八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

「東京の水連絡会」設立趣意書

 八ッ場ダムの住民訴訟の原告らで2004年に結成された八ッ場ダムをストップさせる東京の会は、住民訴訟が終結したため、このほど、「多摩の地下水を守る会」、「多摩川を飲める水にする会」と共に「東京の水連絡会」を結成し、9月24日の結成集会を機に新たなスタートを切ることになりました。

 以下、東京の水連絡会の設立趣意書です。

 東京の水連絡会 設立趣意書

 私たち都民の生活を支える水道水の水源はどこでしょうか? 実は利根川・荒川水系のダムなどに6割近くを依存しています。これまで東京都の水行政は遠くに水源を求め続け、自給自足を怠ってきたと言えるでしょう。

 貴重な自己水源である地下水については、汲み上げ規制によって地盤沈下が収まり、持続的に利用できているにもかかわらず、東京都は安定的な水源として認めようとしません。また、多摩川の水質が著しく改善した現在も、1970年以来機能を停止している玉川浄水場の再開は放棄されたままです。

 その背景には、八ッ場ダム事業に参画する必要性を作り出すために、水需要予測を過大に、保有水源を過小に見積もるという行政の硬直した姿勢があると、私たちは考えています。
 過大な水需要予測は八ッ場ダムへの無駄な支出ばかりでなく、水道施設全般の無理な更新計画を招きました。そのしわ寄せが人員削減など現場の弱体化を引き起こしています。

 治水の面でも東京は大きな問題を抱えています。
 完成まで500年、1000年もかかるというスーパー堤防を推し進め、市街地に降った雨が浸水被害を引き起こす「内水氾濫」への対策はないがしろにされています。

 こうした中で大震災が東京を襲ったら、私たちの水道、下水道はどうなるのでしょう? 津波や豪雨に人口密集地、東京は耐えられるでしょうか?
 
 そんな思いを共に抱いた私たち!
 これまで首都圏のダム問題に取り組んできた市民グループ、都内の河川・地下水の保全と有効利用をめざしてきた市民グループらが結束し、今回、「東京の水連絡会」を設立します。巨大事業に頼ることなく、身近な水源を大切にし、都民のための真の水行政を求めていきます。

 東京都の水行政・河川行政をしっかり検証し、提言し、議論を呼びかけていきましょう。
 東京の水環境を良くしようと考えている皆さま、私たちと共に歩み始めましょう。

                       2016年9月24日