東京都の工業用水道の廃止が検討されることになりました。
キャプチャ 利根川などの河川水を利用する東京都工業用水道は、もともとは工場等による大量の地下水くみ上げによる地盤沈下対策として普及したもので、半世紀の歴史があります。
 しかし、1970年代以降、都内の工場移転が進んで需要が落ち込み、最近は雑用水道も兼ねて運用されてきました。

(参照) 
東京都水道局のサイトより 
パンフレット「東京の工業用水道」
(以下の文字列、または右の画像をクリックするとご覧になれます。)https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suidojigyo/kosui/pdf/t-kougyo.pdf

 現在の水源は利根川水系渡良瀬川の草木ダムと、多摩川の自流水(玉川浄水場)です。後者は水道浄水場としては休止状態にあるものを使っています。ただし、水量は前者が圧倒的に大きく、約84%を占めています(2015年度)。
 水利権は草木ダムが84672㎥/日(0.98㎥/秒)、玉川が50976㎥/日(0.59㎥/秒)ですが、実際の使用水量ははるかに少ないです。

 2015年度の一日平均使用水量は工業用水道19505㎥/日、雑用水道が17187㎥/日で、合わせて36692㎥/日です。
 工業用水道が廃止されれば、草木ダムの水利権が水道に転用されることになり、過剰な水源を抱える東京都水道の保有水源がさらに増えることになります。なお、工業用水道は浄水工程が沈殿までで、砂ろ過がないため、飲用に使うことはできません。

◆2017年11月29日 日本経済新聞
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2400012028112017L83000/
ー都、工業用水道廃止検討 発電事業の運営権売却もー

 東京都は28日、工業用水道の廃止を検討する方針を明らかにした。老朽化した配水管などの更新費用がかさむ一方、利用企業は減少し、採算の悪化が問題になっていた。水力発電事業も施設の老朽化が進んでいることから、運営権売却(コンセッション)などを視野に経営改善策を探る。

多摩川の水を利用して発電している(奥多摩町の白丸発電所)
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多摩川の水を利用して発電している(奥多摩町の白丸発電所)
 都政改革本部(本部長・小池百合子知事)で進める「見える化改革」の一環で、事業の収支構造を分析。外部有識者の特別顧問らの助言も踏まえ、担当局長らが経営改革案をまとめ、同日開いた本部会議で報告した。

 水道局が所管する工業用水道は地下水のくみ上げによる地盤沈下を抑える対策として事業が始まり、既に50年以上が経過。設備の老朽化が目立つ。事業継続には施設の更新が必要で、コストは2300億円を見込む。

 これに対し、収益は低迷している。都内の工場立地規制を背景に利用件数は年々減少。2016年度は185件で、ピークだった1976年度の3分の1以下に落ち込んだ。

 これまで設備や職員の削減など合理化を進めてきたが、契約水量の少ない利用者が広域に分散していることなどから、維持管理費が膨らんでいる。埼玉県や千葉県の工業用水道は黒字なのに対し、都は年間5億円程度の赤字だ。

 事業を廃止する場合は配水管などの撤去費用が900億円程度かかる。利用料金が割高な上水道への切り替えが必要な利用者への支援策も課題になる。

 事業廃止は過去に包括外部監査で提案されたこともある。小池知事は28日の会議で「問題はかねて指摘されてきた。先送り状態になっていたが、いよいよ老朽化が進んできた」と指摘。利用者への配慮も念頭に「(廃止の検討は)スピードを上げつつ丁寧に」と注文を付けた。

 一方、交通局が奥多摩地域で運営する水力発電については(1)直営継続(2)施設は保有したまま運営権を売却(3)事業自体の民間譲渡――の3つの選択肢を提示。現在は年間数億円規模の経常利益を上げ、経営は安定しているが、工業用水道と同様に老朽施設の更新が課題になっている。

 特別顧問の上山信一・慶応大学教授は「今後の判断は専門企業に委ねた方が成功確率が高い」と民間活力の導入を主張する。都は18年度から、コンセッションの実現可能性などについて民間企業の意向調査を始める。ただ、発電施設は調整池ダムと一体的に管理・運用する必要があることなどから、現状維持が望ましいとの声もある。20年代前半にも最終的な判断を下す方針だ。

◆2017年11月28日 TOKYO MX NEWS
 http://s.mxtv.jp/mxnews/kiji.php?date=46512380
ー東京都、工業用水道の廃止検討 更新費は2300億円ー

 東京都は小池知事が肝いりで進める都政改革の一環として、工業用水道の廃止を検討していることを明らかにしました。老朽化した施設を更新するための費用およそ2300億円を削減できるとしています。

 28日午前に開かれた都政改革本部には小池知事や関係部局の局長らが出席し、都政の透明性を高める「見える化改革」として、それぞれの事業の収支についての分析と、今後の課題についての話し合いが行われました。

 このうち水道局からは50年以上続けてきた工業用水道の供給について、老朽化した浄水施設の更新におよそ2300億円かかることや、利用者が減っていることを受け、事業の廃止を検討していることが報告されました。

これを受け小池知事は「老朽化がかなり進み、対象となっている利用者も減っている。スピードを上げつつ丁寧に、ということではないかと思う」と述べました。

 2300億円の更新費用が削減できる一方で、配水管などを撤去するためにおよそ900億円の費用がかかるほか、利用している業者への支援が必要になるため、都は今後、慎重に検討を進める方針です。