2013年4月9日

 熊本県の球磨川流域では、五木村の川辺川ダムが本体着手の直前で止まり、現在、荒瀬ダムの撤去が進められています。
 これらの運動を担ってきた「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」(略称:手渡す会)による「脱・基本高水治水研究会」がさる4月5日、6日、熊本県人吉市で開かれ、あしたの会も参加しました。

 http://kawabe1993.exblog.jp/
 手渡す会のブログ

 以下のアピールにも書かれていますように、「基本高水」はこれまでの河川行政の根幹をなす考え方です。一般に治水は洪水調節を指しますが、本来の治水とは、環境も利水もすべてをひっくるめて、川をどのように治めるか、という意味をもっています。脱・基本高水治水とは、「基本高水」という机上の数値を最優先するこれまでの河川行政を改め、全国各地の流域住民が川を取り戻し、河川法の改正を求める運動を連携して進めていこうという趣旨をこめたネーミングです。

 脱「基本高水」治水の先頭に立っている球磨川流域からの川辺川アピールを、利根川流域をはじめ、全国のより多くの方々に広めてゆきたいと思います。転載歓迎です。

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 川辺川アピール 脱「基本高水治水」

 脱ダムを目指す全国の住民運動の前に立ちはだかるのが「基本高水」をもととした治水計画です。

 河川の治水計画やダム事業を検証する場合、国土交通省は住民が理解しにくいように専門的な議論に持ち込みたがります。そのもとになっているのが「基本高水」の考え方です。しかし、「基本高水」の数値は国土交通省がダムを建設するために恣意的に決めたものでしかないことが長年の国とのやり取りの中で明らかになりました。いくら議論しようが、国は自らが決めた「基本高水」に固執します。雨量から単純に洪水流量を求めることには限界があります。このような「基本高水」の数値が科学的ではないことを見抜くまでに、多くの時間と労力を必要としました。

 「基本高水」による治水の考え方は、ある一定の大きさ以下の洪水だけを対象としています。洪水を河川に封じ込めるのが「基本高水」の考え方です。想定以上の雨や洪水が発生した時には水害被害を拡大させる可能性があります。
「基本高水」に基づくこれまでの治水は、多くのダムで川を丸ごと破壊し、川を水路化し、豊かな生態系を消失させました。

 これからは、いかなる大きさの洪水も対象とする治水に変えていく必要があります。洪水を流域で受け止めることが求められます。いま必要なことは、これまでの洪水被害を検証し、水害被災者の声を聞き、実現可能な治水対策を積み上げていくことです。

 脱基本高水の取り組みは、河川法の改正を求める取り組みでもあります。私たちは、「基本高水」にとらわれない治水を検討するために脱「基本高水治水」研究会を開催しました。今後さらに検討を重ね、その考え方を全国に発信します。

                                        2013年4月7日
       
 第1回 脱「基本高水治水」研究会 参加者一同
 主催:清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会

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 関連記事を転載します。

◆2013年4月8日 熊本日日新聞
 http://kumanichi.com/news/local/main/20130408002.shtml

 -「ダムによらぬ治水を」 人吉市で市民が研究会ー

 ダムによらない治水の在り方を市民団体が検討する「脱基本高水治水」研究会の発足集会が7日、人吉市で開かれた。川辺川、立野の両ダムの建設に反対する市民ら約20人が、議論を交わした。

 「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」が呼び掛けた。国などがダムや堤防を整備するにあたり、事業の根拠や規模の基準となる基本高水(大洪水時に想定される河川の最大流量)の問題点を協議する。

 京都大の今本博健名誉教授(河川工学)が「基本高水をもとにした治水では、その想定を超えた洪水に対応できない」などと指摘。「河床の掘削や堤防補強など実現可能な対策を進めていく治水が求められている」と述べた。

 群馬県の八ツ場ダム建設に反対する市民団体「八ツ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長による基調報告もあった。今後、継続的に研究会を開き、議論した内容を冊子にまとめる。(後藤仁孝)