住民が今も水没予定地での生活を続けています。石木ダム事業では八ッ場ダム事業に先行して強制収用へ向けた事業認定手続きがとられましたが、13軒の住民は一致団結してダム事業を受け入れず、支援の輪が次第に広がってきています。

 このほど、「こうばる」のことを約4分で伝える動画が制作されました。
 美しい風景、温かい地域、優しい人々ーなぜ、「こうばる」の人々がふるさとを捨てたくないのか、よくわかります。
 ぜひ、この動画を多くの方に広めて下さい。