2013年5月10日

 東京都内の地下水が近年、急激に上昇し、大きな問題となっています。
 八ッ場ダム事業は地下水の切り捨て政策と一心同体で進められています。かつて、東京都では地下水利用が水道事業の中で大きな位置を占めていましたが、高度成長時代、工業用水のために地下水を大量に汲み上げことから地盤沈下問題が起こりました。その結果、地下水の利用を抑制し、地下水の代わりにダム事業による利根川の水の利用が促進されてきました。
 その後、多くの工場が地方や海外へ移転し、工業用水の需要は大幅に減少し、地盤沈下の問題はなくなりました。しかし、一旦計画されたダム事業は、社会状況が変化しても見直されません。
 現在、東京都は一日約600万トンの保有水源がありますが、使われているのは3分の2の約400万トンに過ぎません。八ッ場ダムが完成すると、さらに保有水源が増えることになりますが、それと連動して、ダム開発による河川水より水質がはるかに良い地下水がこれまで以上に切り捨てられることになります。
 20世紀の負の遺産である八ッ場ダム事業は、東京都の水道事業、地下水対策に大きな影を落としています。

 関連記事を転載します。

◆2013年5月10日 読売新聞

http://www.yomiuri.co.jp/homeguide/news/20130430-OYT8T00243.htm

 -暴れる地下水、60m上昇も…首都高・鉄道影響ー

 東京都内の地下水位が40年前と比較して、最大で約60メートル上昇していたことが都などの調査でわかった。

 戦後から高度成長期にかけて工場などが大量の地下水を使用して地盤沈下が進み、これを食い止めようと長年にわたってくみ上げ規制を続けてきたためだが、水量が増えたことで地下の構造物では漏水などのトラブルが急増。首都高の延伸工事に遅れが出るなど、新たな問題も生じている。

昔の水位に

 都土木技術支援・人材育成センターが調査している23区内の「観測井戸」は48か所あり、最も深いものは約350メートル。東日本大震災の影響がない2010年の水位と、都がくみ上げ規制を始めた1970年の記録が残る19地点で水位を比較したところ、全地点で15メートル以上も上昇していた。

 水位の上昇幅が最も大きかったのは、板橋区富士見町で約60メートル。墨田区立花で約45メートル、新宿区百人町では約39メートルも上がっていた。都は「板橋区などはかつて工場が多く、大量の井戸水を使用していた。地下水が増えているというよりは、昔の水位に戻ってきているのではないか」とみる。

 
 壁面が剥離

 地下水が増えたことで、思わぬ影響も出始めている。建設中の首都高中央環状品川線は、地下区間の品川区西五反田付近などで、工事中に大量の地下水がわき出たため、品川線の完成は1年延期に。都建設局は、「ボーリング調査に基づく予想とは異なる箇所から水が出てきた。地下水の流れは簡単に把握できない」と頭を抱える。

 大量の地下水の影響は、既存の地下施設にも忍び寄っている。都営地下鉄三田線では今年3月以降、4か所でトンネル壁面の剥離が見つかった。いずれも、漏出した地下水で内部の鉄筋が腐食し、隙間が生じて壁面のコンクリートがはがれ落ちたためだった。

 こうした現象は、これまで都営全線で年1、2件程度しかなかったことから、都交通局が3月から緊急調査を実施したところ、漏水箇所は2100か所以上もあった。都交通局は「地下水が増えれば、対策費も膨らむ」と心配する。