本日1月21日に開始される筈だった八ッ場ダムの本体工事(基礎掘削の為の発破作業)について、国交省八ッ場ダム工事事務所は昨日午後3時、延期を発表しましたが、報道はすでに本体工事開始を報じています。

 八ッ場あしたの会等による本体工事への抗議については、こちらに掲載しています。
 http://yamba-net.org/?p=10284

 関連記事を転載します。
 一番目の朝日新聞の記事には、本体工事予定地の熱水変質帯や岩盤がよく見える動画があります。

◆2015年1月21日 朝日新聞社会面20時27分
http://digital.asahi.com/articles/ASH1N7K7SH1NUHNB013.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH1N7K7SH1NUHNB013
ー八ツ場ダム本体着工 計画から63年 事業費は国内最大ー

 国土交通省は21日、八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の本体工事に着手した。1952年の計画浮上から63年。総事業費約4600億円は国内のダム最大で、必要性について今も意見が分かれる。2019年度の完成予定に向け、巨大公共事業は最終段階を迎えた。

 この日は、ダム本体の基礎となる吾妻(あがつま)川両岸の岩盤を露出させる「基礎掘削」で、ダイナマイトを爆破させる準備作業があった。

 八ツ場ダムは利根川などの堤防が決壊し、関東だけで約1100人が死亡した1947年の「カスリーン台風」を機に計画された。

 洪水や水不足の防止で恩恵があるとされる群馬、埼玉、東京、千葉、茨城、栃木の6都県などが総事業費の6割、残りは国が負担する。ただし地滑りや代替地の安全対策などで事業費がふくらむ可能性がある。

 事業は自民党政権が長く推進したが、09年に誕生した民主党政権はむだな公共事業として建設中止を表明。だが将来像を示さぬままの決定に地元や都県が反発し、11年12月に建設再開へ方針転換を迫られた。

 国は72年以降に利根川で取水制限が必要な渇水が15回もあり、水源確保は重要だと強調。治水でも「70~80年に1回」の豪雨を想定し、利根川の最大流量を抑え、被害を軽減できるとしている。一方、首都圏の水需要は節水の影響で90年度をピークに減少。治水面でも河川改修や堤防強化の優先を求める専門家がいる。

 国交省は八ツ場を含む全国83カ所のダムで必要性の再検証を事業主体に指示したが、これまでに「建設継続」が46カ所で、「中止」は21カ所。残り16カ所で検証作業が続く。(小林誠一)
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 〈八ツ場ダム〉 利根川の堤防が決壊し約1100人が死亡した1947年のカスリーン台風を受け、52年に計画が浮上した。水圧をコンクリートの重さで支える重力式ダム。総貯水量1億750万立方メートルは東京ドーム87杯分。水没予定地は316ヘクタールに上る。移転対象の470世帯のうち、昨年10月までに456世帯が転居した。

◆2015年1月21日16時30分 朝日新聞夕刊社会面
 http://digital.asahi.com/articles/DA3S11562957.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11562957
ー八ツ場ダム、本体着工ー

 国土交通省は21日、八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)について、水をせき止める堤体を造る本体工事に着手した。工事を落札した企業体が本体予定地の岩盤を掘る「基礎掘削」の作業を始めた。計画浮上から63年。民主党政権下での中止宣言を経た工事で、2019年度に完成予定としている。

 この日午前、吾妻(あがつま)川左岸の現場に重機が運び込まれた。硬い岩盤を爆薬で砕き、搬出するための準備作業。ドリルで穴を開け、爆薬を据え付けて、22日に発破をする予定という。

 現場周辺にはダム計画の見直しを求める市民団体のメンバーたちが、抗議のために集まった。治水、利水の両面からダムは不要だと訴え、中止を求めている。

 国交省が昨年11月に公表した工程表によると、基礎掘削は16年5月までを予定している。翌月から18年5月にかけて掘削部分にコンクリートを流し込んでダム本体を造る。水門設備の設置や試験的に水をためる工程を経て、国交省は現行の基本計画どおり19年度中の完成を予定している。

 八ツ場ダムは1952年に国が調査着手を地元に通知した。総事業費の4600億円は国内のダム史上最高。そのうち本体工事は342億5千万円(税抜き)で、清水建設など3社の共同企業体が落札した。周辺では水没予定地を通る国道145号やJR吾妻線が高台に付け替えられ、水没予定地の住民や川原湯温泉の旅館のための移転代替地造成などの生活再建事業も進められている。(井上怜)
 

◆2015年1月22日 毎日新聞社会面
 http://mainichi.jp/shimen/news/20150122ddm041010077000c.html
ー群馬・八ッ場ダム建設:63年、ようやく着工 反対派、抗議の声ー

 民主党政権による建設中止判断が覆り、再び計画が動き出した八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の本体工事が21日、始まった。計画浮上から63年。反対派の市民団体が建設予定地で抗議の声を上げる一方、地元住民らは安堵(あんど)の声を漏らした。

 始まった工事は、水をせき止めるダム堤体の基礎掘削。岩盤の発破作業に向け、爆薬を詰める穴を開けた。22日以降、発破で岩盤を削った後、高さ116メートルのコンクリート堤体を造る。全体の完成は19年度の予定。

 建設現場周辺では、ダム計画見直しを求める市民団体メンバー約15人が「八ッ場ダムNO!」と書かれた横断幕を掲げ、「本体工事着工反対」とシュプレヒコールを上げた。「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「移転代替地での有害スラグ使用など、問題が山積している中で本体工事を始めることは断じて許せない」と憤った。

 水没地区で暮らしていた住民は、大部分が立ち退き、移転先で新生活を始めている。林地区の元ダム対策委員長、篠原茂さん(64)は「本体着工でまずは一安心。住民の生活再建もこれからが最も大事な時期になる。『一日も早く完成を』というよりは、最後まで丁寧に取り組んでほしい」と話した。

 建設予定地では昨年10月、ダム湖の両岸にある移転先同士をつなぐ最後の湖面橋が開通。線路が水没するJR吾妻線も新ルートで運行を始めた。
 国土交通省によると、用地の約92%を取得済みで、24日には強制収用に向けた説明会を開く。【角田直哉】

◆2015年1月21日 東京新聞社会面夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015012102000225.html
ー八ッ場ダム本体着工 計画から60年超ー

 国土交通省は二十一日、群馬県長野原町の八ッ場(やんば)ダムで、ダム本体の建設に向けた基礎掘削工事の準備作業に入った。民主党政権下で無駄な公共事業の象徴とされた巨大ダムは一時凍結されるなど翻弄(ほんろう)されたが、計画浮上から六十年超を経て、事実上の本体工事への着手となる。
 国交省によると、二十一日は爆薬を埋め込む穴を掘り、二十二日以降、建設に適した岩盤を露出させるための発破を行う予定。二〇一六年六月にコンクリートでダムの形を造っていく作業に移行する。完成は一九年度になる見込み。
 工事現場には、二十一日午前九時ごろから作業員らが次々に重機を搬入した。付近にはダム建設に反対する市民団体のメンバー十数人が集まり、「本体着工反対」「税金の無駄遣いをするな」とシュプレヒコールを上げた。
 本体工事は、民主党政権が〇九年に建設中止を表明、入札を凍結した。その後、中止方針を撤回、自公政権で昨年八月、清水建設など三社の共同企業体(JV)が落札し、十月から本体工事に必要な測量作業に入っていた。
 八ッ場ダムは利根川支流の吾妻川に建設する多目的ダムで、国が一九五二年に調査を開始した。住民は当初激しく反対したが、高台の代替地に集団移転する生活再建案を受け入れ、九四年に周辺工事が始まった。

◆2015年1月21日 共同通信配信
 http://jp.reuters.com/article/kyodoMainNews/idJP2015012101001154
ー群馬・八ツ場ダム本体が着工ー

 国土交通省は21日、群馬県長野原町の八ツ場ダムで、ダム本体の建設に向けた基礎掘削工事の準備作業に入った。
 民主党政権下で無駄な公共事業の象徴とされた巨大ダムは一時凍結されるなど翻弄されたが、計画浮上から60年超を経て、事実上の本体工事への着手となる。
 国交省によると、21日は爆薬を埋め込む穴を掘り、22日以降、建設に適した岩盤を露出させるための発破を行う予定。2016年6月にコンクリートでダムの形を造っていく作業に移行する。完成は19年度になる見込み。
 工事現場には、午前9時ごろから作業員らが重機を搬入。建設反対の市民団体は「本体着工反対」と叫んだ。

◆2015年1月21日 読売新聞夕刊社会面
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150121-OYT1T50052.html 
ー計画から63年、八ッ場ダム本体工事始まるー

 群馬県長野原町で国が進めている八ッ場やんばダムの本体工事が21日、始まった。計画から63年で、ようやく着工となった。総事業費は約4600億円。試験貯水などを経て、2019年度中の完成を目指す。

 この日は午前9時頃から、ドリル用重機がダム建設予定地に入った。国土交通省八ッ場ダム工事事務所によると、岩盤の発破作業に向け、火薬を詰める穴を開ける工事を行う。コンクリートを使った建設工事に入るのは、16年6月からの予定。

 ダム計画は1952年、利根川下流域の治水対策として持ち上がり、長野原町などで調査が始まった。09年9月、当時の民主党政権が関連工事を一時ストップさせたが、11年12月、計画継続の方針に戻された。

 移転対象となった水没予定地などの470世帯のうち、456世帯は、既に移転を終えている。水没予定地の住民で作る「八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会」の萩原昭朗あきお委員長(83)は21日、「ダムは治水の観点から必要と思い、1960年代から関わってきた。長い間かかったが、本体工事に入ることは感慨深い」と語った。


 上記の読売新聞記事では、「八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会」を「水没予定地の住民で作る」会としていますが、これは正確ではありません。八ッ場ダム水没関係5地区は、全水没予定地の川原湯地区、川原畑地区、一部水没予定地の林地区、横壁地区、長野原地区からなります。水没予定地住民の多くは地区外に転出しており、この対策委員会に現在所属する住民の多くは、水没しない場所の住民です。萩原委員長も非水没地の住民です。


 関連記事の続きです。

◆2015年1月22日 しんぶん赤旗
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-22/2015012204_01_1.html
ー八ツ場ダム 本体工事着工ノー 群馬・長野原町 現場近くで抗議行動ー

 群馬県長野原町で、国が八ツ場(やんば)ダムの本体工事の着工を強行しようとしている問題で21日、予定地近くで、本体工事中止を求める「八ツ場あしたの会」と「八ツ場ダムをストップさせる会」の住民らが抗議行動を行いました。
 国土交通省八ツ場ダム工事事務所は20日、21日に予定していた本体工事開始の発破作業を1日延期すると発表。22日にも、着工を強行する構えです。
 抗議行動では住民らが、八ツ場沢をはさみ、発破作業現場に向かって「吾妻渓谷の自然を守ろう」「八ツ場ダムNO」「鉄鋼スラグNO」などと書かれた横断幕やプラカードを掲げアピールしました。
 また、工事事務所の担当者に、八ツ場ダム建設が「地域社会、自然環境を壊し、災害を誘発し、完成後も負の遺産を将来に残すものだ」とする抗議文を手渡しました。
 八ツ場あしたの会の渡辺洋子事務局長は「問題が山積したまま、本体工事を着工することは大変危険です。これからもますます問題が顕在化してくると思います。今後も粘り強く、建設中止を求めていく」と話しました。

(写真下=1月22日に発破作業が行われる本体工事予定地左岸)
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