一昨年から騒がれ出した大同特殊鋼の有害スラグ問題は、昨年9月、群馬県が刑事告発したことにより、県警が捜査中です。
 元旦の地元紙社会面に、この問題に関する詳しい記事が掲載されました。
 *追記:その後、全国紙の群馬版に関連記事が載りましたので、合わせて転載します。

◆2016年1月1日 上毛新聞社会面より
http://www.jomo-news.co.jp/ns/9914515721447623/news.html
ー大同特殊鋼を立件へ 鉄鋼スラグ問題で県警ー

 鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場(渋川市)から出た鉄鋼スラグが県内の公共工事で使われ、一部で環境基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出された事件で、県警が廃棄物処理法違反の疑いで、同社などを立件する方向で調整していることが31日、捜査関係者への取材で分かった。
 県警は押収した資料を分析するとともに関係者から事情を聴いており、春までの立件に向けて容疑を裏付けるため捜査を進めている。

 捜査関係者によると、同社は有害物質を含む鉄鋼スラグを、県から産業廃棄物処理の許可を受けていない子会社や業者と取引した疑いが持たれている。
 県警は2015年9月、県の刑事告発を受け、同社と子会社の大同エコメット(愛知県)や佐藤建設工業(渋川市)の3社の関係先数カ所を家宅捜索。押収した資料を調べた結果、立件が可能と判断しているとみられる。今後、前橋地検と協議しながら同法違反容疑の適用対象を詰めていく。

 一連の問題は13年6月に渋川市がスラグを使った公共工事から基準値を超えたフッ素や六価クロムが検出されたと明かしたことから表面化。県は14年に渋川工場などに立入検査を行い、調査を始めた。

 大同特殊鋼は02年4月から14年1月までの間、製鋼過程の副産物として出た鉄鋼スラグを、エコメットや佐藤建設に建設資材として販売。その際、販売管理料などの名目で購入代金を大きく上回る金額を支払っていた。

 スラグが全国的に建設工事の再生資源として使われていることから、県はスラグの取引価値や排出の状況などを調査したが、スラグが有価物ではなく実質的に廃棄物に当たると判断。「売買契約としているが、実態は廃棄物の処理委託だった」として、大同特殊鋼が廃棄物の引き取り代金を支払う「逆有償取引」をしていたと結論付けた。

 3社は県の聞き取りに対し、「鉄鋼スラグは廃棄物ではなく、製品として取引していた」などと説明しているという。

 県内では、14年1月に県が立ち入り検査を行うまで計約29万トンのスラグが処理された。国が発注した国道17号上武国道や八ッ場ダム(長野原町)の代替地など公共工事225カ所で大同特殊鋼のスラグが使用され、うち93カ所で環境基準を上回るフッ素などが検出されている。

◆2016年1月21日 読売新聞群馬版
ー鉄鋼スラグ 従業員ら30人聴取 県警 幹部らにも事情聴く方針ー

 鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」渋川工場(渋川市)から出た鉄鋼スラグをめぐる問題で、県警が、同工場の従業員ら約30人に事情聴取を行ったことが、捜査関係者への取材で分かった。県警は、同社が鉄鋼スラグを不正に処理していたとみて、廃棄物処理法違反容疑で捜査を進めている。今後、同工場の幹部らに詳しい情報を聞く方針だ。

 捜査関係者によると、大同特殊鋼は2010~14年頃、鉄鋼スラグを廃棄物として処理する許可を得ていない愛知県内の子会社に、処理を委託するなどした疑いが持たれている。

 県警は昨年9月、県の告発を受けて、同法違反容疑で名古屋市の大同特殊鋼本社や、渋川工場などの捜査を実施。その後、渋川市内にある子会社事業所や建設会社の検証を行い、スラグを安定化処理したり、天然砕石と混ぜたりする過程を調べていた。

 昨年12月頃から渋川工場や子会社、建設会社の従業員らの事情聴取を始めた。従業員たちは「廃棄物にあたらないと思っていた」などと説明しているという。

—転載終わり—

 昨年末には、大同特殊鋼の有害スラグが前橋市の合同庁舎の基礎にも使われたことが発覚しています。合同庁舎のこの工事は国交省関東地方整備局が発注したもので、同局は建設当時の環境基準を満たしているので対策不要と発表しています。
 発表が最も注目されにくい仕事納めの日に、突然このような記者発表が行われたことは、いかにも不自然です。

◆2015年12月29日 毎日新聞群馬版
http://mainichi.jp/articles/20151229/ddl/k10/040/210000c
ー前橋合同庁舎の基礎にも 当時の基準クリア /群馬ー

 大同特殊鋼渋川工場から出た鉄鋼スラグの砕石が、前橋市大手町2の前橋地方合同庁舎の基礎工事でも使用されていたことが分かった。当時の検査で環境基準をクリアしていたため、対策は講じないという。国土交通省関東地方整備局が28日発表した。
 庁舎ビルは2013年2月に着工し、今年6月以降、前橋地方法務局、前橋税務署、前橋地方気象台、前橋労働基準監督署などが移転した。【尾崎修二】

◆2015年12月29日 産経新聞
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151229-00000009-san-l10
ー前橋地方合同庁舎で鉄鋼スラグ使用 環境基準には適合ー

国土交通省関東地方整備局は28日、今年度完成した前橋地方合同庁舎(前橋市大手町)の建設工事に、鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」渋川工場から出荷された鉄鋼スラグが使用されていたと発表した。鉄鋼スラグは、建物の基礎の下に敷かれた砂利に含まれているが、環境基準には適合しているという。

 同社の鉄鋼スラグをめぐっては、県環境森林部が9月、渋川工場から出たスラグを廃棄物と認め、県警が強制捜査に入った。国、県、市は基準値を超えるスラグが使用された工事現場については撤去、または盛り土や舗装などで表面を覆う措置を取る方針を決め、処理費用は同社に負担を求めることで一致している。

— 転載終わり—

 上記の記事で取り上げられている国交省関東地方整備局の記者発表は同局のホームページに掲載されています。(同局ホームページより転載)
 http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/kyoku_00000761.html
 記者発表資料 平成27年 12月28日 鉄鋼スラグを含む砕石を使用した工事が新たに確認されたことについて 関東地方整備局

 国土交通省関東地方整備局では、大同特殊鋼(株)渋川工場が鉄鋼スラグを出荷した記録があることが判明した工事の施工箇所等において、有害物質の含有量等について分析試験を実施し、その調査結果をお知らせしてきたところです。
 このたび、群馬県環境森林部からの情報提供により、新たに群馬県内で関東地方整備局が発注した官庁施設の営繕工事の1工事において、大同特殊鋼(株)渋川工場の鉄鋼スラグを含む砕石の使用の疑いが判明しました。
 当整備局で工事書類を確認したところ、大同特殊鋼(株)渋川工場の鉄鋼スラグを含む砕石が建物の基礎下に使用されているものの、都道府県知事の登録を受けた試験機関の品質規格証明書により環境基準に適合していることが確認できました。
 また、過去5年間に遡り、群馬県内で当整備局が発注した官庁施設の営繕工事について工事書類を確認した結果、当該工事以外で大同特殊鋼(株)渋川工場の鉄鋼スラグを含む砕石の使用は工事書類からは確認されませんでした。
 今後、官庁施設の営繕工事についてもこれまでの土木関係の工事の場合と同様に、大同特殊鋼(株)渋川工場が鉄鋼スラグの出荷を開始した平成3年度以降に施工された群馬県内で当整備局が発注した工事現場については、工事完成図書等および現場の確認を通じて、大同特殊鋼(株)渋川工場の鉄鋼スラグの使用の有無を確認していきます。
 新たに大同特殊鋼(株)渋川工場の鉄鋼スラグの使用が確認された場合、群馬県環境森林部に報告し、助言を得ながら、適切に対応していきます。

—転載終わり—

 市民オンブズマン群馬も新年早々、ブログで八ッ場ダム予定地の有害スラグを取り上げています。
 http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1845.html