国直轄の城原川ダムの推進を盛り込んだ国交省九州地方整備局による検証検討素案に関する公聴会が開催されました。意見募集は本日が〆切でした。

 公聴会や意見募集は1997年の河川法改正によって始まった手続きで、本来は河川行政に流域住民の意見を取り入れるための措置ですが、河川行政が事業に反対の意見を取り入れることはなく、手続きそのものが形骸化しています。
 城原川ダムの公聴会でも、八ッ場ダムと同様、反対意見が多数であったようです。実際にダムができれば、流域住民も国民もそのツケを長い将来にわたって支払わされることになります。ダムができてから後悔しても取り返しがつきません。

 ダム問題に取り組んできた水問題研究家の嶋津暉之さんが城原川ダムの意見募集に提出した意見が水源開発問題全国連絡会のホームページに掲載されています。
http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2016/02/b90dd6f5d7cdd384b2c63c6667e0e0861.pdf

 二日間にわたって実施された公聴会についての地元紙の記事を転載します。

◆2016年2月22日 佐賀新聞
 http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/281452

ー城原川ダムに住民意見 九州地方整備局が聴く会 水害不安早く建設を 野越し活用整備してー

 国の事業対象見直しとなっている城原川ダム(神埼市)について国土交通省九州地方整備局は21日、これまでの検証結果をまとめた検討報告書素案に対して住民の意見を聴いた。九地整が検討の場で「最も有利」とした流水型ダムについて多様な見解が示された。

 神埼市の神埼中央公園体育館で開かれ、九地整の担当者が住民約30人にこれまでの経緯を説明した。

 上流から下流に住む住民10人が意見を述べ、脊振町の梅崎哲夫さん(72)は「水没予定地の住民は半世紀近く翻弄(ほんろう)されており、生活環境も悪化したままだ」と一刻も早い建設を要望。江戸時代から続く治水施設「野越し」近くに住む片江則行さん(44)=神埼町=も「脊振の大雨だけで水位が急激に上がり、恐怖を感じた。人命第一に考えて」とダム推進を求めた。

 千代田町の佐藤悦子さん(63)は、ダムに頼らない流域全体での治水を訴え「ダムを造ったとしても土石流や高潮などから地域は守れない。河川整備が先だし、野越しを先進的な減災システムと評価する専門家の話を聴いて」とした。

 「ダムができても想定外の雨は起こるので、被害軽減のため野越しを残して」「野越しからあふれた水を流す機能を取り戻すため、神埼市が受け堤を復旧してほしい」など賛否にとどまらない意見も出ていた。

 意見を聴く場は22日夜に佐賀市でも開かれ、これらを踏まえてダム事業対応方針の原案を作成する。

◆2016年2月23日 佐賀新聞
 http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/281877
ー城原川ダム、住民の意見聴取ー

 国の事業対象見直しとなった城原川ダム(神埼市)の是非を再検証している国土交通省九州地方整備局は22日、佐賀市で意見聴取会を開いた。流域住民ら3人が検証の在り方に疑問を呈し、九地整が最も有利とした流水型ダム案に対し反対や再考を促した。

 県教育会館で開き、九地整の担当者が住民12人に検証の検討報告書素案をまとめた経緯を説明した。

 神埼市神埼町の平田憲一さん(79)は、現在の検証が形式的になっていると批判し「河川の基本流量に使われるデータが古すぎる。雨の降り方がひどくなった近年の数値で考え、根本的に議論し直すべき」と再考を求めた。

 吉野ケ里町の中牟田清子さん(80)は「先人は有明海の干満の差をも計算し川づくりしてきた。ダムが破堤しないか検証しているのか」と建設反対を訴えた。神埼市脊振町出身の佐賀市の男性(81)も「ダムありきで形だけの検証をしていないか。必要性に疑問を持っており、脊振で住民投票すべき問題ではないか」と主張した。

 九地整は21日に同様の会合を神埼市でも開き、これらの意見を踏まえてダム事業対応方針の原案を作る。