本日、以下の公開質問書を国交省関東地方整備局にファックス及び郵送で送り、群馬県庁記者クラブにて会見を行いました。
 
 追記:回答〆切は11月7日としましたが、当日、国交省関東地方整備局より、「調査中であるのでまだ回答できない」との電話がありました。12月3日現在、回答は届いていません。


2014年10月27日
国土交通省関東地方整備局長 越智 繁雄 様

八ッ場あしたの会

熱水変質帯による八ッ場ダムの付替国道の変形に関する公開質問書

 10月初めに地質の専門家とともに、八ッ場ダム予定地の調査を行ったところ、付替国道145号線の茂四郎トンネル西側で熱水変質帯によると推測される付替国道の変形が発見されました。場所はトンネル上流側100~150メートルの付近です。(以下の地図の①)

キャプチャ

 付替国道の縁石と路肩の間に、下の写真1のとおり、数センチメートル幅の亀裂が生じており、路肩の表面は熱水変質帯から浸出した水が覆い、赤茶色になっていました。熱水変質帯とは酸性の高温地下水によって熱水変質を受けて一部が粘土化した脆弱な地層で、この川原畑地区には広く分布しています。

キャプチャ2

 この付近の付替国道の車道は異様な凹凸が発生したことにより〔注〕、9月に舗装のやり直しが行われたばかりのところですが、原因は縁石の亀裂と同じであって、図1に示すメカニズムのように、山側斜面の熱水変質帯が地すべりを起こし始めたことによるものと考えられます。

キャプチャ3

 縁石の亀裂は最近になって生じたものですので、今後、亀裂が広がっていくことが懸念されるだけではなく、斜面の土塊が地すべりする危険性があります。この付近の付替国道は2010年9月と11月に山側から大きな落石があったところです。周辺の山側の上の方には今にもずり落ちそうな岩が無数にあって、針金で岩の落下をかろうじて防いでいるところであり、斜面下部での地すべり崩壊により、斜面上部での落石崩壊を誘発する可能性もあると見られます。

  川原畑地区の付替国道の付近はここだけではなく、その上流側でも山側斜面の熱水変質帯による異変が見られており、このまま放置することは取り返しのつかない事故を招くことにもなります。
 そこで、この問題に関して以下、質問しますので、真摯にお答えくださるよう、お願いします。なお、ご回答は11月7日(金)までにFAXまたはメールでお送りください。

〔注〕〔注〕本会が9月12日付けで提出した「八ッ場ダム・上湯原地区代替地の整備に鉄鋼スラグが使われたことによるJR吾妻線・川原湯温泉・新駅付近の鉄道運行の安全性に関する公開質問書」では、この付替国道の表面の凸凹は路盤に鉄鋼スラグが使用され、その膨張によるものではないかと指摘しましたが、今回の地質の専門家の調査により、山側斜面の熱水変質帯の影響も大きく、複合的な要因によるものであると推測されました。

 「八ッ場ダム・上湯原地区代替地の整備に鉄鋼スラグが使われたことによるJR吾妻線・川原湯温泉・新駅付近の鉄道運行の安全性に関する公開質問書」の回答はこちらに掲載しています。
http://yamba-net.org/?p=9141

質問事項

1 茂四郎トンネル西側での付替国道の変形について
 上述のとおり、付替国道145号線の茂四郎トンネル西側では国道の縁石に数センチメートル幅の亀裂が生じ、路肩の表面は熱水変質帯から浸出した水が覆い、赤茶色になっています。貴局はこの事実を把握しているのでしょうか。把握しているか否かを明らかにしてください。

2 茂四郎トンネル西側での付替国道の変形の原因について
 茂四郎トンネル西側の国道の縁石に数センチメートル幅の亀裂が発生し、この付近の車道の表面に凹凸が生じた原因は、山側斜面の熱水変質帯が地すべりを起こし始めたことにあると推測されますが、貴局は、これらの変形はどのような原因によるものと考えますか,貴局の見解を明らかにしてください。

3 茂四郎トンネル西側での地すべり対策工の有効性について
 茂四郎トンネル西側では山側斜面の地すべりを防止するため、写真2に示すとおり、法枠工とアンカー工が採用され、施工されています。しかし、これらの対策工が有効に機能しなかったからこそ、上述のとおり、付替国道の変形が生じてきているのではないでしょうか。この場所で採用された法枠工とアンカー工が有効な地すべり対策工であったか否かについて貴局の見解を明らかにしてください。

キャプチャ4

4 熱水変質帯を含む斜面で採用すべき地すべり工法について 
 茂四郎トンネル西側の山側斜面は粘土化した熱水変質帯を多く含んでおり、地すべりを抑止することは容易ではありません。斜面の表面だけを抑える法枠工が有効な対策工にならないのは言うまでもありませんが、アンカー工にしても、アンカーを打ちつけた岩盤そのものが熱水変質していれば、糠に釘を打つようなものです。 また、熱水変質帯は酸性化しており、アンカーは防錆措置がとられているとはいえ、何十年の歳月を経ても強酸性水に対して防錆が機能するかどうかは保証の限りではありません。茂四郎トンネル西側の熱水変質帯を含む斜面で採用すべき地すべり工法について貴局の見解を明らかにしてください。

5 茂四郎トンネル西側での付替国道の変形を防止する対策について 
 茂四郎トンネル西側での付替国道の変形を放置すれば、今後、熱水変質帯を含む斜面が崩落することが予想されます。その場合は交通量が多い幹線道路であり、また、周辺に宅地がありますので、影響は甚大です。崩落防止の対策を早急に講じなければなりません。貴局は茂四郎トンネル西側での付替国道の変形を防止するため、どのような対策を実施する考えでいるのか、貴局の見解を明らかにしてください。また、対策の実施予定時期も明らかにしてください。

6 川原畑地区三平における付替国道の脇の水路の異常水質について
 写真3は川原畑地区の三平にある付替国道の脇の水路を撮ったものです。場所は3頁の地形図の②で、長さ100メートル程度の水路です。この水路の水は写真で明らかなように、橙色の異様な色を呈しています。水質を測ってみると、pHは3程度で、強い酸性です。また、電気伝導度は4,700μS/cmもありました。付近の沢水は200μS/cm程度ですから、異常に高い値です。
(水路の左側に法面、右側に付替え国道が走っている。)

キャプチャ

 水路の水が異常な水質になっているのは、山側斜面等のカオリナイトや黄鉄鉱を多く含む酸性熱水変質帯から酸性成分や金属元素、粘土コロイド物質などを含む水が浸出しているからであり、それは広範囲の山側斜面に熱水変質帯が分布していることを示唆します。そのことは、今後、山側斜面が安定を維持できるかどうかに関わる重要な問題です。

 貴局は上記の事実を把握しているのでしょうか。把握しているか否かを明らかにしてください。把握しているならば、その対策を考えているのか否かを、そして、考えているならば、対策の内容を明らかにしてください。

7 川原畑地区における熱水変質帯に起因する問題について
 川原畑地区の付替国道は山を切り開いて造られました。しかし、その山には熱水変質帯が広く分布していたため、開削により、熱水変質帯が地上に露出して空気に触れて酸化し、一層脆弱化してきました。この質問書で指摘した茂四郎トンネル西側での付替国道の変形、および三平における付替国道の脇の水路の異常水質はそのことによるものであり、川原畑地区ではほかの場所でも熱水変質帯に起因する問題が生じることが十分に予想されます。
 このことについて貴局の見解を明らかにしてください。

                               以上

 以下の写真は2005年11月25日撮影。地図②箇所の造成時、熱水変質している地層がよく見える状態でした。

05年11月川原畑三平付け替え国道法面崩落個所shuku

 その後、上の写真の山側斜面にはアンカーボルト工が実施されましたが、次第に全面が赤茶け、金網が溶けてきました。(2013年10月18日撮影)
付け替え国道法面shuku