八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

人口減少時代のダム建設

2013年3月28日

 八ッ場ダムの主目的は「都市用水の供給」と「利根川の洪水調節」です。
 「利根川の洪水調節」については、八ッ場ダムが治水効果があるという説得力のある説明が起業者(国交省関東地方整備局)から聞かれません。
 一方、「都市用水の供給」は、かつて首都圏の人口が急増した高度成長時代、八ッ場ダムの必要性を唱える根拠とされたものです。右肩上がりの人口増加を前提とした右肩上がりの水需要の増加が八ッ場ダム建設の前提でした。

 しかし、時代状況は当時とはまるで逆になり、現在は少子高齢化時代です。さらなる少子高齢化に備えた施策が必要とされています。首都圏では現在でも水余りが年々加速していますが、八ッ場ダムが完成するとされている2020年以降は人口減少によりさらに水余りに拍車がかかります。
 八ッ場ダムは時代に取り残された20世紀の負の遺産であり、将来世代にとって重い負担となることは確実な情勢です。

 昨日、国立社会保障・人口問題研究所が『日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)』を発表しました。以下に、各都県別の将来推計人口のデータが掲載されています。
 http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/3kekka/Municipalities.asp

 八ッ場ダム事業に利水負担金を払っている都県のうち、すでに茨城県、千葉県、群馬県が人口減少時代に突入していますが、上記のデータによれば、今は人口増加が続いている東京都、埼玉県も2020年には人口が減少し始めています。

 関連記事を転載します。

◆2013年3月28日 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130327/t10013490761000.html

 -全都道府県で人口減少へ 国研究所が推計ー

 27年後の2040年にはすべての都道府県で2010年より人口が減少するとともに、65歳以上の高齢者の割合も30%を超え、全国で人口減少と少子高齢化が進むとした推計を国の研究所がまとめました。

 国立社会保障・人口問題研究所は国勢調査に合わせて5年ごとに全国の自治体別の人口推計を行っていて、今回は3年前の国勢調査を基に東日本大震災の影響も考慮し2040年までの人口を推計しました。

 それによりますと、2040年の人口は、すべての都道府県で2010年よりも少なくなると推計しています。

 この30年間に最も人口が減る割合が高いのは▽秋田県で35.6%、次いで▽青森県が32.1%、▽高知県が29.8%となっています。

 市区町村別では、全体の95%に当たる1603の自治体が2010年の人口を下回り、2割以上人口が減少する自治体が70%に上るとしています。

 また、2040年の65歳以上の高齢者の割合は、2010年には20%前後だった大都市圏や沖縄県で大幅に増加し、すべての都道府県で30%を超えると推計しています。

 最も割合が高いのは▽秋田県で43.8%、次いで▽青森県が41.5%、▽高知県が40.9%となっています。

 市区町村別では▽65歳以上の人口の割合が40%以上を占める自治体の割合は、2010年の5%から2040年には50%に増えるとともに、▽14歳以下の人口が10%未満の自治体の割合は、2010年の11%から2040年には58%に増えるとしています。

 国立社会保障・人口問題研究所の鈴木透部長は、「昭和40年代の高度経済成長期に地方から大都市圏に移り住んだ人たちがそのまま子どもを産んで定着したため、地方では人口が減少し大都市圏では高齢化が進んでいる。

 高齢化の速度が早い自治体では、人口が増えることを前提にした政策は難しくなるので、財政や行政サービスをどう維持するかが考える目安にしてほしい」と話しています。

◆2013年3月28日 上毛新聞
 http://www.jomo-news.co.jp/ns/3213643969138234/news.html
 
 -2040年推計 県人口162万人にー

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は27日、2040年の県人口が10年の国勢調査と比べて37万8千人余り少ない162万9974人となる推計を公表した。10年の人口を100とした場合、40年の人口を示す指数は81・2となり、関東地方で最も減少率が高い。南牧村は29・0で減少率が全国最高。本県は65歳以上の人口割合(高齢化率)も40年に36・6%になると見込まれ、関東で最も高齢化が進む。