国土交通省九州地方整備局が事業主体として進めてきた立野ダム事業は、ダム予定地が熊本地震によって大きな被害を受けました。
キャプチャ 立野ダムに反対してきた熊本県の市民団体は、4月28日、国土交通省立野ダム工事事務所に対し、事業者の刑事上の責任を問う「人命・財産を危険にさらす立野ダム建設の即時中止を求める要請書」、および熊本地震直後の立野ダム予定地周辺現地調査報告書を提出しました。
 今回の地震で、立野ダム本体予定地も両岸が大きく崩壊し、工事用道路や現場事務所、工事車両や各種工事用機材なども崩落した土砂に埋まりました。
右図=「立野ダムによらない自然と生活を守る会」が作成し、国交省に提出した「熊本地震直後の立野ダム予定地周辺現地調査報告書」に掲載されたダム予定地の被害状況を伝える図。

 ダム中止を要請した市民団体「阿蘇・立野ダムによらない自然と生活を守る会」のホームページには、熊本地震による立野ダム予定地の被害の状況を伝える現地の生々しいレポートが掲載されています。
 http://stopdam.aso3.org/

 要請書は5月10日、熊本県知事に対しても提出されています。

◆2016年5月11日 毎日新聞熊本版
キャプチャ http://mainichi.jp/articles/20160511/ddl/k43/040/321000c
ー立野ダム建設中止を 知事に3団体 地震被害でー

 熊本地震で被害を受けた立野ダム(南阿蘇村)の建設中止を国に求めるよう、「立野ダムによらない自然と生活を守る会」(中島康代表)など3団体が10日、蒲島郁夫知事に要請した。
 要請は、地震がもし(1)工事作業中だったら多くの作業員が犠牲になった(2)ダムが完成して試験湛水中だったら、穴が詰まってダムが崩壊し、下流域も含む大惨事になっていた??などと指摘。「活断層の存在を我々や地質学者が警告してきたが、国の報告書などにも何ら反映されてこなかった」と訴えた。
 その上で、県民の命を預かる知事として、(1)現在のダム建設計画の中止(2)事業予算の震災復興への充当(3)学者を含めた第三者調査機関による調査検証??などを国に求めるよう要請した。【福岡賢正】

◆2016年5月12日 しんぶん赤旗
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-12/2016051204_06_1.html
 日本共産党の本村伸子議員は10日の衆院国土交通委員会で、熊本地震で大きな崩落が発生した阿蘇地域で建設が予定されている立野ダムについて、国交省の建設ありきの姿勢を強く批判しました。

 立野ダム建設予定地周辺は、阿蘇大橋や国道57号線、JR豊肥本線が土砂で覆い尽くされる甚大な被害に見舞われました。ダム建設予定地も上流まで両岸が崩れ、工事用道路や工事車両などが崩落した土砂の中に埋まるなどしました。

 本村氏は、国交省が立野ダムについて地域住民に「建設予定地の岩盤は十分な強度がある。特に考慮する活断層は存在しない」と説明してきたことをただし、「被災者からはダムに使うお金があるなら被災者支援にこそお金を使ってほしいとの切実な声があがっている」と追及しました。

 石井啓一国交相は「これまでの地質調査の結果を踏まえ建設が可能な地盤であることを確認している。立野ダムの安全に問題はないと考える」などと答弁。本村氏は、立野ダムの被害について公開の場で検証し、結果を提出・公開すること、全国の既存・新設予定のダムについても活断層・地震との関係を再調査、総点検するよう求めました。