人口減少や節水機器の普及により、全国で水需要は減少の一途を辿っていますが、水源開発を目的としたダム建設は水需要が増え続けることを前提に進められています。矛盾のツケが水道事業の経営を圧迫しているのですが、政府は不要なダム建設の問題を伏せたまま、水道事業の赤字体質を改善するとの名目で規制緩和を進めようとしています。

 全国で人口減少が進む中、八ッ場ダムに参画している東京都や埼玉県は、今も人口が上昇している数少ない地域ですが、これらの都県でも水需要は減少しています。
 「水道用水と工業用水の動向(東京都、利根川流域、全国)」の現状レポートをこちらに掲載しています。
 http://yamba-net.org/genjou/mizujuyou/

 水道事業の規制緩和に警鐘を鳴らす集会が11月20日に開催されます。
 http://yamba-net.org/?p=18470

 さる23日の日経新聞に、政府が水道事業の規制緩和を進めようとしていることを伝える記事が掲載されました。ライフラインである水道の民営化は、私たちの生活を脅かす可能性があります。

◆2016年10月23日 日本経済新聞
 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS22H24_S6A021C1PE8000/
ー老いる水道インフラ 政府、民間経営に期待 ー

 地方自治体が経営する水道事業は「もはや限界に近い」(政府関係者)のが現状だ。設備の老朽化に加え、技術者の不足も深刻。団塊世代の退職が響き、安定的な水道運営が危ぶまれている。政府が民間企業による水道経営の参入にこだわる背景には、老朽化が進む全国の水道インフラの問題がある。

 全国の自治体の水道事業はほぼ半数が赤字体質。だが料金値上げなどは住民の反発が予想され、自治体は抜本的な収益改善に及び腰だ。水道管の耐震化率は4割に満たない。採算見通しが立たない事業体に任せたままでは、更新投資が進まない恐れがある。

 企業はこれまで一部事業の受託でノウハウを蓄積してきたが、水道全体を経営できるかは未知数。リスクの把握や対処に関する知見も乏しい。検討中の法改正は、企業の要望を聞いてまとめた内容で、初の経営参入が実現する可能性は高い。

 生活インフラの根幹を企業に委ねることには住民の不安も予想される。水道事業の危機的状況を十分に開示した上で、丁寧な議論で住民の理解を得る必要がある。

◆2016年10月23日 日本経済新聞
 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS22H0V_S6A021C1MM8000/
ー水道への企業参入促す 災害時復旧の負担軽く 17年にも法改正 料金改定も柔軟にー

 政府は地方自治体が手掛ける水道事業への企業の参入を促すため、2017年にも水道法を改正する。災害時の復旧を自治体との共同責任にして企業の負担を軽減するほか、料金の改定も認可制から届け出制に改めて柔軟に変更しやすくする。政府は11年に民間への運営権売却を認めたが、災害発生時の膨大な費用負担のリスクを企業が懸念して実績はなかった。大幅に参入障壁を下げることで、国内外の企業が本格的に参入を検討する見通しだ。

 水道事業は、人口減に伴う料金収入の減少や、老朽化した水道管の更新などで自治体の大きな負担だ。厚生労働省によると、水道局などの運営主体のうち、約半数は慢性的な赤字体質だ。

 政府は11年、民間の経営手法を導入するため、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)法を改正。自治体が土地や建物の所有権を持ち、企業に運営を任せる運営権売却(コンセッション)を認めた。だが浄水場など一部業務の受託は多いが、経営全体の参入はないままだ。

 民間の本格参入を実現するため、政府は水処理大手などの要望を聴取し、法整備の準備を進めてきた。月内に概要をとりまとめ、来年の通常国会にも水道法改正案を提出する方針だ。

 改正案は、非常時の企業の責任を軽減するのが柱。現行制度では、水道経営には厚労相か都道府県知事の認可が必要で、災害時の復旧などは認可対象の企業がすべて責任を負う可能性がある。自治体と共同責任にすると明示し、企業が安心して参入できるようにする。

 料金の引き上げ時の手続きは簡素化する。いまは厚労相の認可が必要だが、自治体と事前に取り決めた範囲内なら、届け出で済むように改める。水道経営のリスクや、自治体との責任分担の例を改正案と共に示し、企業がすぐに具体的な検討をできるようにする。

 自治体には企業との詳細な契約、企業には保険加入などのリスク対策を指針などで求める。政府は法改正に伴い、老朽化した水道の更新需要の公表を努力義務として課すことも検討する。

 海外では民間企業が水道経営を手掛ける事例は多い。政府部門ではIT(情報技術)による業務効率化やコスト削減が遅れているため、民間の経営手法を導入すれば採算がとれるケースが多いためだ。

 民間参入は、内閣府によると特に欧州で多く、フランスでは約7割が民間委託だ。経営ノウハウを蓄積した仏ヴェオリアや仏スエズは「水メジャー」と呼ばれ、水道経営の受託で世界市場を開拓している。ヴェオリアはすでに日本法人を設立しており、参入機会をうかがう。国内の水処理各社も関心を寄せている。