中国地方最大の国直轄ダム「苫田ダム」(2004年、岡山県)は、利水容量の一部を治水容量に転用する話があったのですが、昨日、地元紙がこの話はご破算になったと報道しました。

 苫田ダムは地元の奥津町(現・鏡野町)がダム計画に反対しましたが、建設省や岡山県が行政圧迫を行って、ダム反対の町長が予算を組めないようにし、3期にわたって町長を辞任に追い込んで建設に漕ぎつけた、強権行使の象徴的なダムです。ダム反対の予定地住民に対しては、子息の勤め先まで手を回して、翻意を迫ることまで行ったとされます。

 しかし、苫田ダムは必要のないダムでした。苫田ダムの主目的は、八ッ場ダムと同様、治水(洪水調節)と利水(都市用水の開発等です。
 http://www.cgr.mlit.go.jp/tomata/
 

 苫田ダムの水利権を持つ岡山広域水道企業団の水源構成は、苫田ダム40万㎥/日、既得水源が9.3万㎥/日ですが、現在の1日最大取水量は10万㎥/日少しにとどまっています。それも、岡山市などが自己水源の一部を企業団水に切り替えた結果であって、苫田ダムなしで水需給に不足をきたすことはありませんでした。以下の記事では、40万㎥/日のうち、10.5万㎥/日が買い手がないと書かれていますが、実態は責任水量制を岡山市等に押し付けたものであって、岡山市等は企業団の水を持て余しています。

 岡山県広域水道企業団の余剰の利水容量を国が買い取って治水容量に転用する交渉が行われていましたが、国の買い取り額が5億円で安すぎるということでご破算になったということです。

◆2017年3月30日 山陽新聞
http://www.sanyonews.jp/article/509980/1/
ー苫田ダムの治水転用「対応困難」 県広域水道企業団 国打診断る方針ー

 苫田ダム(岡山県鏡野町)の利水容量を保有する岡山県広域水道企業団(県と関係17市町で構成)は30日、岡山市内で開いた運営協議会で、利水容量の一部を治水転用するため買い取りを打診している国に対し、「現時点では対応は困難」として断る方針を決めた。国側の提示価格が低いことなどが理由という。

 同企業団は31日にも国土交通省中国地方整備局に文書で回答する。ただ、国側から再度の転用依頼があった場合は再検討するとの内容も盛り込む。

 苫田ダムの利水容量は日量約40万トン。このうち10・5万トンは買い手が付かず、県が調整水量として引き受けている。

 同整備局は2015年8月、洪水調整に活用するため、11・7万トンを約5億円で買い取ると打診。県と関係市町で協議を重ねていたが、約5億円で売却すると同企業団に約84億円の帳簿上の差損が生じることなどから、「国の買い取り価格が資産価格に見合わず、将来の企業団経営に悪影響を与える」「異常渇水が起きた場合に対応できるのか」といった慎重意見が出ていた。