筑後川水系の城原川(じょうばるがわ)に計画されている国直轄の城原川ダム(佐賀県)の検証について、国交省九州地方整備局と流域自治体が協議する「検討の場」が5月11日に開かれます。
 城原川ダムは1979(昭和54)年当初は多目的ダムとして計画されましたが、その後、治水専用ダムに計画変更され、現在に至っています。

 国交省九州地方整備局のホームページより
 http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kisyahappyou/h28/data_file/1462756550.pdf
 今年1~2月に事業者自らが作成した検証素案についてのパブリックコメントが行われ、反対意見も出されましたが、全国の他のダム事業の検証と同様、素案とほぼ同じ「案」が明日、報告され、城原川ダム推進の方向が示されると思われます。

*5/14追記:開催された「検討の場」では、懸念された通り、流水型ダム(穴あきダム)で「事業継続が妥当」となりました。関連記事をページに追加転載しました。

 城原川ダムの問題点についての解説はこちらです。こちら をご覧ください。

◆2016年5月10日 佐賀新聞
 http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/309945
 -城原川ダム、国が案提示 11日「検討の場」 知事らの評価焦点

 国の事業見直し対象の城原川ダム(神埼市)を巡り、国土交通省九州地方整備局(九地整)と流域自治体が協議する「検討の場」の第4回会合が11日午前10時から、佐賀市の県教育会館で開かれる。九地整が有識者や住民からの意見を踏まえた案を示す。

 出席する山口祥義知事や佐賀、神埼両市長らがどう評価するかが焦点となる。

 1月の第3回会合では、流水型ダム(穴あきダム)案と代替6案の総合評価結果を報告、ダム案を「最も有利」とする素案がまとまり、2月に学識経験者や住民から意見を聞いた。

 会議は30人程度傍聴でき、定員を超えた場合は抽選となる。受付時間は午前9時15~45分。

◆2016年5月12日 佐賀新聞
 http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/310691
 -昨日、城原川ダム建設へ 流水型で決着 国交省案県、神埼、佐賀市が了承ー

 国の事業見直し対象となっている城原川ダム(神埼市)について、佐賀県と流域自治体は11日、洪水調節のみを目的とした流水型ダム(穴あきダム)での「事業継続が妥当」とする国土交通省九州地方整備局(九地整)の案を了承した。国の有識者会議などを経て、国交相が最終方針を決める。予備調査から45年を経た事業は事実上、建設へ向けて動き出し、485億円の巨費をかけた新たなダムができる。

 同日、佐賀市で開かれた「検討の場」第4回会合で山口祥義知事は「透明性、客観性を大切にしながらとりまとめていただいた。結果を尊重したい。昨年の鬼怒川氾濫など全国で洪水の危険性は高まっており、早期の治水対策は必要」と検証結果を評価した。環境への配慮やコスト削減、工期短縮などを注文した。

 一方で中流域に残り、計画規模を超える洪水に効果があるという野越しを、合意形成を経ながら継承する工夫が必要との認識も示した。

 流域となる神埼市の松本茂幸市長や佐賀市の赤司邦昭副市長もダム案に同意した。松本市長は「今後の検証を速やかに進め、一日も早く治水対策実現に取り組んでほしい」と要望した。

 流水型ダムは堤高約60メートルで、有効貯水容量は350万トン。水をためずに放流口(横4・5メートル、高さ2・1メートル)を設け自然放流する。下流域の河道改修と組み合わせた今後の事業費は約510億円。工期は13年を見込んでいる。

 15年5月に始まった「検討の場」では代替案とコストや治水対策効果などを比較し、九地整は今年1月、総合評価で流水型ダム案を「最も有利」と判断していた。

 今後、県は神埼、佐賀両市の意見を踏まえた文書を九地整に提出し、原案がまとめられる。その後、九地整の事業評価監視委員会や国交省の有識者会議を経て国交相が事業継続を認める。

◆2016年5月12日 読売新聞佐賀版
 http://www.yomiuri.co.jp/local/saga/news/20160511-OYTNT50164.html
 ー城原川ダム案で一致 九地整や県、神埼市などー

山口知事(左奥)や国交省九州地方整備局の担当者らが出席した「検討の場」a.. c..  国土交通省が建設の是非を再検証している城原川ダム(神埼市)を巡り、国交省九州地方整備局は11日、洪水時のみに水をためる「流水型ダム」(穴あきダム)が治水などに最も有利とする検討報告書の原案のたたき台を明らかにした。11日に佐賀市で開かれた治水対策の方針などを協議する「検討の場」で示され、出席した山口知事や神埼市長らから異論は出ず、流水型ダム整備の方向で一致した。

 九地整は今年1月、ダム建設案と、ダムに頼らない治水対策の6案について被害軽減効果やコストなどを検証した結果、流水型ダムの建設が最も有利な治水案だと提示した。

 その後、流域住民らの聴取などを踏まえ、検討報告書の原案のたたき台をまとめた。たたき台では、学識経験者らの意見と、それに対する九地整としての考え方などを追加した。

 検討の場で、山口知事は「透明性や客観性を大切にしながら進めたことを評価し、結果を尊重したい。国には、速やかな対応方針の決定と治水対策の早期実施をお願いしたい。自然環境や景観への配慮にも努めてほしい」と述べた。

 神埼市の松本茂幸市長は「ダム案が最も有利と示され、感謝している」と話し、佐賀市の赤司邦昭副市長は「城原川ダムを含めた上流の早期の治水対策が講じられることを期待している」と語った。

 河川改修を含めた流水型ダムの総事業費は約510億円。大部分は国費で、一部を県が負担する。総貯水容量は約355万立方メートル。通常時にダムに水をためないことから、自然に近い循環が維持されることなどが特徴だ。

 検討の場は4回目で、今回で終了した。九地整は今後、県などから意見を求め、検討報告書の原案を作成する。その上で、有識者で構成する九地整の「事業評価監視委員会」からの意見聴取を経て、城原川ダムに関する対応方針の案を国交省に報告。国交省が方針を決めた後、事業着手へ準備を進める。国交省は、ダムは着工後、15年程度で全工事の完了が可能としている。

 城原川ダムは国が治水などを目的に1971年、神埼市脊振町で予備調査を開始。県は2005年、古川康知事(当時)が流水型ダムとすることで建設に合意したが、民主党政権が「再検証ダム」に認定し、未着工状態が続いている。

◆2016年5月12日 毎日新聞佐賀版
 http://mainichi.jp/articles/20160512/ddl/k41/010/246000c
ー城原川ダム 「流水型」原案作成へ 自治体首長ら意見交換 /佐賀ー

 民主党政権下で見直し対象になった「城原川ダム」(神埼市)の計画を検討する会合が11日、佐賀市であった。県や関係自治体の首長らが参加し、洪水調整専用の「流水型ダム」が最も有効とする素案について、住民の要望や学識経験者の助言などを踏まえ意見交換した。【松尾雅也】
 国土交通省九州地方整備局は今年1月、城原川の治水対策についてコストや安全度、環境への影響などを検討した結果、「流水型ダム」が最も有効とする素案を提示。ダム建設と河川改修の事業費を約510億円と算出した。

 会合では、「15年かけてダムを造る場合、その間、流域は無防備になる。河川整備が先では」▽意図的に堤防から越水させて洪水被害を抑える「野越し」について「現在は周辺に住宅地ができているため心配・危険視している」??などの住民の認識が示された。

 識者からは「魚の行き来や土砂の流れに配慮するなど流水型ダムの良さを最大限発揮できる構造にしてほしい」▽「普段は水をためない巨大構造物だけがあり、景観的に不利」??など意見が出された。その上で平常時は貯水を行わず、集中豪雨の際、一時的に貯水し、下流域の洪水被害軽減を目的とする、原案作りの基となる案が示された。

 これらの案や意見について山口祥義知事は「今後、国においては速やかな対応方針の決定と治水対策の早期実施をお願いしたい。城原川地域は多様な生物が生息する。自然環境や景観の配慮にはしっかりと努めていただきたい」と求めた。神埼市の松本茂幸市長は「ダム案が最も有利とされたことは、これまで議論されてきた流域委員会や市長会議と同じ結論でほっとしている」と述べた。

 今後、九州地方整備局は関係自治体の首長らの意見を踏まえ、原案を速やかに作成し、国に報告する方針。