日本政策投資銀行が今年4月にまとめた「水道事業の将来予測と経営改革」によれば、水需要が減少し、老朽施設を更新しなければならなくなるため、今後30年間で6割の水道料金の値上げが必要だということです。

この問題については、日本経済新聞が4月に報じています。
 http://yamba-net.org/?p=20781
 「水道料金、30年後は1.6倍に 人口減で収支悪化  政投銀試算」

 ネット上に公開されている日本政策投資銀行の「水道事業の将来予測と経営改革」です。
 http://www.dbj.jp/ja/topics/region/industry/files/0000026827_file2.pdf 

 ダム事業を進める河川行政と水道行政は一体です。八ッ場ダムをはじめとして、新たな水源開発を目的としたダム事業は、水道事業の現状とはかけ離れたものであり、将来世代に大きな負担を強いることになります。

 関連記事を紹介します。

◆2017年6月13日 朝日新聞
 http://digital.asahi.com/articles/ASK634JTBK63ULBJ004.html
ー水道料金、6割の値上げ必要 政投銀が今後30年を試算ー

国内の1日あたり水道使用量の推移

 人口減に伴う需要減や、老朽化した施設の更新に費用がかかるという課題に直面する水道事業。赤字を出さずに継続するには、約30年間で6割の水道料金の値上げが必要との試算を日本政策投資銀行がまとめた。水道網の維持のため、厚生労働省は事業の広域化を促している。

キャプチャ 主に市町村が担う水道の事業は、小規模のものも含めて全国に約7千ある。厚労省によると、人口減や節水機能付き家電の普及により、水の需要は減少。2060年ごろには、ピーク時の2000年から約4割減ると推計されている。

 経営状況の悪化のため、水道管の更新などへの投資ができず、老朽化が進む事例もみられる。日本水道協会によると、水道管が破裂して断水するなどの水道管トラブルは、14年度に約2万2千件あったという。

 同行は、人口予測をもとに水道料金の減収を推定。人件費や水質を保つための薬品の費用などは14年度並みとし、実情にあわせて60年で水道管を更新すると仮定した。事業者が毎年、赤字にならないよう、各家庭などから徴収する水道料金を値上げしていくと、14年度から46年度までに、全国平均で63・4%値上げされると推計した。

 事業の広域化を促している厚労省は、交付金のほか、連携・広域化を実施する事例集をつくるなどして自治体を支援している。水道課の担当者は「地域の実情に応じて取り組んでほしい」と話す。

 群馬県太田市など3市5町は昨年4月から水道事業を統合した。浄水場の統廃合や人件費の抑制により、10年間で約139億円の経費削減を見込む。毎年約10%の経費カットができる計算だ。香川県と県内8市8町は来年4月からの水道事業の広域化をめざす。26年間で浄水場は71から38にほぼ半減し、28年間で事業全体の1割弱にあたる計約954億円の経費削減ができると見込んでいる。(福地慶太郎)

=== 転載終わり ===

 記事中にある群馬県太田市など3市5町による水道事業の統合は、「群馬東部水道企業団」のサイトに説明が掲載されています。太田市のほか、館林市、みどり市、板倉町、明和町、千代田町、大泉町、邑楽町の3市5町の水道事業が「節水機器の普及や人口の減少に伴い料金収入が減少」する一方で、「高度成長期に建設をした浄水場や老朽管の更新に多額の費用を必要とするなど、困難な課題をかかえて」いるため、統合が必要になったということです。

 「群馬東部水道企業団」の公式サイト
 http://www.gtsk.or.jp/jigyo/86.html
 
 一方、3市5町のうち、みどり市をのぞく2市5町は、群馬県が運営する広域水道、「群馬東部地域水道」に参加しています。「群馬東部地域水道」は今後の水需要の急増を前提に、新たな水源開発を目的とした八ッ場ダム事業に参画しています。
 以下の群馬県の資料では、八ッ場ダム事業への参画の理由として、地盤沈下を上げていますが、すでに地盤沈下はおさまっています。
 http://www.pref.gunma.jp/contents/000314219.pdf

 水需要の急増を前提とした八ッ場ダム事業へ参画しながら、実際には減り続ける各自治体の水需要。水道事業の広域化を自治体に促す厚労省水道課は、国交省の権益であるダム事業には触れようとしません。