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八ッ場ダム減勢工、コンクリート打設開始(その2)

 八ッ場ダム本体工事では、減勢工の打設が始まったことを今朝の各紙が伝えています。

 国交省八ッ場ダム工事事務所は八ッ場ダムの本体打設を今年6月に開始する予定であると説明してきました。昨日14日に始まったのは、本体打設ではなく、ダム本体の直下につくる減勢工のコンクリート打設であり、本体打設がいつ開始されるのかは明らかにされていませんが、報道によれば国交省は2018年5月に予定通り本体打設を終えるとしています。

 写真(朝日新聞サイト記事より)に減勢工などの位置を加筆。
 吾妻川の左岸側に聳える大蓬莱と右岸側の小蓬莱は合わせて新蓬莱と呼ばれ、吾妻峡十勝の一つ。
 大蓬莱の山裾には2014年秋までJR吾妻線が走っており、吾妻線と吾妻川の間には国道が走っていた。小蓬莱の頂上には吾妻渓谷の遊歩道につながる見晴らし台がある。
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 本体工事現場に最も近い川原湯地区の代替地では、基礎岩盤の掘削工事が始まった昨年来、住民は夜間の騒音にも悩まされてきました。住民は騒音から早く解放されることを望んでいますので、苦情を声高に訴えることもできません。本体工事業者は工事を急いでいるせいか、このところ騒音がいっそう大きくなっているようです。
 安全確保と工期厳守、代替地の生活再建という相矛盾する課題を抱える八ッ場ダム事業は、以前にも増して情報が伏せられがちですが、今後さらに注意深く見守る必要があります。

◆2016年6月15日 朝日新聞群馬版
 http://digital.asahi.com/articles/ASJ6G571PJ6GUHNB00R.html?rm=360
ー八ツ場ダム新たな工程に コンクリート打設始まるー

 長野原町で建設中の八ツ場ダムの本体工事は、14日から打設(だせつ)と呼ばれる工程に入った。コンクリートを型枠に流し込んで固める作業で、水をせき止める堤体(高さ116メートル、最上部の幅291メートル)などの構造物を約2年間かけて造る。

 本体工事は昨年1月に始まり、清水建設などの共同企業体が堤体を据える場所の岩盤を露出させる基礎掘削を進めてきた。国土交通省八ツ場ダム工事事務所によると、先月末までに掘削は9割程度終わり、今後は打設と並行して作業を進めるという。

 この日は、ダムから放水した水の勢いを弱める減勢工の部分の打設があった。バケットに入れたコンクリートをクレーンで運び、「打設開始!」のかけ声で流し込まれると、取り巻いた作業員から拍手が湧いた。今後、掘削などの進捗(しんちょく)に合わせて堤体の作業に移る。

 本体工事全体で使用するコンクリートは、計約90万立方メートル。約10キロ離れたプラントヤードから砂利や砂などの骨材をベルトコンベヤーで運び、現場の施設で水やセメントと混ぜ合わせてコンクリートをつくる。

 同事務所によると、一連の作業日程は「ほぼ予定通り」という。2年後には巨大な堤体が姿を見せ、水門設備の取り付けや、試験湛水(たんすい)などを経て、2019年度中に完成する予定だ。(土屋弘)

写真(朝日新聞サイトより) 基礎掘削工事によって抉られた名勝・吾妻渓谷左岸。ダム本体予定地。
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◆2016年6月15日 上毛新聞
 http://this.kiji.is/115557343507203576
 -コンクリート打設始まる 八ツ場ダム、最下流部でー

 群馬県の八ツ場ダム(長野原町)建設事業で、国土交通省八ツ場ダム工事事務所は14日、ダム本体のコンクリート打設工事を始めた。
 初日はダムから放流される水の勢いを弱める「減勢工」と呼ばれる、ダム本体の最下流部にコンクリート約60立方メートルを流し込んだ。

 「コンクリート打設開始」の掛け声とともに、バケットからコンクリートを流し、作業員が平らにした。
 水、骨材、セメント、を練ってコンクリートを作る「バッチャープラント」から配管で流し込む予定だった管が詰まったため、コンクリートを入れたバケットをクレーンで下して流し込む作業に変更した。

 今後は河床にコンクリートを流し込む作業などを順次進める。約90万立方メートルのコンクリートを使用する打設工事は2018年5月に終わり、高さ116メートルの堤体が姿を現す予定だ。試験湛水などを経て、19年度中のダム完成を見込んでいる。

◆2016年6月15日 読売新聞
 http://www.yomiuri.co.jp/national/20160614-OYT1T50141.html
ー八ッ場ダム、「打設」始まる…作業員から拍手ー

 群馬県長野原町で国が建設を進めている八ッ場ダムで14日、コンクリートを流し固める「打設」が始まった。

 この日はダム本体の一部で、放流された水の勢いを弱める「減勢工」と呼ばれる部分で行われた。1立方メートル分のコンクリートが入ったバケットをクレーンで降ろし、作業員の「打設開始」のかけ声とともに流し込んだ。見守っていた他の作業員から拍手が起こった。

 今後、高さ約116メートルになる堤体部分の打設も始める。全体で約90万立方メートルのコンクリートを使用し、2018年5月頃に作業を終える見通し。

 ダムの本体工事は昨年1月に始まった。清水建設(東京都)などの共同企業体(JV)が、コンクリートを敷くのに適した岩盤を露出させる「本体掘削」を進めてきた。国土交通省八ッ場ダム工事事務所によると、5月末時点で9割が終了しており、打設と並行して掘削を進めていく。ダムは安全性を確かめる試験湛水たんすいなどを経て、19年度中に完成する予定だ。

◆2016年6月15日 毎日新聞
 http://mainichi.jp/articles/20160615/k00/00e/010/172000c
ー八ッ場ダム本体打設工事始まる 19年度完成へー

 堤体工事着手へ 作業24時間体制化
 国が群馬県長野原町で建設を進めている八ッ場ダムで、本体のコンクリート打設工事が14日始まり、報道陣に公開された。1952年の計画浮上から64年。計画の一時中止など紆余(うよ)曲折を経て、高さ116メートル、幅290メートルの巨大な堤体部分が姿を現すことになる。2019年度中の完成を予定している。

 国土交通省八ッ場ダム工事事務所によると、この日コンクリートを流し固める「打設」が行われたのは、ダムの放流水の勢いを弱める「減勢工」と呼ばれる部分。

 ダム底から高さ116メートルの左岸上に設置されたプラントで製造したコンクリートをミキサー車で運搬。バケット(1立方メートル分)に入れて替えて大型クレーンで運び、計60回にわたって流し込んだ。

 今後は堤体工事にも着手し、24時間体制で作業を進める。打設は18年5月ごろに完了する予定。使用するコンクリート量は約90万立方メートルに上る。堤体完成後は、安全性を確認するための試験湛水(たんすい)などを経て、19年度中の完成を予定している

 八ッ場ダムは、2000人近い死者・行方不明者が出た1947年の「カスリーン台風」をきっかけに52年に計画が浮上。住民の強い反対があったほか、09年に民主党政権が一時、建設中止を表明したこともあり、基本計画はたびたび変更された。15年1月に基礎掘削工事に着手しダム本体工事が始まった。事業費は当初の約2110億円から約4600億円に倍増した。【吉田勝】

—転載終わり—

 関連ページ 「八ッ場ダム減勢工、コンクリート打設開始」(その1)
       https://yamba-net.org/wp/?p=15959