淀川水系の丹生(にう)ダムが検証案のとおり、中止されることになりました。
全国のダム検証の結果はほとんど事業推進の記事ばかりですので、中止の記事を読むとほっとします。

 丹生ダムはかつては高時川ダムという名称でした。
 その後、ダム予定地の住民が移転しましたが、2000年代になってから、利水予定者である大阪府、京都府等が撤退を表明し、淀川水系流域委員会が中止すべきであるとの意見書を出しました。
 今回のダム検証で、治水目的は河道整備の方が有利ということで、丹生ダムは中止することになりました。

 同じ淀川水系でも大戸川ダムは治水専用の穴あきダムとして推進の結論を得ようとしていますが、これは事業者の違いも影響しているのではないかと思われます。大戸川ダムは国交省が事業者であり、治水専用ダムになっても国交省が事業を続けることができますが、一方、丹生ダムは水資源機構が事業者であり、水資源開発の目的がなければ水資源機構が事業者であることはできません。
 利水予定者が撤退した現状において、もし継続するとすれば、直轄ダムとしてダム計画をもとから作り直さなければなりません。そのことも丹生ダム中止の要因になっていると思います。

 その点で、同じ淀川水系で事業が推進されようとしている川上ダムも、事業者が水資源機構です。川上ダムも利水予定者の奈良県、西宮市が撤退しましたが、三重県伊賀市のみが残りました。もし、伊賀市も撤退すれば、水資源開発の目的がなくなり、水資源機構は川上ダムを建設することができなくなります。伊賀市の参画が水資源機構にとっての命綱になっているのです。しかし、伊賀市は川上ダムの水源なしで将来とも何も困ることはありません。

◆2016年5月18日 京都新聞
http://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20160518000180
ー滋賀・丹生ダム「中止妥当」 近畿整備局、方針原案に明記ー

 滋賀県長浜市余呉町の高時川上流で計画されている丹生ダムについて、事業主体の近畿地方整備局と水資源機構が今年3月、検証手続きの中で正式に「中止」を盛り込んだ対応方針の原案をまとめ、滋賀県も了承と回答したことが18日、分かった。

 同整備局は、これまで治水対策などで「ダムは有利ではない」としていたが、原案で初めて「中止が妥当」と明記した。今後、同整備局が対応方針案をまとめ、最終的には国土交通省が中止を決定する。

 中止後の河川整備は県が進めるが、原案では姉川と高時川での掘削や堤防のかさ上げが妥当との方向性を示し、渇水で川の流れが途切れる「瀬切れ」対策では魚類の一時避難場所を確保するとした。中止後の地域振興策は「関係機関とともに実施する」と記した。

 同整備局に対して、県は長浜市の意見を聞いて4月28日に原案了承の回答を提出した。同時に4項目の要望書を出し、県が進める河川改修に対する国の財政支援を求め、道路整備をはじめとする地域振興策では国による事業の実施を要請した。

 丹生ダム検証では2014年1月、同整備局などが事実上の中止方針を示していた。中止後の対応に関する地元と整備局、県、市の協議が長期化していたが、今年1月に住民でつくる対策委員会が地域振興策などを意見書にまとめたことを受け、対応方針の原案が固まった。