川原湯温泉の移転代替地に建設された王湯会館が7月にオープンするとの記事が今朝の紙面に載っていました。
 川原湯温泉には泉源の脇に共同湯の王湯があります。八ッ場ダムができると川原湯温泉は泉源ごと沈んでしまうため、ダム事業により1989年にボーリングで掘り当てた新たな源泉を代替地へ引いています。

◆2014年5月19日 上毛新聞 (ネット記事では紙面記事の後半部が省略されています。) http://www.jomo-news.co.jp/ns/5314004564833879/news.html
 
ー川原湯温泉・新「王湯」 7月5日に開業 代替地の名所期待 ー

 長野原町の川原湯温泉で約400年前から続く奇祭「湯かけ祭り」の会場となる共同浴場「王湯会館」が完成した=写真。7月5日に開業する。

 ダム建設で水没する「王湯」より約30メートル高い代替地に建てられた。和風の外観の鉄骨造2階建てで、延べ床面積は約340平方メートル。1階に内湯と露天風呂があり、2階は休憩スペースや地元住民の集会所として利用される。

 湯かけ祭りの時は敷地に組み立て式の舞台を設置する。祭りで使うおけをエントランスホールに展示する。
 会館を所有管理する川原湯区の美才治章区長は「新名所となるよう住民一丸となってアイデアを出して運営したい」と話している。
 王湯は6月末まで営業する。

~~~転載終わり~~~

 記事で取り上げられている代替地の王湯会館の正面には、川原湯温泉の新しいメインロードとなる町道が建設される予定ですが、川原湯温泉の新駅から尾根を巻いて代替地に至る町道はまだ姿を見せておらず、王湯会館前も町道予定地は大きな溝のままです。

 6月末で閉館となる現温泉街の王湯では、元の源泉(元の湯)とダム事業によって掘り当てた新しい源泉(新湯)の両方を湯船に注いでいます。蛇口のそばに置いてあるコップにそれぞれの湯を注いで飲むことができます。
 新湯は川原湯神社の地下およそ360メートルから自噴しています。二つの源泉は湯脈が地下深くでつながっているとされていますが、新湯の方が熱く、元の湯は時間をかけて岩の割れ目をつたって地表まで湧き出してきているからか、新湯にはないまろやかな味わいがあります。
 八ッ場ダム事業では元の湯も代替地に引き湯することを検討しているとのことですが、まだ実現していません。

 ダム事業による川原湯温泉への影響については、国土交通省八ッ場ダム工事事務所による以下の資料がネット上にあります。
 http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000080051.pdf
  「川原湯温泉における温泉配湯について」

 下図は、資料に掲載されている代替地への配湯ルート図です。(クリックすると拡大表示されます。青い点線の楕円形で囲まれたところが、新湯が配湯される川原湯の移転代替地です。)
 配湯ルート図 

 温泉は鮮度が命といわれます。地上に湧出すると、気圧、温度の変化、酸化によって温泉は徐々に老化していくからです。ダム事業による代替地への引き湯によって、泉源からの配湯ルートは1キロ以上にもなります。

 大沢のポンプトリミング さらに地元で心配されているのが配湯施設の維持管理費用です。現在の引き湯は、温泉街の大沢沿いからポンプアップされています。(写真右)
 この設備はダムができると水没する場所にあるため、今後、新たな設備が造られることになりますが、いずれにしても、代替地で温泉を利用し続けるためには、源泉からのポンプアップが必要です。
 もともとの川原湯の泉源は、温泉街の坂の一番上にあり、そこから自然流下で各旅館に配湯されてきたため、ほとんど維持管理の費用が必要ありませんでした。

 配湯設備は国が八ッ場ダム事業の補償工事で行いますが、維持管理については、「国が一定期間補償することになっている」ものの、補償額も期間も明らかにされていません。
 もともと川原湯の源泉は群馬県の県有泉でしたが、2010年12月より地元が管理することになりました。
 群馬県が川原湯温泉の所有権を放棄したのは、維持管理の問題が発生することを見越してのことだったのでしょうか。群馬県は「生活再建案」の提示によって地元の反対運動を切り崩した経緯がありますので責任重大です。