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利根川の公聴会、河川整備計画原案に批判続出

2013年2月26日

 2月24日から26日までの三日間、国交省関東地方整備局が公表した利根川の河川整備計画(原案)についての公聴会が開かれました。
 これは、1997年の河川法改正によって新たに始まった河川行政における手続きの一つで、関東地方整備局が公表した今後30年間の河川整備計画の案について、、利根川流域住民の中で意見のある人が応募し、関東地方整備局に対して公開の場で意見を述べるというものです。
 関東地方整備局の原案は、八ッ場ダム事業、スーパー堤防事業などの巨大土木事業を河川整備計画に並べる一方で、それぞれの事業にかかる年数や事業費などの具体的な説明や、失われつつある自然環境の回復への配慮などが欠けたもので、公聴会では批判が続出しました。

 会場で配布されたそれぞれの公述者の意見要旨によれば、公述者32名中、関東地方整備局の原案に賛成の意見は3名のみでした。群馬県高崎会場では、公述者7名全員が反対意見、埼玉県さいまた市会場でも22名中21名が反対意見、埼玉県久喜市会場では2名のうち1名が賛成、千葉県香取市会場では賛成意見1名のみの公述でした。

 関連記事を転載します。

◆2013年2月25日 朝日新聞群馬版
http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20130225100580001.html

 -計画へ異論相次ぐー  

 八ツ場ダム(長野原町)建設にかかわる利根川・江戸川河川整備計画(原案)で、国土交通省関東地方整備局は24日、住民の意見を聞く公聴会を高崎市やさいたま市で開いた。高崎市では意見を述べた3人から計画への異論が相次いだ。同市では26日まで開かれる。

 同省高崎河川国道事務所では、高崎市内の農業、高階ミチさん(73)▽前橋市の県職員の男性(52)▽埼玉県三郷市の水問題研究家、嶋津暉之さん(69)が15分ずつ意見を述べた。

 嶋津さんは「ダムの本体工事着手のため整備計画の策定を急いでいる。巨額の事業よりも、堤防強化など早期に住民の安全が確保できる治水対策に予算を集中すべきだ」と計画を批判した。

 高階さんは「(利根川支流の)吾妻川の中和対策で発生するヒ素化合物の安全な処分方法が考慮されていない」。

 県職員の男性は文化財保護の観点から「水没予定地で発掘調査が済んでいるのはほんの一部。ダムが完成しても、発掘調査が完了するまで貯水はしないと明記すべきだ」などと注文をつけた。

 公聴会は25日は高崎市や埼玉、千葉両県内の計4会場であり、高崎市での3人を含め計13人が意見を述べる。(金井信義)

◆2013年2月25日 埼玉新聞

 ー八ッ場ダム 計画案に批判続出 さいたまで公聴会ー

 国土交通省関東地方整備局は24日、八ッ場ダム(群馬県)建設を盛り込んだ利根川・江戸川河川整備計画の原案に対する公聴会を、さいたま市で開いた。流域住民からは、整備局の原案の取りまとめ方に疑間や批判の声が相次いだ。

 同市の会場ではこの日、13人が意見陳述。都内の女性は、ダムの必要性などを検討する有識者会議の途中段階で、整備局が原案を公表したことに「違和感がある。不誠実だ」と指摘。千葉県の男性も「有識者会議の存在をないがしろにするものだ」と述べた。

 茨城県の男性は「原案からは、ダム本体を着エしようという意図しか感じられない。なぜ無駄な公共事業をするのか」と批判。別の男性は「工期が短く環境負荷も小さい方法を検討するべきだ」と提案した。        

 整備局は、さいたま市のほか群馬や千葉でも公聴会を実施。関係6都県知事の意見も聴いた上で河川整備計画を正式決定する。

◆2013年2月25日 上毛新聞

 -巨額予算に修正撤回意見相次ぐ 利根川河川整備計画公聴会ー

 八ッ場ダム建設を盛り込んだ国土交通省関東地方整備局作成の「利根川・江戸川河川整備計画原案」について市民の意見を聞く「公聴会」が24日、高崎市の高崎河川国道事務所など2か所で始まった。同事務所では3人が「ダム建設などに巨額予算を注ぎ込むべきではない」と指摘し、計画原案の修正や撤回を求めた。

 埼玉県三郷市の男性は、河川整備などに8千億円以上が必要となる点について、「治水対策は最小の費用で最大の効果があり、時間をかけずに行われるべきだ」と指摘。土の中に鋼の板やセメントを入れる「ハイブリッド堤防」で対応するよう訴えた。
 公聴会は26日までの3日間にわたり、同事務所など4か所で行われ、計33人が意見を述べる。関東地方整備局は意見を整備計画の参考にする。

◆2013年2月26日 上毛新聞

 -八ッ場盛り込む「原案」で公聴会 関東4カ所ー

 八ッ場ダム建設を盛り込んだ国土交通省関東地方整備局作成の「利根川・江戸川河川整備計画原案」について市民の意見を聞く公聴会の2日目が25日、高崎市の高崎河川国道事務所など関東4カ所で開かれた。同事務所ではダム建設反対・慎重派3名がいずれも原案の撤回や修正を求める立場から意見を述べた。

 太田市の男性は「伊勢崎市八斗島の治水目標流量は過大で合理性がない。治水効果が乏しい八ッ場ダムを原案から削除してほしい」と主張した。
 公聴会は26日も同事務所など2カ所で開かれる。