八ッ場ダムの事業者である国交省と群馬県が行ったマスコミ向け現地見学会の内容をもとに、各社が記事を載せています。
 ダム事業者は、ダム関連事業による湖面橋、川原湯温泉の新駅、代替地の共同湯の会館などの工事が順調に進んでいることをアピールしています。確かにハード施設の工事は進んでいるのですが、事業の目的である「地域振興」と「生活再建」は実現に程遠い状況です。湖面橋はできても、橋がつなぐ両岸の代替地は完成に程遠い状況です。新駅の建物はできましたが、駅前の道路や広場は姿を見せていません。共同湯の王湯会館は4月に開業する筈でしたが、周辺の道路がまったくできておらず、開業は遅れる見通しです。

◆2014年1月31日 朝日新聞群馬版
http://www.asahi.com/articles/CMTW1401311000003.html

ー八ツ場ダム予定地を歩くー

 国土交通省と県は29日、長野原町の八ツ場ダム建設予定地と関連工事の現場を報道陣に公開した。新年度にダム本体の着工を控え、代替地を結ぶ橋や新駅などが完成に近づいていた。

 吾妻渓谷のダム建設予定地。冬枯れの木々が生い茂る渓谷の底を、吾妻川が流れる。2019年度、ここに高さ116メートル、幅291メートルのダムができる。

 工事中、吾妻川の流れはせき止められる。川の水は周囲の岩をくりぬいて造った長さ390メートル、直径8メートルの仮排水トンネルの中を迂回(う・かい)させる。予定地の上流と下流側に、そのためのコンクリート製の取水口と放水口が見える。

 今夏には川を一時せき止める堰堤(えん・てい)が完成する。国交省の担当者は「川が途中で消え、下流で再び姿を現す。ダム完成まで6年間、そんな不思議な光景が見えるでしょう」。

 ダム建設予定地の上流約1キロにある湖面1号橋。全長494メートル。ダム湖をまたいで川原畑と川原湯の代替地を結ぶ。昨年8月に両岸がつながり、舗装や照明の取り付けを残してほぼ完成している。周辺の道路と接続させ、秋には「八ツ場大橋」として一般の利用が始まる。

 川原畑から川原湯へ、橋を歩いて渡った。高さ80メートルだが、ダム湖ができれば満水時の湖面は十数メートル下になる。

いま眼下を走る吾妻川も、JR吾妻線や川原湯温泉駅も、ダム湖に沈むことになる。車道のほか歩道もあり、担当者は「ダム湖観光の絶好のスポットとなる」という。その吾妻線は、約10キロにわたって付け替えられる。工事はほぼ終え、新たな川原湯温泉駅の駅舎も2月には完成する。

 新駅は現在の駅舎より80メートルほど高い場所に、山を切り崩して造った。周囲の景観に合わせ、茶色の落ち着いた外装。斜面にあるため、改札から下のホームまで約10メートルの階段を下りる。階段の北側は全面ガラス張りで、ダム湖を一望できる構造になっている。

 新駅の近くに、「立ち入り禁止」の看板があるトンネルの入り口がのぞく。東吾妻町につながる全長3キロの大柏木トンネルだ。本体工事用の石材を運ぶ道路として5年前に完成したが、着工のめどがたたず、使われていなかった。

 車でトンネルに入る。工事用で舗装されておらず、ひどく揺れる。大型ダンプがすれ違えるよう幅は約10メートルある。

 東吾妻側では、石材の搬出に必要なプラントヤードの造成工事が大詰めを迎えていた。本体工事が始まれば、山を切り崩して100万立方メートルの石を採掘する計画だ。この石材とコンクリートを混ぜてダムを造る。

 工事終了後、トンネルは県道川原畑大戸線の一部として供用される。担当者は「長野原と東吾妻や高崎との行き来がぐっと容易になる」と話した。

◆2014年1月30日 読売新聞群馬版
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20140129-OYT8T01362.htm

ー八ッ場本体へ着々とー

 八ッ場(やんば)ダム(長野原町)建設予定地の報道機関向けの見学会が29日行われ、水没する地区の代替地への移転状況などが説明された。建設構想が浮上してから60年余。政府と地元の対立の歴史を経て、今年秋にも本体工事が始まる現場を報告する。(佐賀秀玄)

 ダム本体の建設予定地に立つと、目の前には奥深い渓谷が広がっていた。

 「現在、吾妻川をせき止める準備に入っています」

 国土交通省八ッ場ダム工事事務所の伊藤和彦副所長は、渓谷の方を指し示しながら語った。

 吾妻川は利根川の支流。ダム本体(高さ116メートル、幅291メートル)は川をせき止めた後で、国指定名勝「吾妻峡」の一角に造る。総事業費は約4600億円で、2019年度の完成を予定している。下流地域の洪水を防ぎ、水道用水を確保する役割を担うことになる。

 吾妻川の左岸には、コンクリートの大きな壁が見えた。09年に完成した「仮排水トンネル」(長さ約390メートル)だ。川を流れる水を迂回させ、その間の川底をむき出しにして、せき止める計画だ。今年度は、川に土砂を埋めて水の流れを止める準備も進めている。

 川の両岸には、ダムが建設されれば水没する5地区(川原湯、川原畑、林、横壁、長野原)が点在している。ダム本体から約1キロ上流に進むと、渓谷の上を「湖面1号橋」(約494メートル)がまっすぐ延びている。川原湯と川原畑の代替地同士を結ぶ橋で、今年秋に「八ッ場大橋」として開通する予定だ。

 橋の真ん中に立つと、ダム本体の建設予定地がよく見える。県八ッ場ダム水源地域対策事務所の上原幸彦所長は「建設途中も建設後も、ダムを見るにはここが一番いい場所」と話す。

 橋を渡った先は、川原湯地区の代替地。真新しい3軒の旅館や民宿は昨年、約30メートル下の温泉街から移転した。建築中の共同浴場「王湯会館」は、毎年1月の「大寒」に行われる奇祭「湯かけ祭り」の会場となる。

 ダム建設に伴い、JR吾妻線も川原湯温泉駅を含めて約6キロが水没するため、JR東日本が岩島(東吾妻町)―長野原草津口(長野原町)間の10・4キロ区間で付け替え工事をしている。

線路はすでに敷設され、新しい川原湯温泉駅は2月中に完成し、今年秋から運行を始める予定になっている。

◆2014年1月30日 上毛新聞
http://www.jomo-news.co.jp/ns/5613910077205339/news.html
ー大橋、王湯会館、川原湯新駅 八ツ場関連工事 もうすぐ完成ー

 国土交通省と県は29日、長野原町の八ツ場ダム建設に関連する工事現場を公開した。地元住民の生活再建に必要な八ツ場大橋(湖面1号橋)、共同浴場の王湯会館、JR吾妻線の川原湯温泉駅の新駅舎などが完成へあと一歩に迫っていた。

 ダムの湖面上で対岸を結ぶことになる長さ494メートルの八ツ場大橋は、橋本体がすでに完成し、コンクリートの路面を歩いて渡ることができる状態。5月までにアスファルトを敷き、照明を取り付ける。

 橋からは吾妻川下流にダム本体の建設場所が見え、手前一面が水に沈む=写真1。八ツ場大橋はことし秋に橋両端に接続する道路の工事が終わり、供用が始まる見込み。

◆2014年1月30日 毎日新聞群馬版
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20140130ddlk10040114000c.html

ー八ッ場ダム建設:JR吾妻線の新駅など公開 /群馬ー

 国交省や県は29日、長野原町で建設が進む八ッ場ダムの工事の進捗(しんちょく)状況などを説明する報道機関向け現地見学会を開いた。八ッ場大橋や一部区間が水没するJR吾妻線の新駅などが公開された。

 同町の川原湯と川原畑地区の代替地を結ぶ長さ494メートルの八ッ場大橋は昨秋、橋桁完成を祝う閉合式があった。現在は路面の舗装や照明の取り付けなどが行われ、今秋の供用開始予定という。

 JR吾妻線の新しい川原湯温泉駅は、ホームが既に完成。鉄骨平屋建ての駅舎の内装作業など仕上げの工事が進む。線路の切り替えは今秋の予定だ。また、代替地の新しい川原湯温泉街に建設中の共同浴場「王湯会館」も公開された。

 2014年度政府予算案には、八ッ場ダムの本体工事と生活再建関連予算として約99億円(うち国費約50億円)が盛り込まれている。国が県に示している工程表によると、今秋にもダムの本体工事が始まる。【角田直哉】