昨日の東京高裁で、三つのダム事業への栃木県の支出を問う裁判の判決がありました。二つのダム事業は栃木県内のダム事業で、三つ目は八ッ場ダム事業です。結果は住民敗訴。ダム事業に関する住民訴訟では、裁判所が行政の判断を追認する判決が続いています。

●判決文  
http://www.yamba.sakura.ne.jp/shiryo/tochigi_k/tochigi_k_hanketsu.pdf

●判決要旨  
http://www.yamba.sakura.ne.jp/shiryo/tochigi_k/tochigi_k_hanketsu_yoshi.pdf

●東京高裁判決に対する抗議声明  http://www.yamba.sakura.ne.jp/shiryo/tochigi_k/tochigi_k_seimei.pdf

 今回の裁判の最大の争点は、栃木県が思川開発事業で得る予定の水源を使う当てがなく、そのための水道用水供給事業も存在せず、巨額の負担をただ強いるものでしかないことでした。
 しかし、東京高裁は「思川開発事業から撤退するとの判断をすることも,政策的には選択肢の一つとして十分考え得るところではあるものの」と、住民側の主張を認めつつも、「裁量権の範囲を逸脱濫用した違法なものとまでとはいえない。」としました。
 行政がいくら問題のある事業を進めても、裁判所にはそれを問題視する判決を下す意思がないようです。

◆2014年1月28日 下野新聞
 http://www.shimotsuke.co.jp/category/life/welfare/environment/news/20140128/1487982

ー3ダム訴訟控訴審、住民側敗訴 「栃木県の予算執行過失なし」ー

 南摩(鹿沼市)、湯西川(日光市)、八ツ場(群馬県)のダム3事業に対する県の負担金支出は違法だとして、市民オンブズパーソン栃木(代表・高橋信正弁護士)と県民20人が福田富一知事に支出差し止めと支出された約124億円の損害賠償を求めた住民訴訟の控訴審判決が27日、東京高裁であった。田村幸一裁判長は「県の予算執行に過失はない」などと一審宇都宮地裁判決を支持、住民側の控訴を棄却した。住民側は上告の方針。

 住民側は「本県に、ダム3事業による利水・治水の効果はない」と主張。県側は、南摩ダムを造る思川開発事業には県南市町の高い地下水依存率を下げる必要があると反論した。

 田村裁判長は3事業の負担金支出について「国土交通相による通知に基づいており、ダム建設計画などに不合理な点はなく、県の予算執行に過失はない」と述べた。

 判決後、記者会見した住民側代理人の大木一俊弁護士は「我々の主張をまともに受け止めず、無駄な公共事業を奨励する判決だ」と批判。一方で田村裁判長が、思川開発事業の利水参画について「県が撤退を判断することも選択肢として考え得る」などとした点に注目し、県に対してあらためて「同事業から撤退すべきだ」と訴えた。

◆2014年1月28日 上毛新聞、東京新聞社会面(共同通信配信)

ー八ッ場ダム反対控訴審判決 栃木訴訟も住民敗訴ー

 八ッ場ダム(長野原町)など3件のダム事業に反対する栃木県の住民らが、栃木県の事業費負担は違法だとして支出の差し止めを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は27日、住民側敗訴の一審宇都宮地裁判決を支持し、住民側の控訴を棄却した。
 田村幸一裁判長は、3事業の負担金について「いずれも国土交通相による通知に基づいており、違法かどうかはこの通知が合理性を欠いているかで判断すべきだ」と指摘。その上で「通知の前提となる河川整備計画やダム建設計画に不合理な点はなく、県の予算執行に過失はない」と述べた。
 2004年に本県など利根川流域の1都5県で提訴された住民訴訟の一つで、二審判決は昨年10月の千葉訴訟に続き3例目。いずれも住民側が敗訴している。前橋地裁を含む3地裁でも全て住民側が敗訴し、東京高裁に控訴している。住民側の代理人弁護士は「われわれの主張をまともに受け止めず、無駄な公共事業を奨励する判決だ」と批判し、上告する意向を明らかにした。

◆2014年1月27日 朝日新聞栃木版
 http://digital.asahi.com/articles/CMTW1401270900001.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_CMTW1401270900001

ー3ダム住民訴訟、きょう控訴審判決ー

 八ツ場(やんば)(群馬県)、湯西川(日光市)、南摩(鹿沼市)の3ダム建設のための公金支出は違法だとして、市民オンブズパーソン栃木(高橋信正代表)の会員らが福田富一知事を相手取り、建設負担金の支出中止と既に支出された計約82億円の損害賠償を求めた住民訴訟の控訴審判決が27日、東京高裁で言い渡される。住民側が地裁に提訴して10年。改めて争点をみる。

 八ツ場ダムの差し止め訴訟は2004年、ダムの受益者負担金を支出する群馬、東京、千葉、埼玉、茨城、栃木の1都5県で一斉提訴。一審判決は全てで原告側が敗訴。控訴審では東京、千葉で原告側が敗れている。

 県は八ツ場ダムの事業費約4600億円のうち、治水事業の受益者としてすでに支出した分を含め10億4千万円を負担することになっている。

 これまでの裁判で、県側は1947年のカスリーン台風と同程度の規模の降雨が利根川上流域にあった場合、氾濫(はんらん)区域に足利市や佐野市、栃木市が含まれ、「八ツ場ダムが洪水被害を軽減する」としている。

 一方、原告側は、国がカスリーン台風規模の降雨で生じると推定する最大流量は過大とし、「治水効果はない」と主張する。原告側代理人の大木一俊弁護士は「栃木県は利根川に接しておらず、治水効果が全くないと言える。他の判決と同じ判断をすることはできない」と強調する。

 12年に完成した湯西川ダムも「治水計画上、必要はなかった」として、負担金の支払いの差し止めを求めている。

 南摩ダム建設を核とする思川開発事業は水道用水の確保という利水事業が大きな争点。原告側は、思川の流域市町には地下水が十分にあり、人口が減少傾向にあることなどから「新たな水需要はない」と主張。さらに「水道用水を市町へ供給するための具体的な事業計画が存在しない」と指摘する。

 また県側はダムを建設して河川水の利用にシフトすれば、地下水利用による地盤沈下を防ぐことになるとしているが、原告側は「観測結果から地盤沈下は明らかに沈静化している」と反論する。

 大木弁護士は「不要なダムは将来に大きな負担を残す。環境を破壊して、無駄遣いをする国とこれに追随する県の姿勢を許すことはできない」と話す。(岩佐友)

◆2014年1月28日 朝日新聞群馬版
 http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20140128100580001.html

ー公金支出控訴審、栃木も原告敗訴ー

 八ツ場など3ダム建設の公金支出は違法として、市民オンブズパーソン栃木の会員らが栃木県知事を相手取り、建設負担金の支出中止と支出済みの計約124億円の損害賠償を求めた住民訴訟の控訴審判決で、東京高裁は27日、原告側の請求を退けた。

 八ツ場の公金支出を求めた控訴審は東京、千葉に続く原告敗訴で、群馬など3県は係争中。「法的決着」は最高裁に持ち越されており、栃木の原告も上告する方針を示した。

 田村幸一裁判長は、3ダムともに「著しく合理性を欠くとはいえず、違法ではない」とした一方で、原告側が主張した八ツ場の地滑り危険性については「補強対策の必要がある」と主張の一部に理解を示した。