3月の群馬県議会における八ッ場ダムの関連質疑の要旨をお伝えします。

〇2016年3月2日 一般質問より 質問者:岸善一郎議員(自由民主党)
DSCF7045 ー八ッ場ダム工事の進捗状況について
 倉嶋敬明県土整備部長 2015年1月から基礎掘削工事が開始され、今年1月時点で約7割の掘削が完了している。このほか、コンクリート製造プラント、骨材製造プラントなどの工事が行われている。今後、今年6月ごろにダム本体のコンクリート打設を開始し、18年5月ごろに打設完了、18年9月以降に湛水試験を行い、19年度に事業を完成させる予定と聞いている。
写真右=国の名勝・吾妻渓谷左岸の八ッ場ダム本体工事作業ヤード。2016年3月6日

ー(川原湯地区の背後の山に建設された)大柏木トンネルと骨材プラントヤードの跡地活用は?
倉嶋部長 大柏木トンネルは骨材プラントからダムサイトに骨材を運搬する工事用道路として使っている。
DSCF7382 (2) 東吾妻町で建設中の骨材製造プラントと同様、18年5月ごろまでダム本体工事で使用する予定。このトンネルは延長が約3キロで、(八ッ場ダム本体工事終了後、一般供用により)開通すれば県管理道路では最長クラスになる。一般供用するには18年以降、内部のコンクリート巻き立てや舗装などの設備工事が必要になる。県として、一日も早く一般供用できるよう国と調整していく。骨材プラントヤードはダム本体工事完了後、設備を撤去することとしている。跡地利用は地元住民などで組織する跡地利用検討部会で議論されていると聞いている。部会の意見を聞きながら、必要なことを国に伝えていく。
写真右=ダム本体工事で使用する原石を運搬するために、川原湯温泉の背後の山の反対側から吾妻川をまたぎ、林地区の水没予定地から吾妻渓谷まで延々とベルトコンベヤー設置。不動大橋の下、旧国道の「長野原小」信号前 2016年4月19日

〇2016年3月7日 産経土木委員会 質問者:角倉邦良議員(リベラル群馬)
ー(八ッ場ダム事業より支出されている)昨年度の川原湯温泉宿泊助成の状況について
DSCF7261 (2) 福渡特定ダム対策課長 川原湯温泉協会から各旅館(5軒)へ発行しているリピーター券の総数は500枚。昨年度の利用枚数は、今年1月末時点で278枚で、利用率は約6割。団体宿泊助成は1月末時点で1,566人と、見込み数1,700人の9割に達している。今後も川原湯温泉からの要望や利用率を踏まえて適切に対応するとともに、水没五地区の生活再建振興に全力を尽くしたい。(宿泊助成は継続) 写真右=水没予定地に今年も咲いたアズマイチゲ

角倉委員ーリピーター券は年度内に使わなければならない。利用の幅を2~3年に延長するなど、使い方や運用の仕方について地元の温泉協会と話をして、より利用しやすい方向で考えてもらいたい。

ー川原湯温泉水没地区内の絶滅危惧種、カザグルマについて
福渡特ダム課長 国からは、現在、専門家の意見を聞きながら、水没地外への移植などの取り組みを行っているところと聞いている。

ー川原湯地区の山林で発見されたカツラとケヤキの大樹群について
福渡特ダム課長 長野原町では、観光資源としての活用の可能性を検討する予定と聞いている。県としても長野原町の検討状況や地元住民の意向を踏まえ、適切に対応したい。

ー八ッ場ダム事業によって代替地に付け替えられた国道145号の縁石やのり面が変状していることについて
浮き上がった縁石
福渡特ダム課長 平成26年9月より地表での計測を続け、平成27年5月からボーリング調査も実施し、地下水位の計測等を実施してきた。その結果、有意な動きは「ない」ことを確認した。現在、修繕工事の詳細設計を進めており、6月中に設計を行った上で、平成28年中に修繕工事に着手する予定。
(注:吾妻渓谷を貫く付替え国道の茂四郎トンネル上流側の出口付近は、八ッ場ダム本体工事現場の左手にあたるが、酸性熱水変質帯の広がる脆い地質と路盤材として使われた(株)大同特殊鋼の鉄鋼スラグの影響により、のり面、縁石、路面が変形している。)
写真右=変形・変色している付替え国道の縁石

 ー八ッ場ダム湛水後の代替地の安全対策と地すべり対策について
 福渡特ダム課長 国からは、ダム貯水池周辺の地すべりについて、現地調査やボーリング調査などを進め、対策の有無を含め、詳細な検討を行っているところであり、今後、その結果を踏まえ、必要に応じて対策を講じると聞いている。(注:対策費用と具体的な対策に触れず。)
写真右=川原湯温泉が移転しつつある打越代替地。30メートル以上の大規模な盛り土造成が行われた。2015年12月25日撮影。