長崎県の石木ダムについて、国交省九州地方整備局は土地収用法に基づく事業認定を下しました。

 事業認定に関する国交省関東地方整備局の資料は、以下のページに掲載されています。
 http://www.qsr.mlit.go.jp/n-shiryo/tochi/130906.htm

 「事業認定理由」という文書には、石木ダムの公益性とダム建設による不利益が羅列され、早期の完成が求められるという結論に達した説明となっています。
 http://www.qsr.mlit.go.jp/n-shiryo/tochi/130906jigyouninnteikokuji.pdf

 けれども、ここに書かれている公益性の多くには科学的に見て根拠がなく、不利益は極度に矮小化されています。ダム建設予定地は多くの住民の居住地でした。長崎県の切り崩しによって、地域がズタズタにされ、それでも今も水没予定地にはダム建設に反対する13家族の住民が暮らしています。石木ダムの建設は、これらの人々を追いださなければ進められませんが、地域や人々の生活の破壊については一切触れられていません。

 また、九州地方整備局は、事業認定を行うかどうかを決める為に開かれた「社会資本整備審議会公共用地分科会の議事要旨」を掲載しています。
 http://www.qsr.mlit.go.jp/n-shiryo/tochi/130906syakaisihonseibisinngikaigijirokuyousi.pdf

 この議事録には、公共用地分科会における審議の結果、事業の認定をすべきであるとする九州地方整備局長の判断を相当と認める、との意見が議決されたと書かれていますが、この分科会での各委員の主な意見として掲載されているものは、なぜか事業認定に疑問を呈するものばかりです。
 http://www.qsr.mlit.go.jp/n-shiryo/tochi/130906syakaisihonseibisinngikaigijirokuyousi.pdf

 ・自治体が過去に見積もった水需要が実態と乖離し、財政処理に困っている例も見られる。利水起業者が、将来にわたって事業費を負担することが可能なのか、途中で撤退することがないのか。

 ・渇水と洪水に対する対策として理解しているが、工場用水もあるため、人口が全体として減少する中では、最終的に企業のためだけという形にみられてしまうのではないか。

 ・用地の取得状況について、ダム事業にしては、未買収の率が高いような気がする。

 ・山林の保水力を鑑みれば、山林を開発する施策を行う一方で、ダムを造るという関係は、今後の洪水・利水対策などの議論で、もう少し深く議論する必要があるのではないか。 

 八ッ場ダムなど他のダム事業の審議会でも、行政の方針に疑問を呈する意見は出されるのですが、行政の方針を追認するという結論が最初から決められており、委員長が事務方の行政の筋書き通りに結論を下すことがほとんどです。上記の委員らの意見は、どれも石木ダム建設の是非を考える上で避けては通れない問題ですが、審議会ではおそらくこれらの問題についての議論を深めることなく結論が下されたのでしょう。

 全国のダムに反対する市民運動のネットワーク、水源開発問題全国連絡会(略称:水源連)では、現在、石木ダムに反対する署名運動に取り組んでいます。こちらに署名運動等に関する情報が掲載されています。
 http://suigenren.jp/news/2013/08/23/4615/