八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

「取水制限」と「給水制限」の違い

 関東地方でも梅雨が明け、例年のごとく”渇水”が心配という話題が出てくる季節です。

キャプチャ利根川 今年は、首都圏へ最も多くの水を供給する利根川上流ダム群の平均貯水率が平年を上回っています。利根川上流のみなかみ町では、冬の積雪量が多かったうえ、梅雨時にまとまった雨が降り、最も貯水容量の多い矢木沢ダム、奈良俣ダムなどが例年より貯水率が高いためです。
(画像右=国交省関東地方整備局ホームページ 「首都圏の水資源状況についてー利根川の状況」より)

 昨年は利根川で取水制限が行われましたが、首都圏では生活に支障がありませんでした。「取水制限」はただちに水道の「給水制限」に繋がるものではありません。昨年もそうでしたが、近年、首都圏では「取水制限」はあっても、「給水制限」に至らずに”渇水”が終わっています。

 ダムの貯水率が平年より少ないと、国交省関東地方整備局は「渇水対策本部」を設置し、節水を呼びかけます。節水は確かに大事ですが、マスコミが国交省の記者発表を取り上げると「渇水騒動」が引き起こされ、不安が煽られます。これまで「取水制限」と「給水制限」がきちんと区別されずに報道されてきましたが、今夏はこれまでと違い、日本テレビの記事は両者の違いをわかりやすく説明していました。
 また、NHKの報道では、記事本文には書かれていませんが、画像で二つの制限の違いを明示し、「取水制限」では「家庭への給水量変わらず」と字幕を入れていました。

 八ッ場ダムは首都圏における右肩上がりの水需要の増加を前提に、新たな水源開発を目的に建設されています。”渇水騒動”によって数年おきに繰り返される漠然とした不安は、巨額の税金を投入するダム建設には好都合ですが、実際は、節水機器の普及、漏水防止対策などにより、水需要は下降してきています。八ッ場ダムの完成予定である2020年以降は、人口減少により、首都圏における水あまりは一層顕著になり、八ッ場ダムの不要性は明らかになると予想されます。

◆2017年7月19日 日本テレビ
http://www.news24.jp/articles/2017/07/19/07367377.html
ー水不足「取水制限・給水制限」の違いって?ー

キャプチャ日本テレビ

気象庁は19日、関東甲信地方・四国・中国・近畿・東海地方が梅雨明けしたとみられると発表した。

 これから本格的な夏を迎える中、心配されているのが「水不足」だ。今年の関東地方は平年に比べて雨が降っていない状況で、このことで特に今、埼玉県と東京都の水源となっている荒川水系の水不足が心配されている。

 荒川水系には3つのダム(二瀬ダム・浦山ダム・滝沢ダム)と貯水池があるが、最新の貯水率を見ると、二瀬ダムは30%と非常に低い数字となっている。4か所全体の貯水率は平年の約60%にとどまっているため、荒川では今月から10%の取水制限が行われている。

 自治体なども参加する荒川水系の渇水調整協議会は、今後もまとまった雨が降らない状態が続けば、取水制限を20%へ引き上げることも検討しているという。

■取水制限と給水制限

 「制限」と聞くと、「水道から水が出なくなるのでは」と生活への影響が心配されるが、すぐにそうなるわけではない。

 私たちが使っている水は、ダムとつながる川から浄水場を通して家庭などに送られる仕組みになっていて、川から浄水場に送る水の量を減らすことを「取水制限」という。

 しかし、さらに水不足が進むと、今度は浄水場から家庭などに送られる水の量を減らす「給水制限」が行われる。

 取水制限から給水制限になるまでには、段階がある。

 取水制限10%だと目に見える影響はほぼないが、20%になると公園の噴水が止められるなどの対策がとられる可能性がある。30%になると、高台にある一般家庭の水道が出にくい状態となる可能性がある。ここからさらに深刻になると、給水制限となる。

 実際、1996年には首都圏で水不足となり、30%の取水制限が行われ、夏休み中にもかかわらず学校のプールが使用中止となった。また、一部地域では給水制限も行われるなど市民生活に影響が出た。

◆2017年7月19日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170719/k10011065191000.html
ー荒川水系の貯水量回復せず 取水制限引き上げ協議へー

 関東甲信は19日、梅雨明けしたと見られます。関東地方整備局などで作る協議会は梅雨の時期にも荒川水系のダムの貯水量が回復しなかったことから、20日、取水制限を現状の10%から20%に引き上げる方向で協議することになりました。
 東京都と埼玉県に水を供給している荒川水系では、流域のダムの貯水量が平年を大きく下回り、関東地方整備局などは今月5日から10%の取水制限を行っています。

 関東地方整備局によりますと、荒川の上流では、7月に入ってから18日までの雨量が平年の68%と少ない状態が続き、流域の4つのダムの貯水量は、19日午前0時現在で、合わせて4571万トンと、平年の64%にとどまっています。ダム別に貯水量を見ますと、いずれも埼玉県秩父市にある二瀬ダムが平年の32%、滝沢ダムが57%などとなっています。

 関東地方整備局などで作る協議会は、梅雨の時期にもダムの貯水量が回復しなかったことから、20日、荒川水系の取水制限を20%に引き上げる方向で協議することになりました。

 一方、東京などに最も多くの水を供給している利根川水系では、上流の8つのダムの貯水量が19日午前0時現在で、平年の102%を確保しているということで、現時点で取水制限などは検討していないということです。

キャプチャ取水制限給水制限

~~~転載終わり~~~

〈2016年の渇水についての参考ページ〉
★FM東京「過剰放水が引き起こす利根川の渇水」の文字起こし 2016年7月17日
https://yamba-net.org/wp/?p=16388

★渇水報道」の真相ーつくられた渇水 ~利根川水系ダム貯水量急減の原因「ダムの過剰放流」(2016年) 2016年6月13日
https://yamba-net.org/wp/?p=15963

★2016年夏の利根川渇水の真相 ―生活への影響がなかった渇水 2017年2月26日
https://yamba-net.org/wp/?p=19995