八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会より、事業費再増額を求める八ッ場ダム基本計画の5度目の変更案について、埼玉県の上田知事にさる14日に提出した意見書をお知らせいただきましたので、意見書の全文を転載します。

 埼玉県知事  上田清司 様
 平成28(2016)年9月吉日
 団体:八ッ場ダムを止める埼玉の会
 代表:河登一郎

 八ッ場ダム追加費用分担の件

 冠省、
 八ッ場ダムに関する計画変更案(事業費が4,600億円から5,320億円へ720億円増額:うち、埼玉県負担額は90億円弱増え286億円へ)についての意見を国交省(関東地方整備局)から求められていると思います。

 私たちは以前から増額は時間の問題だと考えていました。特に2011年度の事業見直しの際、国交省は完成時期を2019年度に延期すると同時に、事業費も約180億円増額が必要との話でしたが、当県をはじめとする下流都県からの反対が激しいため、経費増についての言及は止め、完成時期の延期のみを要請した経緯からも、当然増額要求はあると思っていました。

 それにしても今回の増額720億円は巨額過ぎると考えます。しかも、その内訳に関して、国交省はいろいろと説明はしていますが、いずれも検証の時点で分かっていたことばかりです。即ち、
 1)予定地が埋蔵文化財の宝庫であることは何十年も前から周知の事実ですし、
 2)ダム予定地が「地滑りのデパート」であることも学者や専門家が何回も指摘してきました。

 強いて言えば、ここ3年のアベノミックスのバラマキによる人件費や資材費の一部の上昇はありますが、
 1) 積算資料のベースとなる経済調査会の建築・土木総合指数(地域差がかなりあるので八ッ場ダムが属する東京地区で比較)を見ると、2010年度を100(基準年)として、土木では2011年度102.3→2016年8月97.4;建築では2011年度101.6→2016年8月101.1;建築・土木総合2011年度101.9→2016年8月99.6とわずかとはいえ逆に物価指数はマイナスになっています。
 
 2) この種の大型公共事業は通常工事期間が長い間にわたりますので、物価水準についてはプラスもマイナスも当然折り込んでいます。従って、本件についてもこの程度の増額は当然折り込んでいるはずです。仮に物価が下がった際には「減額」は問題になりません。

 その上に、本件にかかわる経費増は他にもまだあると思われます。即ち、

 1) 東電水力発電所への減電補償:以前にも申し上げましたが、東電としては八ッ場ダム建設に伴って発電数量が減りますので、当然減電補償を要求してくると思います。

 2) 今回の工程表を見ると、2019年度完成を守るために、肝心の「試験湛水」を通常の1年ではなく半年で終えることにしています。仮にこの間に地滑りや地盤沈下が起こった場合(かなりの確率で起こると思います)、更に多くの追加費用と期間が必要になります。

 3) その他にもいろいろあり、併せて数百億円にも及ぶ可能性が高いと考えます。

 私たちは、埼玉県として今回の増額請求は断るべきだと考えます。この機会に本事業を中止する最後の機会だと思ってはいますが、せめて当県にとって意味のない増額請求は拒否すべきではないでしょうか。
 その結果、埼玉県として困ることは何もありません。強いて言えば、

 1) 冬季(水の不需要期)における「暫定水利権」の問題が形式上ありますが、現実には取水に支障をきたしたことはありません。

 2) 最近の地球規模の気候変動に伴い異常気象の頻発が予想されます。しかし、ここ50年間も埼玉県で起こった水害事故はすべて「内水氾濫(堤防の外側に降った大雨がマンホールなどを通じて溢れ出すもの)」であるという事実は意外に知られていませんが、いずれにせよ八ッ場ダムでは水害は防げません。必要なのは、堤防の強化や川底掘削など具体的な効果に結びつく作業です。

 3) ここで増額負担を拒否すると、国交省からは、思わぬところで筋違いの嫌がらせをされる可能性はあります。しかし、それを恐れていては「地方分権」は、いつまで経っても進みません。どうぞ、この問題の是非については、思い切って「非」で対応して頂きたいと、お願い申し上げます。

                                             以上