八ッ場ダムによる都市用水の開発は、利根川水系のフルプラン(水源開発基本計画)に組み込まれています。まだ地元のダム反対闘争が激しかった1970年代、住民はフルプラン反対のプラカードを掲げて群馬県や建設省に抵抗しました。
 水需要が減少の一途をたどり、水余りが一層進行していく現在、さらなる水源開発を目的とするフルプランの役割は終わっているのですから、根拠法である水資源開発促進法とともにフルプランを廃止すべきなのですが、国交省はフルプランを延命させるための議論を進めています。

 さる3月22日、国土交通省は国土審議会水資源開発分科会を開催し、「リスク管理型の水の安定供給に向けた水資源開発基本計画のあり方について」答申(案)について、委員らの議論が行われました。この答申は水源開発基本計画(フルプラン)の延命させることが目的です。答申の基本的な考え方は、「リスク管理型」という名のもとに、想定外にも対応するために今後も水源開発を進めようということです。委員の大半はフルプランの基本的な問題を理解しておらず、水源開発事業に問題があることを把握せずに発言している委員もいたようです。

 当日の配布資料が国交省のホームページに掲載されましたので、お知らせします。
 http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/water02_sg_000070.html

 この分科会の委員名簿は以下の通りです。

委員
沖 大幹  東京大学生産技術研究所教授
望月 久美子  独立行政法人住宅金融支援機構理事

特別委員
石井 晴夫  東洋大学経営学部教授
大瀧 雅寛  お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系教授
小浦 久子  神戸芸術工科大学芸術工学部教授
清水 義彦  群馬大学大学院理工学府教授
滝沢 智  東京大学大学院工学系研究科教授
田中 正  筑波大学名誉教授
古米 弘明  東京大学大学院工学系研究科教授
増子 敦  東京水道サービス(株)代表取締役社長
渡邉 紹裕  京都大学大学院地球環境学堂教授

 関連記事を転載します。

◆2017年3月23日 上毛新聞
ー「水資源開発基本計画」見直し 地震や渇水も想定 国土審答申 利根・荒川など6水系ー

 国土交通省の国土審議会は22日、「利根川・荒川」など全国主要水系ごとに利用できる水量の確保策を定めた「水資源開発基本計画」の見直しで、大地震や深刻な渇水なども想定し需要を予測すべきだとの答申をまとめた。国交省は2017年度から、答申を基に改定作業を進める。

 これまでの基本計画は、産業の発展や都市人口の増加による水の需要増への対応を主眼としていたが、近年は東日本大震災による長期の断水や渇水に伴う取水制限など、非常時の水確保が課題となっている。

 答申では、非常時に最低限必要な水を確保することを新たな目標として掲げ、対応を盛り込むよう提言。災害時の破損に備えて送水管を2系統にしたり、事業継続計画(BCP)を策定したりといった対応を求めた。過去最大級の渇水念を含めてリスクを評価することも明記した。

 ダムや浄水場の新規建設だけでなく、既存施設の老朽化対策を進めて有効活用することの必要性も指摘した。

 主要水系の流域には全国の人工や産業の約5割が集積。基本計画の策定は水の安定供給を図るのが目的で、水系ごとに水道、工業、農業それぞれに必要な水の量の見直しや、施設整備の方針を明記している。「利根川・荒川」「豊川」「木曽川」「淀川」「吉野川」「筑後川」の6計画がある。
 「利根川・荒川」の場合、水道事業や工業用水道事業が依存する需要の見直しは毎秒約176立方メートルで、目標達成に必要な施設に八ッ場ダム(長野原町)などを組み込む。計画内容は社会情勢を踏まえて随時改定されている。