8/5付の毎日新聞のスクープ、八ッ場ダム事業で有害資材(環境基準を大幅に超える鉄鋼スラグ)が水没予定地住民の移転代替地などに使用されているとの報道が大きな波紋を広げています。

 鉄鋼スラグの問題が最初に発覚したのは、大同特殊鋼の工場がある群馬県渋川市です。当初からこの問題を渋川市議会で取り上げてきた角田喜和議員(共産)に現場を案内していただきました。

渋川スカイランドパークshuku
 環境基準を超える有害物質が検出された渋川スカイランドパークは、市民に親しまれている遊園地です。夏休みとあって、多くの親子連れが訪れていました。

 2013年6月、群馬県より環境調査を支持された渋川市がこの遊園地の駐車場の路盤材に使われていたものと同じ時期に大同から出荷されたスラグを調査したところ、環境基準の最大20倍の六価クロムと6倍のフッ素が検出され、市議会で問題が追及されました。市のその後の調査で、実際にスラグが使われた場所で六価クロムやフッ素が検出された、との報道が相次ぐようになります。
 大同特殊鋼の鉄鋼スラグ問題を継続的に報道してきた毎日新聞群馬版によれば、渋川スカイランドパーク周辺の市道から基準の11~20倍の六価クロム検出(昨年12/18)、スカイランドパーク駐車場で基準の22倍の六価クロム検出(今年1/28)、同パークの第2、第6駐車場から、基準を超えるフッ素検出(今年3/13)が渋川市の調査で明らかになっています。

 観覧車と問題の駐車場shuku
 第6駐車場の入り口付近には、今も問題とされた鉄鋼スラグが地表に露出していました(白い砂利が敷かれた所)。そのの手前にはアスファルトが敷かれていますが、アスファルトが盛りあがったり、亀裂が入ったりしています。これは、水を含むと膨らむ鉄鋼スラグがアスファルトの下にあるためということです。

 素人目にはわかりにくいのですが、表面が白っぽく、角ばった大きな鉄鋼スラグが天然砕石にまじってころがっています。(右下写真)
 金づちで叩くと火花が散るほど硬いです。他の石と同じように見えますが、割ると断面が黒く、気泡があります。(左下写真)
 鉄鋼スラグshuku
鉄鋼スラグ (2)shuku

凹凸注意shuku
 駐車場の脇の道路には、「凹凸注意」と書かれた渋川市の看板が立っています。こうした看板はスカイランドパーク内のあちこちにあります。実際、歩道が不自然に盛り上がっていたり、車道の表面がうねうねして運転しづらい所が何カ所もあります。
 凹凸は見えますが、有害物質は目には見えません。市民に開放されている場所で有害資材が使われているのであれば、「凹凸注意」だけでは足りないように思います。

 有害な鉄鋼スラグは、多くの人々の地道な活動によって、渋川市内の遊園地、保育園だけでなく、やがて前橋市の群馬用水(水資源機構)の管理道路や国道17号、そして八ッ場ダム事業に至るまで県内各地で使用され、公共工事の現場が産業廃棄物の捨て場とされてきた実態が明らかになってきました。

 問題とされる大同特殊鋼の鉄鋼スラグが八ッ場ダム事業で使われていることを国が最初に認めたのは、石関貴史衆院議員(維新)が国会質問と質問主意書でこの問題を取り上げた結果です。

◆衆議院議員石関貴史君提出群馬県内における有毒物質を含む疑いのある鉄鋼スラグの使用実態に関する質問に対する答弁書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b186084.htm

 衆議院議事録より、該当箇所を転載します。 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001818620140219011.htm

————-
衆議院予算委員会平成26年2月19日 石関貴史議員の質疑「大同特殊鋼の鉄鋼スラグ問題」

第11号 平成26年2月19日(水曜日)

○石関委員  続いて、環境問題に移りたいと思います。

 まず、経産大臣にお尋ねをしたいと思います。

 報道されたものですが、先月の二十八日、これは一部上場企業ですが、名古屋に本社がある大同特殊鋼株式会社という大きな特殊鋼のメーカーがございます。これは群馬の、私の地元の渋川市に大変大きな工場があるんですが、この関係の報道がなされました。この内容は、鉄鋼スラグというもの、工場から排出されるものですが、これを再生資源として業者に販売をしていました。ただ、これは奇妙なことに、販売額よりも高い費用を大同特殊鋼が負担をして売っていた、このことが報道されました。

 販売額より高い手数料を売る側が負担するというのは普通では考えられないことなんですが、想像するに、これは、本来は産業廃棄物として処理をしなければいけないものを、高いお金を払って、あたかも再生資材であるかのような偽装をして業者に売りつけていたのではないか、こういうことが推定をされるわけです。

 こういった取引だとすれば、これはこの業界では逆有償取引という呼ばれ方をするようなんですが、立入調査をしておりますので、群馬県から報告が上がっているのか、私が説明した報道の内容で間違いがないか、お尋ねいたします。

○茂木国務大臣 御指摘の事案につきましては、当省としても、一月の末より大同特殊鋼の方から聞き取りを行っておりまして、平成二十一年の七月から二十四年の六月まで、販売価格より高い費用を引き取り手に支払ういわゆる逆有償取引、これの事案を確認いたしております。

 この件に関しまして、群馬県渋川市の調査では、同社の鉄鋼スラグ製品が使用された土地十一カ所で、環境基準を超える弗素、六価クロムが検出をされておりまして、このような事案が生じたことはまことに遺憾であると考えております。

 同社に対しましては、同様の事案の有無の確認とともに、販売した製品の管理状況の把握など、スラグの管理体制の見直しなどについて、しかるべく対処するよう指導しているところであります。

○石関委員 この大同特殊鋼の鉄鋼スラグ、今御説明をいただきました。

 これは、いつから販売して、年間どれぐらいの量を販売しているんですか。

○宮川政府参考人(経済産業省製造産業局長) お答え申し上げます。

 このスラグにつきましては、売り出しでございますけれども、九〇年代のところから売り出しているというふうに伺っております。

 なお、年間の販売量でございますけれども、渋川に限って申し上げますと、年によっても非常に上下がございますけれども、おおむね二万五千トンぐらいというふうに伺っておるところでございます。

○石関委員 では、今度は環境大臣にお尋ねをします。

 これは、先ほど経産大臣の答弁にもありましたけれども、この鉄鋼スラグの中から、六価クロム、それから弗素、こういうものが検出をされた。それぞれ、これは発がん性が高かったり、歯とか骨とか、弗素なんかはそういうものに大変有害な影響があるというものなんですが、これらは、そもそも環境省を中心に国が基準を持っていて厳しく管理をすべきものというふうに考えますけれども、どういう管理をされているんですか、この物質については。

○平岡政府参考人(環境省大臣官房審議官) お答えさせていただきます。

 御指摘のございました六価クロム、弗素等は有害物質ということでございます。

 こういう物質につきましては、環境基本法の規定に基づきまして、水質汚濁でありますとか土壌汚染等につきまして、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準ということで、環境基準を設定しております。

 そして、これらの環境基準が満たされるように、水質汚濁防止法に基づくモニタリングでありますとか規制を行っておりますし、また、土壌汚染対策法に基づく汚染の除去等の措置を求めるといったようなことを行っておりまして、適切な環境管理措置が実施されるように努めておるというところでございます。

○石関委員 大変な危険なものであるということ、それから、努めているけれども、こういうふうに漏れたというか、スラグの中から検出をされて、そのスラグがあちこちで使われている、この後も御説明しますが、そういうことであります。

 今度は国交大臣にお尋ねをします。

 この報道の中でも、渋川市内、この工場があるところの十一カ所の施設で、基準値を超える六価クロムや弗素が検出をされた、これもこの中で報道されています。

 これは、先ほど経産大臣は把握をされておられましたが、県を通じてこの十一施設からこういった有害物質が検出をされたということの報告がなされているのかどうか、当然されていると思いますが、されているのであれば、この汚染の浄化のために既にどのような対策をとられているのか、教えてください。

○太田国務大臣 今回の報道を受けまして、群馬県内の国土交通省所管工事について、大同特殊鋼の鉄鋼スラグの使用状況について調査を行わせていただきました。

 具体的には、工事に使用する材料につきまして、工事を行う施工業者から提出されます品質規格証明書というのがありますが、これの書類を確認しました。その結果、書類が残っているのは平成二十年度以降でありまして、この平成二十年度以降の工事で、道路の路盤など四十五件の工事におきまして、大同特殊鋼の鉄鋼スラグを含む砕石を利用した記録が残っていることを確認しました。したがって、これらの工事においては、御質問の鉄鋼スラグを含む砕石が使用されているというふうに考えます。

 そこで、この二十年度以降の今申し上げました二十四工事で、大同特殊鋼の鉄鋼スラグを含む砕石を下層路盤材等に使用していることを確認したところです。なお、現地では、砕石はアスファルト舗装で覆われているという状況にございます。

 このうち二十の工事につきましては、施工業者から提出されました品質規格証明書によって、六価クロムや弗素について環境基準に適合していることが確認できています。基準内ということです。

 また、品質規格証明書による確認ができていない残る四工事につきましては、土壌汚染の専門家の指導のもとに、現地から試料を採取し、有害物質の含有や溶出の実態について、現在分析を行っているところです。分析調査結果を踏まえて、環境への影響の有無や必要な対策について検討してまいりたいと考えています。

○石関委員 この品質証明書というのは、メーカーが証明しているものですね。品質証明書、これはどういうふうに証明されているものですか。

○太田国務大臣 これは、大同特殊鋼から建設業者に行きまして、それが、工事を行う施工業者から国土交通省の工事を行った工事事務所に、建設業者から、ここにこういうものを使いましたということを提出しているということでございます。

○石関委員 有害物質についての品質というか、これが基準値以内だということは誰が証明しているんですか。

○森政府参考人(国土交通省大臣官房技術審議官)お答えいたします。

 ただいま委員から御指摘ございました品質証明書でございますが、私どもの方、さまざまな材料を使っていく上での……(石関委員「手短にやってください、時間ないから」と呼ぶ)はい。試験成績書というのをいただいているところでございます。これに関しましては、大同特殊鋼株式会社の方から、一般的なJISによる試験方法によりまして、その結果が出されているというところでございます。

 以上でございます。

○石関委員 では、それは役所は調べていないんじゃないですか。

 だって、こういう逆有償取引みたいなことをしている会社が出してきた紙を品質証明ですと、そんなものをそのまま受け入れていいんですか。怪しげだから報道されているんでしょう。県も立ち入っているんじゃないですか。そんなものが出してきたものを、はい、そうですかと、こういうことですか。こんなの、県民も住民も心配でしようがないですよ。

○太田国務大臣 まず、現実に残っている書類というものがございますから、それを調べて、そして、先ほど申し上げましたが、調査するということについて今専門家と協議してやっているということでございますから、声を荒げることはないと思います。

○石関委員 だって、住んでいる人とか、私もこの道路を使っていますよ。悠長なことをやっている暇がないから、ここで質問しているんですよ。紙を出してきたから平気だ、こんな問題じゃないと思いますよ。もうちょっと切迫感を持ってやってくださいよ。

 具体的にどこで使っているか。国道十七号とか、それから、いろいろ話題になりました八ツ場ダムの工事の事務所が発注しているもの、こういったところでも使われていますか。

○森政府参考人(国土交通省大臣官房技術審議官)お答えいたします。

 私どもの国道事務所あるいは八ツ場等々の事務所で、今御指摘のスラグは使用させていただいておるところでございます。

 以上でございます。

○石関委員 国道十七号と、いろいろ話題になった八ツ場ダム、ここの工事で国交省が発注したものに使われているということでございます。

 国道十七号でいうと、私もよく使いますけれども、どこからどこの部分、どれぐらいの距離を使っていますか。

○森政府参考人(国土交通省大臣官房技術審議官)お答えいたします。

 今の、延長につきましては、申しわけございません、手元に資料がございません。

 私どもの方が行っております国道十七号等々につきましては、二十四の工事でこのスラグを使わせていただいております。

 以上でございます。

○石関委員 皆さんにも、このスラグというのがどういうものか、写真をお手元に用意したので、ぜひごらんをいただきたいと思います。

 下の方の写真を見ると、ただの小石みたいに見えて、スラグといっても石と違いがわからないと思います。私もそうです。

 ただ、国交省の所管である独立行政法人の水資源機構、こういうのがありますよね。この水資源機構が管理している、この写真に載っているのが群馬用水という施設であります。このホームページを見ると、ここにスラグ材が、これは現地で写真を撮ったものですけれども、未舗装の道路の部分にスラグ材と思われるものが敷き詰められている。

 スラグ材というのは、今申し上げたように、普通の砂利とか石とかそういうものと変わらないというので、ここを通る人は普通の砂利だろうと思っているということでありますが、ここに使われているようなんですけれども、国土交通省として、この使用実態というのは把握をされて、調査をされているのか。あるいは、水資源機構から調査の報告というものはもらっているんでしょうか。

○太田国務大臣 水資源機構では、群馬県渋川市、前橋市、高崎市等を流れる幹線水路延長六十二キロの群馬用水におきまして、管理用道路の路盤に大同特殊鋼の鉄鋼スラグを使用した実績があります。

 その施工は平成十六年度から平成十八年度にかけて行われておりまして、榛名幹線〇・一キロ、赤城幹線一・五キロの、合計一・六キロの区間において使用したとのことでございます。

○石関委員 ごらんいただいた写真のようなところなんですけれども、片側が用水路、片側が畑、こういう写真ですよね。皆さん確認いただけると思いますけれども。

 これは、群馬用水のホームページを見ると、用水路を流れているこの水が、群馬県の八市町村の農業用水や飲み水に使われている。ここを歩けば、スラグ自体、砂利かなと思って手に触れることも可能だ、こういう場所だということなんですが、これは何か至急対策をとる必要があるんじゃないですか。いかがでしょうか。

○太田国務大臣 現在、水資源機構におきまして、必要な調査を行うために、群馬県及び前橋市の土壌汚染対策を担当する部局と、調査試料を採取する位置、試料のとり方、分析方法等について協議をしているところでございます。

 調査結果を踏まえ、水資源機構において適切に対処するものと考えています。

○石関委員 どんどんやってください。

 それで、今、同僚から五分もらいましたから、もう少しやらせていただきます。

 もう一つ、お手元に配付した資料、平成十六年度の「堀越第三開水路フェンス改修等工事(第一回変更)特記仕様書」というのがあります。これを開いていただいて、「第二章 本工事」のところ、「材料」「スラグ砕石」「路盤工に用いるスラグ砕石は鉄鋼スラグ路盤材とし、」というふうに書いてあります。

 これは、事細かに、鉄鋼スラグのJISの番号まで、規格まで大変細かく指定をされていますが、どうしてここまで細かく指定をする必要があるのか。単にスラグ砕石とか、そういうものでもいいのではないかなというふうに、これは専門家に聞いてもそういうふうに言っていました、ただの砕石でも別に構わないと。

 なぜ、わざわざ鉄鋼スラグというふうに指定をしているのかということ、これは水資源機構の指示で鉄鋼スラグになっているということなんですけれども、これはどういうことなんですか。別に、単なる砕石とかスラグでも構わないんじゃないですか。何でこんなに細かくなっているんですか。教えてください。

○越智政府参考人 (国土交通省水管理・国土保全局水資源部長)お答え申し上げます。

 水資源機構からは、当時のJIS規格に沿いまして、強度の確認や粒度分布、それから経済性などを検討、確認した上で使用したものと聞いております。

○石関委員 全然答えていない。ちょっと待ってよ、全然答えていないよ、それは。私の質問に答えてくれよ。早く。(発言する者あり)

○越智政府参考人 (国土交通省水管理・国土保全局水資源部長)お答え申し上げます。

 施工時期が平成十六年から十八年ということもございまして、当時の工事関係資料が十分に確認できない面もございますけれども、特記仕様書で、当時のJIS規格に準じて対応するとしておりまして、先ほど申し上げましたように、粒度分布とか強度とか、当時のJIS基準に沿って対応しているというところでございます。

○石関委員 全然答えていないし、言っていることはわからないし、焦るなよと言ったって、こういう有害物質が出ているものが工事に使われているんだから、焦らなきゃおかしいよ。何か、調べていますとか、会社が持ってきた品質で大丈夫だ、こんなもので納得する人はいないですよ。

 もう一つ、ここ十年間、過去十年間で、国交省と経済産業省から、大同特殊鋼ですとか、この道路を施工した会社、ここに天下っている人はいますか。

○宮川政府参考人(経済産業省製造産業局長)お答え申し上げます。

 経済産業省では、国家公務員法に基づき、届け出が義務づけられている管理職職員等であった退職者については、離職後二年間以内の再就職の状況の把握をしております。

 それによりますと、大同特殊鋼、世紀東急工業への、二社の再就職の届けはございません。

○武藤政府参考人(国土交通省大臣官房長)国土交通省におきましても、経産省と同じような届け出を受理しておりますけれども、それによりますと、大同特殊鋼あるいは舗装会社への再就職の届け出はございません。

○石関委員 ないということなら結構なことですが、先ほど申し上げたように、これは、そのうちやりますということじゃ困るんですよ。住民の人も大変不安に思っています。どんどん取り組んでいただきたいというふうに思います。

 あと、汚染とかこういった問題、水質だったら水質汚濁防止法、土壌汚染だったら土壌汚染対策法というのがあります。廃棄物には処理法というのがありますが、再生資源だということであれば、廃棄物だというふうにみなされないと、ここはすき間になっちゃっているんですね。だから、こういった問題、今後もぜひこの問題を一つの契機にいろいろ取り組んでいただきたいと思います。

 何を焦るんだとか言っているけれども、これは予算委員会ですから、時間が限られた中で喫緊の問題を扱っているんで、当たり前ですよ。眠ったような審議にしないで、しっかりやっていただくことを期待しながら、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

—議事録 転載終わり—

 鉄鋼スラグ問題に関する衆院議事録(その2)は以下のページに掲載しています。
 http://yamba-net.org/?p=8460